穀物、特にお米を収穫する際にライスセンターまで運搬する際に使うフレコンバッグには専門の運搬袋があります。有名なのが田中産業さんのスタンドバッグシリーズと三洋さんのロンバッグシリーズの2種類。
どちらも有名でお米用の大型運搬もみがら袋、穀物用フレコンバッグ、単純にグレンバッグなど色々な呼び方がされています。2種類とも同じ使い方をするバッグですが、どちらがいいのか悩んでいる方も多いのではないのでしょうか。
今回は有名な2つの穀物用フレコンバッグのスタンドバッグとロンバッグをそれぞれ詳しく見て行きたいと思います。
年間数多くの農業資材メーカーの方とお話する機会の多い管理人が、その時効いた話や、自身が働く資材屋での人気や裏話を含めてお話していきたいと思います。スタンドバッグとロンバッグの徹底比較していきます。
スタンドバッグとロンバッグの共通点と選び方
まずは2つの共通するポイントを書いていきたいと思います。それは穀物用フレコンバッグの選び方(こちらの記事でもお話しています)にも当てはまってきますので覚えておきましょう。
- 素材はPPとメッシュ
- ライスセンター用と一般用
- 丸型と角型
- 自立式と非自立式
の選択肢を選んでいき決めていきます。それぞれ簡単に説明をしていきます。
穀物運搬用フレコンバッグの素材
基本的に素材はPP(ポリプロピレン)とメッシュの2種類になります。穀物だけでなく野菜運搬用フレコンバッグにも多いのですが、この違いはズバリ蒸れにくいかそうでないかです。
メッシュは網戸のように穴が空いており通気性がかなり良くなっています。蒸れないようにするアイテムなどもあるのですが、乾燥機にかけるまでの時間籾を入れておくフレコンバッグから蒸れにくくしておくことで品質を保てます。
またメッシュは紫外線にも強いと言われており多少劣化を遅らせます。
すぐに乾燥機にかけられる状況か籾殻蒸れ防止アイテムを使える状況出ない限りメッシュを選んでおくのが安牌です。
ライスセンター用と一般用のフレコンバッグとは
田中産業さんと三洋さんのフレコンバッグにはライスセンター用というものがあります。RC用とも書かれていますが、何が違うのかわからない人も多いかと思います。
ライスセンター用のものは生協さんのライスセンターで使う専用のフレコンバッグ仕様になっています。ライスセンターは持っていったお米の籾を乾燥・籾摺り・選別までしてくれる施設のことです。
実際に一般用との違いはフレコンバッグの排出口の口径や長さが変わります。例えばロンバッグHGのRC用は排出口がΦ500x50cm一般用はΦ200x100cmとなっています。田中産業の場合はスタンドバッグスターではRC用はΦ450x60cmで一般用はΦ300x31cmとなっています。
ロンバッグHG排出口 | スタンドバッグスター排出口 | |
RC用 | Φ500x50cm | Φ450x60cm |
一般用 | Φ200x100cm | Φ300x31cm |
ですのでライスセンターで乾燥するか自分で乾燥するかで選択しましょう。
角型と丸型のフレコンバッグ
フレコンバッグには大抵角型と丸型があります。穀物運搬用袋では田中産業と三洋のイメージで行くと丸型が田中産業、角型が三洋のフレコンバッグというイメージですが、田中産業にも角型のものはあります。
一般的に角型は倉庫などで並べた際にキレイ並べられ隙間ができにくいと言われ、フレコンバッグを幾つか並べる際は角型のほうがたくさん運びやすいそうです。ただメーカーさんは完全に好みですと言ってました。お米の運搬に関してはそんなに気にするほど違いはないのかもしれません。
自立型かそうでないか
こちらの違いはそのままです。フレコンバッグがフレコンスタンドがなくても立っていられるかいられないかです。ただ田中産業のスタンドバッグシリーズも三洋のロンバッグシリーズもほぼ自立型です。例外は三洋さんのロンバッグだけがロンバッグホルダーを組み合わせて立たせることができる自立でないタイプになります。
他にも折りたたみ式かそうでないかなどもありますが、こちらもロンバッグのみ折りたたみ式ではありません。
スタンドバッグシリーズとロンバッグシリーズ
それではまず田中産業さんのスタンドバッグシリーズと三洋さんのロンバッグシリーズを見ていきたいと思います。
まず田中産業さんのスタンドバッグシリーズを簡単にみると
- スタンドバッグスター:グレンバッグシリーズ最上位モデル
- スタンドバッグPROスター:人気No1モデル
- グレンバッグユーススター:麦におすすめのモデル
- スタンドバッグ角スターI:横から押すだけ排出
- スタンドバッグ角スターII:横から押して引いて排出
- スタンドバッグ角プロII:組み立て角タイプ
の6種類に分かれています。
次に三洋さんのロンバッグシリーズの種類は
- ロンバッグHG:ロンバッグシリーズ最高位モデル
- ロンバッグSP:下に潜らず排出可能
- 真ロンバッグエース:汎用モデル
- ロンバッグ:廉価版穀物用フレコンバッグ
の4種類となっています。
それぞれクラスごとに比較を見ていきますが、その前に小ネタを挟むと三洋さんはロンバッグシリーズをすべて自社生産をしており全て新JIS規格合格品を取っています。対する田中産業さんは外注生産とのことでした。
保証はどちらも仕様1回目のみで、未使用1年です。フレコンバッグは使用保証1回なのはどのフレコンバッグも変わりません。
最高クラス!スタンドバッグスターとロンバッグHG
2つともシリーズ最高クラスのモデルです。それぞれのスペックを見比べてみましょう。
スタンドバッグスター | ロンバッグHG | |
素材 | メッシュ | メッシュ・PP |
容量 | 800・1300・1700L | 1300・1600・1800L |
自立補強 | ジャバラホース上下・グラスポール | 縦横プレート背骨・補助テープ |
耐久性 | 縦・横ベルト補強 | 縦・横ベルト補強 |
RC・一般 | RC・一般 | RC・一般 |
となっています。
どちらも組み立て式で折りたたみも可能でバッグの下に行かなくても排出可能となっています。田中産業さんはスタンドバッグスターカバーも出しており防鼠剤入りの機能もついています。
スタンドバッグスターはメッシュのみで自立するためにジャバラホースが上下にあります。そこにグラスファイバーポールで強化。耐久性も縦と横に補強ベルトをつかっており最高に仕上げています。
ロンバッグHGも負けてなくHGはハイグレードの略で、その名の通りメッシュとPPから素材を選べて自立には縦と横にプレートが入っています。更にスタンドバッグスターと同じく縦横に補強ベルトで耐久性も仕上げています。
上位モデルのスタンドバッグPROスターとロンバッグSP
こちらもシリーズ上位モデルの2つ。一般的にシリーズの中でも人気が一番あるタイプです。
スタンドバッグPROスター | ロンバッグSP | |
素材 | メッシュ | メッシュ・PP |
容量 | 1300・1700・1900L | 800・1300・1600・1800・2200L |
自立補強 | ジャバラホース上・グラスファイバーポール | グラスファイバーポール |
耐久性 | 縦ベルト補強 | 縦ベルト補強・吊手補強 |
RC・一般 | RCのみ | RCのみ |
どちらもバッグの下に入り込んで排出作業をする必要がないので安全面でも安心で折りたたみ可能な設計になっています。
スタンドバッグPROスターも上位モデルのスタンドバッグスターと同じくメッシュタイプのみ作られています。自立補強として上にジャバラホースを縦にグラスファイバーポールを使っています。ただライスセンター仕様のみの選択となっています。
ロンバッグSPはスペシャルの略となります。メッシュタイプとPPタイプから選択でき、容量も幅広いサイズから選べます。自立補強はグラスファイバーポールを縦に入れてあります。吊り手にはシートベルト2重レベルの補強がされており、オプションであるL-1000という延長排出口をつけることで一般用乾燥機排出口になり一般対応となります。
汎用モデルグレンバッグユーススターと真ロンバッグエース
どちらもシリーズの汎用モデルとなります。
グレンバッグユーススター | 真ロンバッグエース | |
素材 | PPのみ | メッシュ・PP |
容量 | 1300・1700L | 1300・1600・1800L |
自立補強 | ジャバラホース上下・グラスポール | グラスファイバーポール |
耐久性 | 縦ベルト補強 | 縦ベルト補強 |
RC・一般 | RC・一般 | RCのみ |
どちらも折りたたみ可能で自立式モデルです。
スタンドバッグユーススターの方は自立性はかなりよく排出作業も横からできる安全モデルですが、素材がPPのみとなっており蒸れには弱くなります。比較的安価な汎用モデルの割にしっかりとした作りをしています。
対する真ロンバッグエースは下から排出をするしかなくライスセンタータイプのみとなっておりHG・SPのような一般用にするオプションもありません。ですが素材はメッシュとPPから選べます。
スタンドバッグ角スターとロンバッグ
次にグレンバッグ角スターとロンバッグです。この2つは同じランクと言うよりは角スターの方が若干上のランクだと思いますが、スペックを書いていきます。
スタンドバッグ角プロ | ロンバッグ | |
素材 | メッシュ | PP |
容量 | 1300・1700L | 1000・1300・1600・2000L |
自立補強 | グラスポール | フレコンスタンド必要 |
耐久性 | なし | なし |
RC・一般 | RCのみ | 一般のみ |
スタンドバッグ角プロはまだ穀物用フレコンバッグと言えますが、ロンバッグの場合は普通のフレコンバッグと言えます。特にロンバッグの場合は穀物に特化している部分はないので間違ってはいないでしょう。
スタンドバッグ角プロはライスセンター専用のみとなります。作りもメッシュのみで特に他のグレンバッグスターのような補強ベルトは付いていません。ただ自立式には一応なっておりグラスファイバーポールがついています。横からの作業もそのままで下に潜り込む必要がないので安全面でも安心です。
グレンバッグシリーズの角モデル
グレンバッグの角型のモデルはグレンバッグ角プロ以外は受注生産となっており、1型と2型とあります。
スタンドバッグ角スターI | スタンドバッグ角スターII | |
素材 | メッシュ | ポリエステルフィラメント糸(塩化ビニール樹脂加工) |
容量 | 1300・1700L | 1300・1700L |
自立補強 | グラスポール・クロスポール | グラスポール・クロスポール |
耐久性 | 縦・横ベルト補強 | 縦・横ベルト補強 |
RC・一般 | RCのみ | RCのみ |
1型と2型の違いは素材と排出方法が1段階か2段階か後街となっています。どちらも横から排出可能で安全です。1型はサイドから押すだけで排出、2型はサイドから押して紐を引いて排出のタイプです。
まとめ
穀物、特にお米を運搬するのによく使われるフレコンバッグ。その中でも特にお米に特化している田中産業さんのグレンバッグシリーズと三洋さんのロンバッグシリーズのご紹介でした。
それぞれの選ぶポイントは値段ももちろんそうですが、
米運搬用大型フレコンバッグを選ぶポイント
- 素材はPPとメッシュ
- ライスセンター用と一般用
- 丸型と角型
- 自立式と非自立式
となっています。自分の使用に適しているものを選びましょう。どっちがおすすめどっちのメーカーが優れているというのはありません。値段と仕様に適しているものがいいと思います。