雪がよく降る地域では屋根に雪止め金具が付いている家が多くあります。ただ雪止め金具ではなく屋根にネットを雪止めとして張っている家も見たことがあるかもしれません。
雪止めネットや落雪防止ネットと呼ばれるそのネットは文字通り雪を屋根から落とさないためのネットとなります。以前雪止め金具の種類や選び方をご説明させていただいた記事で軽く雪止めネットについても触れました。今回はも少し詳しく雪止めネットについてお話したいと思います。
雪止めネットはどんな物があるのか、雪止め金具だけではだめなのか、雪止めネットの取り付け方法などをお話します。
年間多くの建築資材の展示会に出席する管理人が建材メーカーの営業さんから聞いた話や自身が働く資材屋で聞くお話や人気を踏まえてお話します。これで屋根の雪止めネットについて詳しくわかります。
雪止めネットを使う理由とは
雪止めネットを張る意味は簡単に言うと
ネットを張ることによって雪を摩擦で滑り落ちにくくする
のが目的となります。つまり雪国の方なら経験する屋根からドサッと大量の落雪がよくありますが、あれを防ぐのが雪止めネットを張る理由となるわけです。雪がふらない地方の方はわざわざ雪を屋根に留める理由はわからないと思いますが、実は雪は湿り具合によっては1立方メートルで500kgにもなると言われています。それが
カーポートや下の人、隣の家
などに落ちた場合はどうなるか想像がつくと思います。雪止め金具の記事でも書きましたが法律に触れてしまう可能性もあります。そのために雪を屋根に留めておく必要があるのです。そして落雪を防ぐことによって以下のメリットがあります。
- 隣の家への迷惑にならない
- 下にあるカーポートや歩く人を守る
- 軒先の雨樋を守る
といったものです。どれもトラブルや金銭の問題に関わってきますよね。それらを落雪からしっかり守るのが雪止めネットの効果となります。
それって雪止め金具も同じ効果だけど。と思った方もいらっしゃるかと思いますので説明します。
雪止めネットと雪止め金具の効果の違い
どちらも屋根から落ちる雪を防ぐ屋根資材となります。もちろん2つとも使うと効果は倍増なのですが基本的な効果は一緒なのに2つ使う理由またはそれぞれの違いとは何でしょうか。それは
- 軒先に特化している
- ネットで効果範囲が広い
- 物によって太陽光パネルからの落雪にも使える
といったものになります。それぞれ説明します。
軒先に特に強い雪止めネット
ほとんどの雪止めネットの形を見てもらえればわかると思いますが、軒先に付ける部分が盛り上がっており雪を抑えるような形をしています。そこで雪が留まり軒先からの落雪を起こしにくくなり結果雨樋なども守られるようになります。
大げさに描くと下記のような違いになります。青い線が雪となります。
もちろんわかりやすく大げさに書いたのでここまで効果は発揮されるとは限りませんが、雪止め金具で雪を抑え、さらに雪止めネットを使うことで軒先でさらに滑り落ちにくくできます。
ただ上の図には書いてないのですが、風の影響で軒先にできる雪庇という垂れ下がってくる雪と氷の半分くらいのものは風が影響するため防ぐことはできません。そこは要注意です。
ネットを広げて張るため効果範囲が広い
当たり前ですが、雪止め金具は屋根に一定のピッチごとに取り付けていきます。雪が多めのところは2~3列、そこまで降らないところは1列に取り付けますが、雪止め金具と雪止め金具の間の空間はもちろん何もありません。その隙間から雪が滑り落ちることがあります。
ですが雪止めネットの場合は基本屋根の軒先全体に張るため、ネットを敷いているところ全てに摩擦が生じて雪が滑りにくくなります。また軒先も盛り上がっている形状のネットもあるためさらに効果は高くなります。
太陽光パネルからの落雪を防ぐことができる
上の図を見ていただけたらわかるように太陽光パネルは屋根の上に設置されており底から滑り落ちる雪は、すでに雪に埋もれてる雪止め金具では防ぎきれません。
もちろんすべての雪止めネットで防げるわけではありませんが、太陽光パネル用の雪止めネットであれば屋根の上にある雪が滑りやすいパネルからの落雪も防ぐことができます。
他にも景観が良いという方がいらっしゃいますが、それは人によるかなと思います。ポツポツ屋根に合わせた雪止め金具のほうが自然な感じもしますし、ネットが軒先に構えているのが全体的に統一感があると言われればそうのような気もします。
雪止めネットの種類と選び方
まずは素材ですが、
- 合成樹脂被膜のネットタイプ
- 金網タイプ
があります。こちらはネットのほうが運搬や設置が少し楽で金網はネットに比べ雪への摩擦影響を起こしやすく耐久性や強度も強くなります。
そして形状。雪止めネットには大きく分けて3種類あります。それは
- 完全なただのネット
- 軒先で抑える防波堤型ネット
- 更に高く守る太陽光パネル用ネット
正直いうまでもなく選び方は感づかれている方もいるかと思いますが、説明していきます。
平面ネット型
こちらはこのまま屋根に設置して落雪時に雪への摩擦を高めて雪を止めるタイプの雪止めネットです。完全に雪をとめるというよりは摩擦によりゆっくりと雪を落とすようにしむけるのが大きな狙いとなります。
比較的雪が少なめのところや一気に大きな雪の塊が落ちなければ落雪を気にしないという方向けとなります。
他の2つと比べて平面なネットなので軽量で屋根への運搬や設置も簡単です。スワロー工業さんのネットメルや昔から根強い人気のあるキョーワさんのゆきもちくんが有名です。
スタンダードな防波堤型ネット
こちらは一般的な雪止めネットとなります。
ある程度雪が積もる地域で使うもので特に落雪を防ぎたい方のために、軒先部を屋根に合わせて垂直になる三角形を形成し雪を海の波を防ぐ防波堤のように留めます。また雨樋などへの被害もかなり抑えられます。
スワロー工業さんのスノーZneoやキョーワさんのゆきもちデルタなどが人気で一般的によく出るタイプのスタンダードな雪止めネットです。
太陽光パネル用雪止めネット
軒先の防波堤部分を太陽光パネルより更に高くすることで太陽光パネルから滑り落ちる雪を受け止めるタイプの雪止めネットです。太陽光パネルを設置している方は迷わずこちらを選ぶことになります。
こちらはスワロー工業さんのスノートラスやキョーワさんのスーパーデルタが有名です。
雪止めネットの取り付け方
正直こちらは各メーカーによって異なってくるので各メーカーの施工マニュアルを見ていただくことになりますが、基本的な流れは一緒です。まず覚えておくことは
雪止めネットは上からと下から支える
ということです。下は軒先に引っ掛ける形で上からは雪止め金具や専用金具につなげて設置します。上でご紹介したゆきもちくんシリーズとスワロー工業のネットですとスワロー工業さんの方が設置が簡単です。
- サイズを調整する(ゆきもちくん)
- 上へ運搬
- 雪止めネット設置場所を確認
- 上部取付金具を設置
- 下部取付金具を設置(ゆきもちくんとフック無スノーZ・ネットメル)
- 取り付け端部でしっかり固定されるように調整
という流れになります。
上部の取付金具は基本的に雪止め金具と一緒で屋根の種類によって選ぶ金具が変わってきます。平葺だったら平葺き用、瓦だったら瓦用を選びましょう。ただもとからある雪止め金具やアングルに番線を巻きつけてネットと固定する方法もあります。その場合はステンレス番線のスワロー工業は直径1.2mm、ゆきもちくんは直径4mmの物を使いましょう。
下部の軒先金具ですが、スワロー工業さんの場合はフックありと無しでまず雪止めネットを選びます。フック付きは軒先30mmのみとなっているためそれ以外の厚さの軒先にはフックなしを選び軒先フックを別で購入します。
ゆきもちくんシリーズの場合は雨樋に引っ掛けるフックと軒先の幅で選ぶフックをまず選び、軒先の高さによる選びはスワロー工業さんと同じく選びます。
まとめ
ご近所のトラブルや事故につながる屋根からの落雪。こちらを防止するためには雪止め金具や雪止めネットなどの対策ができます。
今回は雪止めネットについて詳しくご説明させていただきました。
ただ簡単な取り付け方を説明いたしましたが、屋根での作業になるため高所作業で安全帯やヘルメットなどの装備は必須です。個人での取り付けはおすすめできませんので業者さん などに頼みましょう。業者さんに頼めば屋根のタイプから取付金具も選んでくれますし、屋根に対してどれだけの数がいるかの計算もすべてやってくれます。何より安全です。
ただ最後に注意点です。
今回の雪止めネットを設置すると屋根での雪下ろし作業などはできなくなります。雪下ろしが必須なほどの豪雪地帯には向かないものとなりますのでご注意ください。状況で雪止め金具がいいか雪止めネットがいいのか選びましょう。
屋根の雪下ろし作業についての記事はこちら
雪止め金具についての記事はこちら