農家さんにとって、更には無農薬農家さんや減農薬で作物を育てている農家さんに撮って最大の敵は虫なのではないでしょうか。
せっかく手塩に育てた作物を食い荒らしてしまう害虫。それらからどう作物を守るのかがキーとなってきますよね。
今回は農薬を使わない害虫対策の一つ、防虫ネットについてお話します。
数多くの農業系の展示会でメーカーさんや商社の営業さんとお話する機会の多い管理人が聞いた情報や、実際に働いている資材屋の売れ筋などを踏まえながらおすすめをご紹介します。
防虫ネットの選び方の基本
防虫ネット、または防虫網とも言いますが、そのままの意味で虫を防ぐ網です。数多くある中からどのように皆さんお目当ての防虫ネットに行きついているのか。
まずは対象となる虫を決めていきます。それを踏まえて選ぶポイントを見ていきましょう。
目合い
ネットの目合が細かくて、0.2~4mmくらいまでの目合で選べます。目合は対象とする害虫によって選ぶのが基本となります。
目合い(mm) | 対象害虫 |
0.4以下 | まだ生まれてまもない幼虫(ヨトウガ・ハスモンヨトウ・コナガ) |
0.4 | コナジラミ・アザミウマ・モモアカアブラムシ・ダイコンサルハムシ |
0.6 | ハモグリバエ・キスジノミハムシ |
0.8 | アブラムシ |
1.0 | コナガ・アオムシ・カブラハバチ・ヨトウムシ |
1~4 | モンシロチョウ・ヨトウガ・オオタバコガ・ハイマダラノメイガ |
ただ目合いだけで選ぶわけにも行きません、それはなぜかというと、
通気性
目合いでだけで選んでしまうと、虫の対策はしたものの育てる作物に影響が出てきます。そうなっては本末転倒ですね。
想像がつくかもしれませんが、目合いが小さくなればその分通気性は悪くなり0.2mm以下だと蒸れやすいというのが一般的です。
ですが最近は技術も向上しており、例えば有名なダイオ化成さんのダイオサンシャインというものでは0.6mmや0.75mmで1mmと同じくらいの通気性があるようです。
その秘密は極細の糸を使うことによるためで、サンシャインスーパーソフトなどは0.4mm目合いで62%の開口率を実現させました。
ちなみに家庭菜園などでは0.6mmくらいで十分です。
色
色?!と思われる方もいるかも知れません。ただカラスがキラキラ光るものが好きというように虫にも好き嫌いがあります。
基本的には虫はキラキラ光るもの(光が反射するもの)に近づかないという習性があり、多くの防虫ネットには銀色だったりと光る素材が組み込まれています。
そしてよく聞くのが、アザミウマ対策の「赤」。ここで少しアザミウマについて知っておきましょう。
アザミウマとは
「花の害虫」とも言われており、年間を通して発生しますが、特に夏の高温乾燥時に発生します。花卉への害、葉や果実への害などの他に「黄化えそ病」や「退緑黄化病」などウイルス病の発生の原因にもなる非常に厄介な虫です。
アザミウマは0.4mm目合いでもくぐり抜ける個体がいるので、目合いだけで対策をすると通気性にどうしても問題が出てきてしまいます。そこで赤色ネットの出番というわけです。
赤色ネットがアザミウマに有効な理由
簡単に言うと人間には赤色に見えるのですが、アザミウマには黒にみえます。そうすることで黒い壁が立っているような形にみえ、なおかつ中もどうなっているのか認識ができなくなるため、侵入しづらくなるというものです。
実際に赤色ネットで有名な日本ワイドクロスさんのサンサンネットで実験したところ0.8mmの目合いのもので白色とくらべて半分以下の寄生率となってようです。また赤の1mmと白の0.4mmで実験したところほぼ変わらない侵入防止効果を得て、さらにはウイルスも白の0.4mmより発病率が低かったという結果が得られました。
ただ気になってくるのが、赤にしたことでの作物への影響。そちらも白色の防虫ネットを使った結果と生育などに問題はなかったようです。
つまりアザミウマに対しては赤色を使わないという選択肢はありません。
日本ワイドクロスさんのサンサンネットの赤色にはe-レッドとクロスレッドの2種類があり、クロスレッドは縦横両方に赤色の糸を使いさらに効果を高めたものになります。
目合いやサイズでお選びください。
光の透過率と強度
もちろん作物を育てているわけですから、光の透過率は光合成にとても必要で重要視しなくてはいけない部分です。簡単に選択するのであれば、85%以上あれば問題はありません。
またある程度の強度も大切になってきます。ほつれや破れがすぐにでて防虫ネットを貼っても効果がなくなってしまうことはよくあります。
それらを考えると日本ワイドクロスさんのサンサンネットは特におすすめできますし、実際かなり人気があります。透水性・透光性・通気性・強度を平均的に考え効果を出したいのであればサンサンネット、通気性をさらに高めたいのであればサンサンネットソフライトがおすすめです。
ソフライトでも強化糸を一定間隔で織り込んでいるので、普通のものよりほつれや破れに強くなっています。丈夫さならサンサンネット、通気性ならソフライトがおすすめです。
まとめ
今回は農家さん向けにご紹介しました。ただ家庭菜園などでは上でもちらっといいましたが、目合い0.6mmを選んでおけば大丈夫です。
ある研究結果によると虫による食害限定になりますが、防虫ネットの0.6mm~2.0mmまでをそれぞれ貼り効果を実験したところ、0.6mmではほとんど食害はでなかったようです。
また通気性や透過率などを考えても0.6mmがもっとも平均的にコストパフォーマンスがいいでしょう。総合的に特に対象がいない場合は0.6mmを使いましょう。
ただその研究をしたところは簡単に言うとこうも言っています。
「アザミウマやハダニなどには侵入防止効果をほとんど得られなかった。完全な防除は0.6mmでは難しい。」
ですので対象とする害虫がある程度定まっているのであれば、それに適応した目合いや色を使いましょう。
ちなみに家庭菜園の場合は防虫ネットの上から水やりなどをして、ネットを外すといったことはしないようにしましょう。
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