今回は板金工具の金切鋏(板金鋏)の有名ブランド「種光」から新しく出た新商品をご紹介したいと思います。そしてついでにその金切鋏で使われている鋼の種類をご説明します。
ここ半年くらいで板金工具の金切り鋏や掴箸を制作している「種光」さんで新商品や新シリーズが増えていっています。コーポレートサイト(種光ホームページ)も新たに作ったようで盛り上がりを見せている種光さん。今回はそんな種光さんの新商品と新シリーズ・コブラシリーズ、新技術ニュートルネードグリップについてお話したいと思います。
よく聞く鋼の素材はこちらでも説明していますので、もしよろしければ読んでみてください。
年間数多くの展示会に出席し、種光・盛光・直徳・東京一光などのメーカーの営業さんや社員さんと展示会などでお話する管理人がおすすめの工具、特に板金工具についてお話します。
2021年度の種光さん新商品「ダイス鋼SLD2金切鋏」
今回ご紹介する金切鋏は「ダイス鋼SLD2金切鋏」です。種類は下記の4種類出ています。
- 柳刃240
- 柳刃270
- 柳刃240 コブラヘッド
- 柳刃270 コブラヘッド
コブラヘッドというのは刃の部分がスリムなっているスリムタイプとなります。ただスリムタイプは受注生産となっているようで大体2週間から1ヶ月くらいはかかると見て間違いないでしょう。
刃は通常タイプもコブラヘッドといわれるスリムタイプも柳刃の240と270のよく使われるものとなります。ここで特徴をまとめてみましたのでまとめてみます。
- 種類は柳刃240mmと柳刃270mmとそれらのスリムヘッドの4種類
- 持ち手は新型トルネードグリップ
- 高性能新SLD鋼を使用
- ボディはハードボディ鋼
新技術・ニュートルネードグリップとは
トルネードグリップを既存のものと比べて変更した理由はよくわかりません。今まで従来のトルネードグリップでもなにかしらのクレームのような問題点は聞いたことはありませんでした。ただ変更したということは良くなっているのは間違いないでしょう。持ってみると実際従来のものよりしっくりきます。
このニュートルネードグリップは種光さんにお聞きしたところ、非常に難しい職人ならではのこだわりと技術でできた新しい規格のグリップとのこと。写真で見ると同じく有名板金工具メーカーの直徳さんのムーングリップに近い感じですが、よく見るとムーングリップとは違い横一列ではなく持ちて全体に一定の基準で斜めに溝が作られています。
こちらはニュートルネードグリップを採用したモリブデン鋼を使った掴箸です。非常に精巧な造りになっていて美しいグリップになっています。こちらも種光さんの新しいシリーズになっています。
ダイス鋼やSLDってなに?
まずはダイス鋼についてです。
ダイス鋼とは
ダイス鋼SKD11ともいい、冷間金型用の合金工具鋼の一種となります。かなりの硬さまで焼入れが可能で、焼入れ歪みも少なく汎用性もよく、よく使われる鋼となります。
ちなみに記号のSKD11の意味は、
- S(鉄)
- K(工具鋼)
- D(ダイス、金型)
- それら第11種
という意味のようです。冷間で使用する金型用の鋼ですので耐摩耗性に優れています。ただ今回種光さんの新商品の金切鋏に使われているのは、こちらをさらに改良した「新ダイス鋼」となります。
SLD-MAGIC鋼とも呼ばれ、日立金属さんの開発となります。もともとのダイス鋼よりさらに熱処理したときの金属のサイズの変化が小さく、耐摩耗性もアップしています。
もっと詳しく知りたい方はこちら→SLD-MAGICについて
SLD鋼とは
実はこちらはSKD11のことで上でも説明した、普通のダイス鋼のことです。
とこれで終わってしまうのも雑なので、かんたんに自分用のメモ程度にまとめます。SLDとは簡単にまとめると
- 炭素が多く含まれ、硬さと耐摩耗性に優れた素材
- 焼入れ性、耐摩耗性、耐熱性、耐食性、引張強度に優れたモリブデンが含まれる
- 高級刃物や包丁の刃の部分に使われることが多い
- もともと鉄さえ切断できる鋼で硬さ強度は説明不要
- サビには強くない
という特徴があります。
他にもくわしく素材による違いをしりたければこちらへ
→安来鋼の青紙や白紙とは?工具や金具で使われる鋼の種類や違い、メッキ処理まとめ
種光・コブラシリーズ
先程コブラシリーズは先細りになっているタイプと説明しました。そんなコブラヘッドは発売以来大人気な為どんどんコブラシリーズは増えていっています。現在は
- ダイス鋼コブラ 240/270mm
- ビックカットコブラ 240/270mm
- スーパーハイスコブラ 240/270mm
- HPA40コブラ 240/270mm
- ホワイトパール柳刃 210/240/270mm
- 立切 270mm
がでています。すべて1番汎用性がある柳刃の240と270mmの金切り鋏で発売されています。素材の違いは以前書いた記事をご参照ください。そのなかでも特に人気なのはオールステンレスでできているビックカットシリーズです。お値段もビックカットシリーズはコスパもよく一番人気です。
パールホワイトはきれいな見た目をしていますが、性能はスーパーハイスとほぼ変わりません。あくまでパールホワイト色にしているスーパーハイスです。また柳刃だけではなく立切もコブラシリーズで発売されています。
まとめ
今回は新発売の板金鋏メーカーの種光さんの高性能新ダイス鋼とコブラシリーズの金切鋏のご紹介でした。
ダイス鋼はSLDでは強度が少し足りないという方におすすめです。種光さんのハイスワールドワンシリーズに比べるとかなり安価でお求めやすい値段になっています。つまりかなりコストパフォーマンスに優れた鋏となっているようです。
すべてニュートルネードグリップの技術が採用されているので掴み心地で作業性もアップします。こだわりの職人の技が凝縮された新商品を試してみてください。
それまで使っていた金切鋏や使ってない金切鋏や掴箸を売って新商品の資金にするという手もあります。そんな時は工具のおすすめの買取業者にお願いしましょう。無料で見積もりもできるのでまずは見積もりをお願いしましょう。買取業者については記事も書いてますのでよろしければ読んでみてくだいさい。
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