最近雪が降るはずの地方に雪が降らなかったり、あまり降らない地方にどかっと降ってしまったりということが多々あります。実は屋根に積もった雪が滑り落ちてしまって隣の家や歩いている人に被害を与えてしまうと
民法218条:土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。
という法律に引っかかってしまう可能性があります。そうならないためにも雪が降る地方や降る可能性のある地方の方は雪止め金具やネットの施工が必須と言っても過言でないほどです。
とはいえ、雪止め金具ってどんな種類があって、どのように取り付けるの?そしていくら位の値段なの?という方がほとんどでしょう。ですので、今回はそんな雪止め金具についてお話していきます。
・雪止め金具の種類と選び方
・雪止めネットについて
・雪止め金具の効果・注意点
通販やホームセンターでも雪止め金具やネットは買えるので、正しいものを選んで取り付けましょう。
年間数多くの建築系の展示会に出席し多くの建材メーカーの営業さんと話す機会の多い管理人がその時勉強させてもらったお話や自身が働く資材屋で学んだこと人気のアイテムなどをご紹介します。これで雪止め金具についてだいたいのことはわかります。
雪止め金具を選ぶポイント
雪止め金具を選ぶ前に雪止め金具の見方を覚えておきましょう。まずは一つ例をあげますので下の写真を見てください。
とりあえず適当に雪止め金具を一つ大手ショッピングモールから選んできました。これを見て何がわかると思いますか?答えは
- 取付可能な屋根の種類
- 雪止め金具の商品名
- 形状
- 先付けか後付か
- 素材
- 色
- 型番?
- 羽根の大きさ?
- メーカー?
がわかるかと思います。?が付いているのはおそらくというもので、確信ではありません。正直そこまで重要ではないので気にしなくても構いません。それぞれ簡単に説明します。
まずは取付可能な屋根の種類、これは最重要ポイントです。この雪止め金具の場合は横葺き屋根ということになります。どんな屋根があるかは次の項目で詳しく説明しますが、まずは商品名でどの屋根に取り付けられるのか最初に確認しましょう。
次に商品名ですが、これは「きたぐに」というのが商品名となります。ここは特に依頼されて指定がある場合以外は特に重要ではありません。
そして形状。ここではシングルと書いてある場所です。シングルというのは後ろのクリップのような部分が1つか2つあるかでシングルかダブルとなります。もちろんクリップが2つある方がしっかりと屋根に固定されます。
これはすべての雪止め金具についているわけではなく取り付ける屋根によって様々な形状があるのでシングルかダブルだけで覚えないようにしましょう。例えば折板屋根などに付ける場合はハゼを挟み込むような形になっていますし瓦に取り付ける場合は瓦に挟めるような形になっています。取り付ける屋根によって形状がかなり変わるのでわかりやすいです。
そして先付けか後付かは後ほど説明しますが、屋根につけるか屋根を施工するときに最初から雪止め金具をつけるかによって選ぶものが変わってきます。物によっては書いていないものもありますが、その場合は形状で明らかにわかるものです。上のようなクリップやアングルが挟み込めるような形状であれば後付ですし、釘を打つような穴がある場合はほとんどが先付となります。
次は雪止め金具の耐久性に関する素材。素材は重要ですよね。大まかに分けると
- 高耐食鋼板
- ドブメッキ
- ステンレス
に分けることができるかと思います。他にもユニクロメッキのものもあります。この3つの場合上から雨などに対するサビへの強さとなりステンレスが1番サビに強くなります。
鋼材について詳しくはこちらへ
さらにカラー。ブラックやブラウンが多いですが、モスグリーンやネイビーなどもある場合があります。何も書いていない場合は金属色のグレーっぽい色の場合が多く、カラーを塗ることで少しだけですがサビに強くなり、また屋根の景観を損ねません。
後は商品の型番やメーカーや羽根の大きさです。型番やメーカーは指定があるときのみ重要ですがあまり気にしなくて大丈夫です。羽の大きさは130・180・240などがあり大きいほど雪を留めておく能力が高くなります。もちろんアングルを取り付けるタイプは羽根は必要ありません。
さてそれを踏まえてどんな雪止め金具があるか見ていきましょう。
雪止め金具の種類と選び方
ここではまず雪止め金具について説明していきます。大きく分けると雪止め金具の選び方の基準は以下になります。
- 屋根へ先付けか後付か
- 雪止め金具をつける屋根の種類
- 屋根取り付けかアングル固定か
この3つを知ることが重要です。それでは詳しく説明していきます。
雪止め金具、屋根より先につけるか後に付けるか
まず一番最初に選ぶ項目は、「先付け」か「後付け」かです。
先付
まずは「先付け」。こちらは家を建てている時に最初から屋根に雪止め金具をつけて屋根を作ります。この場合家を建てる時に用意しつけてもらいます。
下に様々な雪止め金具の先付けのものをまとめました。楽天、アマゾン、ヤフーのボタンを押せば現在出ている先付け金具が見れます。ご参考に
パッとみ釘で打って固定するタイプが多いように感じます。やはり屋根を一枚づつ施工する際に屋根の下に釘で打って固定し屋根をかぶせていく施工法が多くなります。
後付
次に「後付け」。こちらはもうすでに家がありその屋根に雪止め金具を後から付ける場合に使う雪止め金具になります。基本雪止め金具を探している方はこちらをお探しの場合が多いです。
今度は後付の雪止め金具をまとめました。ご参考までにどんなものがあるか見てみましょう。
基本的に屋根の部材などにかませるものが多いように感じます。実際ハゼなどに噛ませたり、屋根の隙間に挟めて施工することが多いです。
どちらも間違えるとつけることができません。間違えないように慎重に選びましょう。また、海外に多いシングル屋根は後付施工が基本的にできませんので要注意です。
屋根の種類
次に調べるべきなのはつけたい屋根の種類です。
実は屋根の種類これが一番重要です。
星の数ほどある屋根のメーカーと型番を調べてそれに適応するかどうかを調べなくてはなりません。
それでは実際にどんな屋根の種類があるか見ていきましょう。画像も載せて起きますのでご自分の屋根の種類は特定できるはずです。ただ型番などは特定はできません。家を建ててもらった工務店などに聞きましょう。
屋根の種類とその屋根に使う雪止め金具をまとめたものをリンクで貼って起きます。それぞれどんな物があるか知っておくために見ておきましょう。
段葺(横葺)・平葺
屋根の葺き方が横になっています。そのため横葺きとも言います。
また屋根の見た目があまり変わりませんが平葺きというものもあります。
瓦棒(トタン屋根)
昔によくあった屋根で金属板を屋根にして細い角木(心木)を縦に置き金属板と同じキャップを角材にかぶせた屋根です。ただ心木がない場合もあります。
立平葺
上で上げた横葺きの縦バージョンです。現在の屋根の主流のようです。雪止め金具は縦に入っている葺きに挟めて使うタイプが多いです。また挟めてアングルを固定するタイプも多いのが特徴です。
コロニアル(スレート)
コロニアルはスレート材の一種で薄い板状の屋根です。コロニアルというのは実は商品名で実際の種類としては「スレート材屋根」となります。ウォークマンみたいなものですね。
コロニアルのアングルタイプは先にある三角の部分にアングルを通して固定するものです。
波板
家の屋根では余り使うこともないかもしれませんが、車庫などの屋根に使うこともある波板屋根です。古い工場でも波板上の屋根もありますね。雪止め金具は基本的にはアングル固定タイプになります。
瓦屋根
瓦も和瓦と洋瓦があるので、簡単に瓦屋根とだけ言うことはできません。雪止め金具も和瓦用と洋瓦用にしっかりと分かれています。
平板瓦(F型瓦)は大きく分けると洋瓦になりますが、それ用の雪止め金具があるほど形状が違います。防災がわらも平板瓦になります。
瓦屋根対応の雪止め金具をまとめた記事を書きました。もしご自分の屋根の瓦のメーカーや名前がわかる方はご参考までに。
このように屋根の種類は多岐にわたっています。
この中でどれが付けたい屋根の種類なのかを正確に知らなければなりません。
上の写真のようにグーグルなどで画像で調べるのもアリですね。
ただ屋根の種類がわかってもそれだけで雪止め金具が適応するわけではありません。
雪止め金具の形の種類
雪止め金具の形状はこの2つに分けることができます。
- 屋根に直で取り付けるタイプ
- アングルに取り付けるタイプ
屋根に直接取り付けるタイプは瓦の下に釘で打ったり、屋根の葺き部分を挟み込んで固定して取り付けるタイプの雪止め金具です。この雪止め金具だけで雪を留めますので雪に接する部分がアングルタイプに比べて少なくなります。
アングルタイプは屋根に固定して、L型の鉄棒のアングルと呼ばれるものを固定するための金具として使う雪止め金具となります。そのアングルで雪を止めます。
羽根付きの屋根取り付けタイプ
アングルタイプ
こちらは屋根に付けた金具でアングルを固定し雪止めとして使うタイプです。アングルを防波堤のようにして雪をせき止めるため金具のみで止めるよりは効果は高くなりますが、景観は多少悪くなります。
これら多岐に渡って種類がある中から正確に一つピッタリと合うものを探し出す必要があります。他にもバレーガードといわれる工場の山谷が連なっている谷の部分につける雪止め金具がありますが、個人で使う方は少ないと思います。
雪止め金具の適応しているかどうかの選び方
正直これはかなり難しいです。ただヒントがあって例えばインターネット購入の場合メーカー名が書いてあることが多いです。スワローやニイガタ製版など。
これらの製造会社に電話して聞くのが一番いいでしょう。雪止め金具を作っているメーカーはどの屋根に対応しているか対応表があります。そして逆にホームセンターや楽天のお店などは売ってはいるものの対応表を持っていることは少ないでしょう。
なぜなら対応表といっても屋根の種類はたくさんあり新商品も増えています。それ向けに作っているメーカーでなければ対応はできません。下に雪止め金具メーカーをまとめておきます。
それともう一つは雪止め金具をつけること自体を工務店に頼んでしまうというパターンです。屋根の工務店さんならプロですのでどの屋根にどの雪止め金具が対応しているかは一目瞭然のはずです。
その場合は全国の様々な工務店が登録している比較サイトで見積もりをとってみましょう。基本的に見積もりは無料なのでバンバンとっておいても損はありません。下に無料見積もりができる屋根工務店比較サイトをまとめておきます。
雪止め金具メーカー
屋根工務店比較サービスサイト
雪止め金具の取り付け方【必要な数・位置・間隔】
正直これだけは簡単にはお応えできません。
- 地域の積雪量
- 屋根の勾配
などさまざまな要因が関係してくるので。
ですので、一般的なお話をさせていただきます。
※これは一般的なお話で地域の屋根施工業者さんに聞くのが1番正しい方法となりますのでご注意ください。
まずは初歩的なところでつける向きを間違えないように確認。
このように屋根の軒先の近くに将棋の歩兵のように一直線に並べます。
このように何列が並びの列を作り、写真を取る際にみんなの顔が出るような感じで交互に設置していきます。
札幌市の雪止め金具設置方法例
例えば札幌市の場合雪止め設置の手引書があり、それによるとまず最大積雪量は、1.4m設定で、雪止め設置基準もある程度決まっているようです。
設計積雪量:1.4m
雪止め金具の取り付けピッチは、横方向間隔405~455mm(屋根のハゼ)間隔につける
- 屋根勾配2.5/10以下の場合、屋根のハゼ(立ち上がり部)方向に3.6m間隔以下。金物配置密度=0.6個/平方メートル
- 屋根勾配2.5/10-3.5/10以下の場合、屋根のハゼ(立ち上がり部)方向に2.4m間隔以下。金物配置密度=0.9個/平方メートル
- 屋根勾配3.5/10-4.5/10以下の場合、屋根のハゼ(立ち上がり部)方向に1.8m間隔以下。金物配置密度=1.8個/平方メートル
- 屋根勾配4.5/10以上の場合、屋根のハゼ(立ち上がり部)方向に1.2m間隔以下。金物配置密度=2.4個/平方メートル
となっているようです。
ここでよくわからないという方は施工は施工業者に頼みましょう。餅は餅屋です。
このブログでは施工業者さんに買うべき雪止め金具を聞いて、ネットやホームセンターで安く仕入れて、施工業者につけてもらうというをおすすめいたします。
太陽光パネルがある屋根には雪止めネット
太陽光パネルってつるつるしていてそもそも雪が滑りやすくなっています。
その場合大量の雪が一気に滑り落ちていくので、金具だけでは止められません。
そこで軒先につける雪止めネットというものがあります。
雪止めネット
こちらは屋根の軒先にネットを貼り、落雪を防ぐものです。雪止め金具と併用することをおすすめいたします。物によっては雪止め金具にワイヤーを取り付けてネットを貼るものもあります。
雪止めネットについてはこちらで更に詳しくお話しています。
雪止めの効果と注意点
Q.雪止め金具をつければ、雪はもう落ちてこないの?
A.答えはノーです。スタッドレスタイヤを履いたところで滑るときは滑ります。それとおなじで100%落ちないということはアリません。あくまで落ちにくくなるというだけです。
ただ冒頭でも説明したとおり、もし落ちて隣の家などに被害が出た場合はもう取り返しが付きません。ですので、車で言うスタッドレスタイヤやドライブレコーダーと思っていただければと思います。
Q.取り付けた際に雨漏りはしやすくならない?
A.ちゃんとした施工業者さんに頼めば大丈夫です。DIYで雪止め金具をつけたり、適当な施工業者さんの場合は雨漏りをしてしまう可能性が高いです。
雪止め金具はDIYで取り付けられるか?
多くの方がまず自分でつけてみようとします。ただ実は屋根での作業は高所作業にあたり、高さ2m以上はフルハーネスなど高さによって必要な装備が法律で決まっています。また屋根作業での落下事故はかなりおおく、それによって年々高所作業に必要な作業着や安全対策も厳しくなってきています。つまりDIYでつけようとはせずに施工業者に頼みましょう。
雪止め金具の種類だけ聞いて安くネットなどで購入するだけでも節約できると思います。またその種類を聞くのもメーカーなどに聞かず自分で判断した結果間違って買ってしまう場合が多くなっています。ホームセンターに戻しに言ったりネットで送料負担で返品していてはお金や時間の無駄になります。
施工代金も大体相場が6~10万くらいなようです。
今は色々便利な時代でネットで入力するだけで無料でお見積りできるとこも結構あります。上でもまとめていますので、見積もりだけでもしてみることをオススメします。
まとめ
雪止め金具は隣の家や人に被害を与えないためにも雪の古地域では必要なものです。お話したように様々なメーカーが様々な屋根に合わせて様々な雪止め金具を作っています。
その中から素人が自分の屋根にあったものを見つけ出すのはほぼ不可能です。まずは屋根の種類と型番を導き出して、初心者であれば素直に業者に取り付けてもらいましょう。
高さが2m以上はすでに高所作業の法律圏内です。フルハーネスや命綱など装備がない場合は作業はしてはいけません。そのことを念頭に置きご自分で作業することのないようにしましょう。屋根は意外に滑ります。思っているより傾斜もあります。事故もかなりあります。気をつけましょう。
大雪や台風から窓を守る窓枠ガード
屋根の雪はこうやって処理しよう