何度かこちらで書かせていただいているお米の保存についてのお話。今までは玄米や白米を保存するための保冷庫や米びつのお話やお米に虫がわかないための保存などをお話してきました。
今回は更にお米の保存についての基本中の基本、そもそもお米を長期保存するにはどうするのが基本なのか、長期保存するためのお助け道具などなどをご紹介します。ちなみに本当かどうかわかりませんが経済や情勢などが不安定になると意識的にお米を保存しなくてはという流れになりやすいそうです。
年間多くの農業資材メーカーのお話する機会の多い管理人がメーカーの方から聞いたお話や自身が働く資材屋での人気やちょっとしたお話を交えながらお話してきます。
お米を長期保存するための基本情報
まず最初に
お米の長期保存は1年が目安
です。1年以上ある程度鮮度を保って保存するのは難しく、真空状態で冷蔵庫を使っても2年持つかといったところです。
まずはお米の長期保存の基本を覚えましょう。お米と言っても玄米・白米などいろいろな状態があります。それを長期保存に適した順番に並べると
- 籾
- 玄米
- 白米
- 糠除去精米(無洗米)
の順番となります。つまりお米をどんどん精米すればするほど長期保存に向かなくなっていきます。
とはいえなにも考えずお米を保存しておくと虫が湧いてしまったり、劣化してお米自体がだめになってしまったりします。まずお米について念頭においてほしいことは
お米は生鮮食品
ということです。そのため時間とともにどんどん劣化していくため、保存特に長期保存するためには以下の要素の気をつけなくてはいけません。
お米の長期保存のポイント
- 酸化
- 虫
- 湿度
- 温度
- ニオイ
この5つです。簡単に説明していきます。
お米の酸化
まずは何を保存するにおいても気をつけなくてはいけない「酸化」。これは食べ物に限ったお話ではないですよね。まず白米は酸化していくにつれ味が悪くなり独特なニオイがでてきます。
実は酸化の味やニオイが悪くなる原因はヌカ層と言われている部分が原因で、それが空気に触れることでお米の状態を悪くします。玄米は白米に比べて酸化するスピードは遅くはありますが、それは玄米のヌカ層はさらに果皮で覆われているため酸化しにくく、逆にヌカを落としきった無洗米はヌカ層がないため酸化しにくくなります。
これを防ぐには無酸素状態にして保存することが必要になってきます。
お米に湧く虫
基本的にお米にわく虫といえばコクゾウムシやメイガなどになります。白米より玄米に湧きやすく湿気が大きく関係してくるため夏に特に対策が必要となります。
お米を虫から守る方法などは1記事丸々詳しく説明していますので以前の記事を見ていただけましたらと思います。⇒玄米や白米にわく虫たちの対処方法とおすすめアイテム
温度と湿度
お米を長期保存に気をつけなくてはいけない5つの要素を挙げましたが、実は全てにおいて関わってくるのがこの温度と湿度です。
例えば白米は温度が高くなれば酸化しやすくなり15℃以上になると虫が活発になり始めお米に虫がわきやすくなります。玄米も15℃をこえたあたりから酸化とは厳密にいえば違うのですが、酸素に触れることでデンプンが分解され味が悪くなっていきます。
湿度も大切です。お米の水分が17%を超えるとカビが発生しやすくなりので梅雨などは気をつけなくてはいけません。そして乾燥しすぎると割れが起こり美味しく食べれなくなります。
ニオイに気をつける
炊く前のお米はニオイがとても移りやすい特徴があります。そのため魚や灯油などの近くに置いて保存をしておくとニオイが移ってしまい食べるときに変な風味がしてしまうこともあります。
長期保存するためにはニオイが強いものの近くに置かないこととニオイが通らないように密閉して保存するのが基本となります。
お米の長期保存の方法
お米を長期保存するための方法としては上のパートでお話したことに気をつけなくてはいけません。その上でどんな保存方法があるかというと
- 玄米を米袋ごと保冷庫で保存
- 小分けに密閉して冷蔵庫の野菜室で保存
- 長期保存に適した米袋で冷暗所で保存
の3種類に分けることができます。
玄米保冷庫での保存
玄米で買ってきたお米を玄米保冷庫に入れて必要になるごとに精米して食べる。正直お米の保存方法で一番風味が落ちずに食べれる方法がこちらになります。
上でお話した温度・湿度・虫・ニオイなどを完璧にクリアし、玄米なので酸化ではないのですが温度によるでんぷんの分解を防ぐことができます。ただその分玄米保冷庫がないとできません。
玄米保冷庫について詳しくはこちらの記事へ⇒資材屋がおすすめする玄米保冷庫と白米保冷庫のおすすめ【お米の保存の基本】
真空状態にして保存
上でお話したお米の長期保存に気をつけるべきことを知ると、真空状態に密閉して保存するのがいかに大事なことかわかると思います。ただ勘違いされている方がたまにいるのですお米を買ってきた状態は基本的には真空状態ではありません。米袋をよく見ればわかるのですが小さな空気穴が空いており酸素が行き来できる状態になっています。
方法としてはジプロックなどの密閉できる袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。そうすることで温度・湿度・虫・ニオイ・酸化を防ぐことができます。家庭などで保存する方法として向いていますが
- なかなか真空状態にするのが難しい
- 野菜室の大きさも関係するため小分けにしなくてはいけない
- 乾燥は防ぎにくい
- すでに虫が米にいた場合は気づかずそのままパックしてしまうことがある
などの問題もあります。
ジップロックなどを使ってもなかなか完璧な真空状態にするのは難しいのですが、これはお米を保存する専用のアイテムがあるのでそれら「おこめ保存パック」などをつかえばクリアできます。それらのおすすめ商品は下でご紹介します。
ただ小分けにする手作業・野菜室の大きさなどはどうしようもありません。またパックに入れれば外からの虫の対策はできるのですが、もともと虫の幼虫や卵があった場合はそのままパックしてしまうこともあります。
この真空パック保存は大体1年位は鮮度を保って保存できるのですが2ヶ月目くらいから乾燥で風味は徐々にですが落ちていくと言われています。パッキングしてもなるべくは早めに消費しましょう。
お米長期保存用袋で冷暗所に保存
こちらはお米の量が多く冷蔵庫に入り切らない場合に有効です。場所は
風通しがよく直射日光の当たらない冷暗所
となります。なかなかそんな場所を探すのは大変ですが台所やクローゼットなどがそのような場所になることもあります。もちろん上でもお話したような理由で買ってきた米袋のままの保存ではなくお米の保存用の米袋を使いましょう。
台所によくある床下収納庫なども有効ではありますが、実は家によっては夏は温度がこもりやすく高温多湿になることも多いので一度確認してから保存しましょう。
おすすめのお米長期保存用袋
ここではお米を長期保存するにあたって話題・人気のある商品をご紹介していきます。
ネルパックシリーズ
お米の長期保存するアイテムの中では一番知名度があると言っても過言でないのがこちらのネルパックシリーズ。お米や穀物を鮮度を保って長期保存できる袋です。ほぼ真空状態にするため酸化や虫からお米を守ることができます。
使い方も保存袋にお米を入れて脱酸素剤エージレスをいれてクリップで密閉するという簡単なもの。エージレスがピンクになると準備が整った合図。そこから15分以内で作業し密封します。保存袋に穴など空いていなければエージレスを交換して何度も使えます。
脱酸素剤エージレスは完全に真空にしてくれるというものではないのである程度空気を入れないようにお米をパックするのがコツです。
ネルパックシリーズの種類・違い
ネルパックも幾つか種類があるので簡単に説明していきます。
- おこめ長持ち袋30:30kg用のお米保存袋とそれを入れる持ち手付き紙米袋セット
- ネルパック1,2,3:通常の紙製米袋30kgのまま入れて真空パックできるタイプ
- ネルパック3:30kg用のお米保存袋と紙米袋セット
- おこめ長持ち袋15:15kg用のお米保存袋と紙米袋セット
- おこめ長持ち袋10:10kg用お米保存袋
- おこめ長持ち袋BOX:10kg用お米保存袋とダンボールセット
- おこめ保存2kg:2kg用お米保存袋
- おこめ保存5kg:5kg用お米保存袋
他におこめ長持ちセット5kgというのがありますが、おこめ保存袋5kgが3枚、密閉クリップ3個、エージレス3個の入ったセットとなります。
ネルパックのレビュー
正直に書きます。
アマゾンレビュー星5
1年経ったお米は普通の研ぎ方で炊くとやっぱりパサパサ感が・・・。ですが「これなら十分!1年前に買ったお米が食べられるなんて上等!!」
そう思いました。
翌日、研ぎ方を変え丹念に研いで炊いてみました。すると 昨日とは別物の美味しいご飯になりました。
新米や玄米保存して精米したものには敵いませんが しっかりと炊き立てのお米の香りがして少しパサついてはいるものの十分に美味しいお米でした。
1.ネルパックにお米を直接全部入れてしまいます。この時お米の袋は10センチくらいだけ切って開けてこぼれないように入れます。
2.ネルパックは縦に長くなっています。(ここが良く考えられているなと思いました。)ですので、ネルパックに入ったお米をネルパックごと
少し斜めにします。そうするとエージレスを入れる隙間ができますのでエージレスを見える状態にして中に置きます。
そうしたら、袋を立ててお米をネルパックの中で安定させます。
3.そしていよいよ 封をするのですがネルパックの中の空気を出すことよりも、閉じる所にしわなどができないように注意してしっかり閉じます。
お米を寝かせて保存したいのなら 寝かせた状態で一晩。袋を立てた状態で保存したいなら立てた状態で一晩置いておけばあとはエージレスがしっかりと
真空状態にしてくれてネルパックはカチンカチンに硬くなります。
あとは元のお米袋の中にカチンカチンのお米とネルパックを入れて保管するだけです。ネルパックがお米袋より細い私はこのやり方でもうエージレスのみ購入しながらネルパックを2回使用していますが、1年経ったお米もしっかり研いでやれば十分に美味しいとわかっているので、毎年お米を入れ替えて保存して備えています。
5㌔の小袋が 扱いやすいかと購入したのですが 3枚入っていて 2枚使用したのですが 1枚はしっかり空気が抜けた様子で虫も付かず 夏を越せましたが もう1枚は全く空気が抜けず コメ虫が出て来ました残念 袋に穴が開いているのか?薬品が不発なのか?
アマゾンレビュー星1
そんなにお安い物でも無いのに 残念な代物でした。15㌔のしっかりした物の方が 良いです。
使い方が難しいのか、本当に当たり外れがあるのか物によっては良くて物によっては駄目とはっきりと分かれています。購入レビューをしている動画もありましたので貼っておきます。
マーナ 極お米保存袋
お米の保存という命題のもと、お米のプロであるお米マイスターと全米販の監修で開発されたのがこちらの商品となります。
光と空気を遮断することで鮮度を保ち、ニオイや虫からお米を守ります。ネルパックと違い脱酸素剤で空気を抜くのではなく圧縮袋のように丸めて逆止弁付き空気穴から空気を抜いていきます。
3kg用で家庭で使いやすい容量になっており、カラーもホワイト・ブラックがあります。おしゃれなデザインで冷蔵庫に入っていても一見お米保存袋だとわかりませんので覗かれても生活感が出にくいです。
極お米保存袋のレビュー
もともとお米は冷蔵庫に入れる派でしたが、大きなタッパーウェアを使っていて今まではスムーズな出し入れができなかったのですが、こちらは簡単に取り出せて空気を抜くのも簡単です。
楽天のレビュー星4
ただ、思っていた以上にペラペラで、耐久性には不安があります。そこでマイナス1しましたが、満足はしています。
いただいた米を入れるために購入しました。自立する袋なので倒れにくく、保管にも便利でした。デザインもシンプルで出しっぱなしでも様になるところがいいですね。洗ってはいけないとの注意書きがありましたが、うっかり忘れそうなので気を付けようと思います。
楽天のレビュー星5
レーベントクラフトパック
お米の長期保存用袋として昔から使われているのがこのレーベントクラフトパック。日本重化学工業というところが作っているお米長期保存用品質保全防虫米袋となります。
3層構造のクラフト袋にレーベントフィルムをサンドイッチさせて作られた米袋で
- 米の変質を防ぐ
- 旨味が長持ち
- 虫がつかない
- 水分を平均的に保つ
といった効果が期待できます。このレーベントクラフトパックにいれて風通しがよく涼しい冷暗所の保管しましょう(すのこの上など)。今まで紹介してきた家庭用と違い30kgの米を約1年間保管することができます。農家さんや米屋さんなどで使われている米袋です。
レーベントクラフトパックの効果の原理
なぜレーベントクラフトパックに上で述べたような効果があるのかと言われると一重にレーベントフィルムのおかげということになります。その理由はレーベントフィルムには酸化チタンが含まれているからです。
化粧品などにもUVカット効果として使われているので知っている方もいるかも知れません。また光の照射で物質を分解する光触媒でセルフクリーニング剤として知っている方もいらっしゃるでしょう。その酸化チタンが光触媒反応を起こして水分を一定範囲内に保ち鮮度を保つことができるとのことです。
また3層構造で虫に破かれて入り込まれることもなくお米の長期保存といったらこのレーベントクラフトパックが使用されています。
たまに柿渋剤を使っているのではないかと思われる方もいらっしゃるようですが使っていません。
まとめ
お米を長期保存する基本として
冷暗所で風通しがいい場所で保存
が鉄則です。家庭では冷蔵庫の野菜室に小分けで保存し、農家さんやお米屋さんなどはレーベントクラフトパックや玄米保冷庫で保存しましょう。
もともと真空パックされている備蓄米を購入するのもわざわざパッキングする手間が省けていいかもしれません。
お米の長期保存といっても長くても1年鮮度がある程度保つことです。何年も保存できるわけではありません。また長期保存で鮮度は保てるものの少なからず劣化はしていってしまいます。できるだけ早めに消費をしましょう。
また長期保存はできるだけ玄米か無洗米で保存を行いましょう。玄米は酸化がしにくく、無洗米は備蓄米として水が貴重なときに助かります。
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