プロの農家の方でも趣味で農業をする方でも害虫対策に困っていない方はあまりいないと思います。金銭的にもまわりの畑なども考えて、常に農薬をぶちまけるわけにも行かず虫が憎いという方はたくさんいらっしゃいます。
害虫だけではなく害獣や鳥に対しても言えることですが、それらから田畑を守るにはまず「入れない」ということが大事になります。ただ害獣や鳥は入られてしまうとどうしようもないのですが、虫に関してはまだ入られてもまだ対策の仕様があります。その一つが捕虫シート。
農業だけに限らずハエ取りシートなどはご家庭でも使っておられるところが多いと思いますが、今回は農業に使うことに限定した捕虫粘着シートについてお話します。
年間数多くの農業資材系の展示化に出席し多くのメーカーさんとお話することの多い管理人が、メーカーさんから聞いたお得なお話や自身が働く資材屋での人気などを踏まえてお話します。これを読むと捕虫粘着シートについてはバッチリです。
黄色と青の捕虫シートがあるけど色による効果の違いとは
まず基本的に粘着シートは虫に対して誘引剤や薬剤を使わず色だけで引き寄せて駆除するためのものと覚えてください。
農薬を使わずに害虫を駆除できる捕虫シートは価格も安く取り入れやすい害虫対策です。ただ購入をしようとしたときに困るのが色。シートに関して言えば基本的に黄色と青がありますよね。どちらを使えば良いのか説明します。
簡単に言うと黄色と青では効果のある虫が変わってきます。下の表にまとめて見ました。
黄色 | 青 | |
効果のある虫 | ハモグリバエ類、ミカンキイロアザミウマ、チャノキイロアザミウマ、ユスリカ、カスミカメムシ、コナジラミ類、ウンカ類、ヨコバイ類、タネバエ類など | ミナミキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、アザミウマ類など |
他にも小泉製麻さんという農業・土木・資材系メーカーさんでは緑色というものもありました。緑はアブラムシに特化している捕虫シートだそうです。
ハエやコバエに効く粘着シートとは
家庭だけでなく畑にもビニールハウスにもゴミ捨て場にもどこにもわくこのハエとコバエについて言えば基本はよく見る黄色の捕虫粘着シートが良いとされています。
基本的にはハエは壁や天井など場所を選ばずどこにでも止まり、主に窓際などの出入り口や電気の近くなど暗いところよりは明るいところを好みます。そして色としては茶色、飴色、黄色などを好むとされていて飛ぶ高さも1~2mの場所を飛ぶので、それらを踏まえて黄色系のシートを設置しましょう。
ただある実験では捕虫ライトで蛍光黄色を使った場合あまりハエの捕虫効果はでなかったとの報告もあります。ハエに関して言えば黄色寄りのほうが良いものの貼る場所のほうが大切かもしれません。
まとめると
基本的にはそのように粘着シートを選びましょう。ただ他にも赤・白・オレンジなどの効果もありオレンジは人参バエ、白はアブラムシやハエ・カメムシ・リンゴハバチなどに。そして赤はヨコバイに引き寄せ効果があるとされています。
虫取り粘着シートの種類
粘着シートは大きく分けると
- 紙製
- プラスチック製
- ロールタイプ
に分けることができます。基本的な見分け方として粘着シートの場合はプラスチックの場合が多く、粘着紙の場合は紙製です。ロールタイプは見れば巻かれているのですぐにわかります。それぞれ説明します。
紙タイプ
粘着紙と書いてある紙タイプの虫取りシートは殆どのメーカーで扱っているタイプになります。紙はプラスチックに比べて強度などに問題はありますが、折り曲げることもできてあとに紹介する効果的な使い方をしやすくなります。そして取り替えることの多い虫取りシートですが紙製であれば捨てやすいのも利点になります。
ただ水にとても弱いので、基本は濡れたら使えなくなりますしハウス内や雨が当たらない場所でしか使えません。
プラスチック製
プラスチックの特性はやはり気候の変化に紙より強いという点があります。雨が降っても乾けば粘着力はそんなに落ちないものが多く紙より上部でしっかりと面積を保ったまま吊り下げておくことができます。
ただ処分がすこしかさばって面倒なのと紙のように折り曲げるということもできません。長期的に使うことはあまりないと思いますが、紫外線により変色して色落ちすることも考えられます。
ロールタイプ
ロールタイプは面積を自在に決めることができます。またビニールのような素材のものが多いので雨などにも強く外や施設の側窓・天窓や出入口付近にも簡単に設置することができて使いやすいです。とはいえすべてが外に使えるものではなくビニールハウス内で使うことが前提のものもあるので注意が必要です。
虫取りシートの効果的な使い方
まずは短冊状になっている吊り下げるタイプの粘着シートの基本的な使い方ですが、
- 2~3m幅ずつセットしていく
- 害虫駆除には10aに200~400枚セットする
- 様子見の場合は10aに20~30枚をセット
となっています。次に設置する高さですが虫の種類によって変わってきます。まとめると
- コナジラミ類:作物の成長点に合わせる
- アザミウマ類:地面から50cm以下
- ハエ:地面から1~1.5m
設置場所は
- ハウスの出入り口
- 防虫ネットの外側と内側
- ハウスの壁際
農業で使う場合は上記が基本となりますので、その様にセッティングしていきましょう。またロールタイプはパイプや支柱を使いジグザグに張り巡らせましょう。その時はできるだけたるませずにピーンと貼るようにすることでより効果的に捕虫できます。
虫の習性を利用した使い方
実はコナジラミなどは葉っぱの裏に止まりやすいという性質があり、どうやらそれは葉っぱの模様にあるひし形模様で判断されているという研究結果があるそうです。実際に粘着シートに葉っぱの模様をつかただけで捕虫効果が上がったという成果も上がっています。
それを利用して紙製の短冊形の粘着シートをアコーディオンのように3cmごとに山折り谷折りを連続で折ってみると、通常の1.3倍も捕虫効果が上がったそうです。コナジラミでの研究結果ですのでコナジラミ対策の場合は是非試してみてください。
メーカー別のおすすめの虫取りシート
今回は基本的には家庭というより農業や園芸などでおすすめできる捕虫シートをご紹介していきたいと思います。どれも特徴があり人気があるものばかりですのでお試しください。
ペタットシリーズ アグリセクト
こちらは前にクロマルハナバチの記事を書かせていただいたときにご紹介したアグリセクトさんの販売している粘着シートです。
大きな分類としては
- ロールタイプの「アグリトップロール」
- 黄色と青の標準粘着紙シート「ペタット」
- 外でも使える紙製濡れても乾けば粘着力回復の「ペタット20」
- プラスチック製の「アグリトップシート」
となっています。
虫ペタッと粘着シート 小泉製麻
こちらは上でも説明した緑の粘着シートがある小泉製麻さんのものです。ラトビアからの輸入品であちらでは緑や赤などのシートが使われているそうです。赤や白、オレンジなどは本国より取り寄せることもできるとのことです。害虫に合わせたカラーをお選びください。
素材はすべてプラスチック製ですが黄色のみ紙製の虫ペタッと粘着紙があり、シートは外でも使えますが、粘着紙はハウス内専用となります。
トルシーシリーズ 一色本店
愛媛県にある農業資材を作っている一色本店さんのトルシーシリーズです。ラインナップを簡単に紹介すると
- スタンダードなビタットトルシーは色(青・黄色)もサイズ(S~L)も選べます
- 人や植物そして蜂をくっつきから守るトルシーネット付き
- 捕虫用と忌避用があるトルシーロール
トルシーとトルシーネット付きは雨にぬれても乾けば使える外でも使える紙製の粘着シートです。特にネット付きは小さな害虫はくっつくけど人や植物が粘着シートの被害に合いにくい、また益虫である蜂も守ってくれるアイデア製品です。
ロールタイプは黄色と青のタイプの他に表は銀色、裏は黄色の虫除けタイプのロールがあります。そのタイプは黄色のみ粘着力があります。
高い誘引力があるカラーをつかうホリバー アリスタ
どちらもプラスチック製の粘着シートですが、人間の目には他との違いがわからない黄色と青ですが虫には他社と比べて高い誘引力がある色とのことです。実際に実験もしてみて他社より捕虫力はあるとのこと。
ロールタイプのあります。
大判サイズの虫取りカレンダーシート 三共消毒
特大サイズのハエ取りシートです。カレンダーをめくるように剥がして新しい面をだして10枚綴ってあります。ハエやユスリカ、コバエ、アブなどに効果的でとても大きい(400x650)ので畜舎などでよく使われているようです。
ブツブツ見えるのがハエの絵でハエが寄って来やすいように書いてあります。
まとめ
今回は薬を使わず害虫を駆除できる虫取り粘着シートのご紹介をさせていただきました。
虫取り粘着シートは
- 害虫によって色を選びましょう
- 高さや場所などもきちんと守りましょう
- 素材やサイズも用途によって選びましょう
以上のことを注意して選び使っていきましょう。間違った使い方や物を選んでしまうと当たり前ですが効果は発揮されません。
また農薬を使わない方法は捕虫器という選択肢もあります。フェロモンやニオイ・光で寄せ付けて捕獲する装置です。お値段もそんなに高くないものもあるので粘着シートと併用することで更に高い効果を発揮できます。