船の底に塗料を塗るってボートを持っている方ならよく聞くと思います。でもなんで船底に塗料を塗るのかわかりますか。
船底の塗料が剥げてきたから補修じゃないの?と思いますよね。僕も最初はそう思っていました。ただ、剥げてきて見栄えが悪いから治そう。というわけではないみたいです。
今回はそんな船底塗料の重要性とご紹介をしていきたいと思います。
Seajapanなどの展示会に赴き、メーカーさんや代理店の営業さんからおすすめやいい資材の情報を手に入れやすい管理人が聞いた話を記事にします。
船底塗料を塗る理由
実は船底塗料といっていますが、実際はフジツボなどの船底忌避剤とも言えると思います。もちろん忌避の成分があるわけではなく防汚性能に忌避と言うよりは付着を防ぐ機能があります。
そう、ボートや船をずっと水上で停泊させているとフジツボなどの水棲生物が船底についてきてしまいます。すると以下のような症状が出始めます。
- 船のスピードがスロットルを開けているのに中々でない。
- 艇の方向が舵をきっていないのに勝手に変わる。
- 船が重くなった感じがする。
船底が汚く見える以外にも実際に船を操舵するのにも問題が出てくるのです。それらを避けるために定期的に船底塗料を塗らなければならないということになります。
船底塗料を塗る時期
水棲生物の付着を防ぐということは船底塗料を塗り直すのももちろんフジツボなどの水生生物の習性に合わせることになります。フジツボは5月と10月に繁殖時期を迎える厄介者。ですので、その一ヶ月前くらいに船底塗料を塗り直し対策をねる必要があります。つまり
4月中と9月中
の年二回塗り治すのが船にとってベストなメンテナンスとなります。他の緑藻などの問題もありますが、一番問題として多いのがフジツボなので、違う生物に悩まれている場合はその生物に合わせましょう。
船底塗料の種類別の失敗しない選び方
船底塗料は大きく分けると自己消耗型と加水分解型の2つのタイプがあります。簡単に説明すると
自己消耗型:どんどん勝手に溶けて行くことで忌避材を流し水生生物の付着を防ぐ
加水分解型:海水に反応して溶け出して忌避剤の役目を果たす。
どっちも同じような感じですが、それぞれデメリットがあります。
自己消費型デメリット
- 水に溶けるだけでなく水流でも剥がされていくので長期に効果は発揮できない
- 水流の流れ次第で塗装部の削れに差がでてきて凸凹になる
加水分解型デメリット
- 海水で溶けて効果を発揮するため、淡水だと効果がない
これだけ見ると加水分解型の方が海で使う分にはよく見えますが、やはりお値段が自己消費型よりも高くなってしまいます。
船底塗料の成分別失敗しない選び方
実は船底塗料の成分も大事な部分です。基本的に2種類の成分がありその成分によって対策生物が変わってきます。
亜酸化銅タイプ:牡蠣やフジツボなどの動物類によく効く成分
酸化亜鉛タイプ:スライム・アオサなどの植物類に強い成分
これらで選ぶのですが、それぞれ色にも特徴があります。亜酸化銅タイプはくすんだ色でどんどんと時が流れると黒ずんでいき、逆に酸化亜鉛タイプは発色の良い色になり色の変化も起こりません。
亜酸化銅については注意点があります。こちらはアルミ挺や船の金属部分に使ってはいけません。化学反応で腐食が起こります。すぐにボロボロとなるため要注意です。
こちらはチョイネタ情報ですが、実は錫化合物系とシリコン系というものもあります。錫化合物系は水生生物への影響がある毒物が流れ出すため手に入れても使うことを控えたほうが良いです。メンテナンスはとても楽で良いものだったそうですが、地球を汚染してまでつかうのはどうかと。
またシリコン系は最近出はじめた製品となります。水に溶け出して効果を発揮するのではなく、水や汚れを弾くことで効果を発揮します。メリットとしては塗ると長期に渡り塗り直す必要がないらしいのですが、施工が難しく、また塗装が剥げた時に補修が難しいのでプロ用となります。またプロペラ用が多いです。中国塗料さんのペラクリンなどが有名。
船底塗料の基本的な塗り方
ここでは簡単な塗料の塗り方を説明していきます。いくら良い塗料を買っても塗り方次第で塗ってないようなものだったり最高のパフォーマンスを発揮したりと塗り方次第で全く効果が変わってきます。
1.まず塗装する部分を十分キレイに清掃し、乾燥させましょう。
ここは真水でしっかり洗い、すでに張り付いている生物を剥ぎ取ったり、油汚れをシンナーで取ったりしましょう。海水成分や汚れなどが残っていたり十分乾燥させないとと塗料が剥げる原因となります。
2.剥がれかけている前の塗装を剥ぐ
古い塗装に新しい塗装を上塗りしても効果が十分に発揮されません。スクレーパーやサンドペーパーなどでしっかりできるだけ剥ぎ取りましょう。ただすべて落とすのも時間の無駄となるため、5年位の目処ですべて剥がす作業は行うようにして、他の時期はできるだけ剥ぎ取るように心がけます。
処理し終わったらまた真水で洗い乾燥させます。
3.塗装
できるだけ厚塗りをするように塗装してきましょう。厚ければ厚いほど効果が発揮できます。薄いと上でも説明したとおり塗料が溶けて効果が発揮されるため、すぐに効果がなくなってしまいます。またシンナーで薄めるのもダメです。この時水の中を走るとこ
塗装し終えたらしっかりと乾燥させましょう。
おすすめの船底塗料
まずはなんと言っても船の塗料で有名な中国塗料さんです。
漁船用 加水分解型シリル系 あっぱれ 中国塗料
こちらはシリル系という他の樹脂製塗料よりも安定した効果が続く防汚性能が長期間持続出来る塗料タイプのものです。
カラー展開:3色レッド・ブルー・ブラック
容量:4,8,20kg
ヨット・ボート用 SeaJet シージェット 中国塗料
こちらは亜鉛化銅と亜鉛化銅フリーの成分タイプで、加水分解型と自己消費型のタイプから選べる人気のボート、小型船舶用の船底塗料となります。
Seajet 033
・塗料タイプ: 自己研摩型
・防汚剤: 亜酸化銅タイプ
・荷姿: 2リットル缶
・標準塗付量: 7.0m2 / 1缶(50μ×2回 刷毛塗り)
・適用素材: FRP船、鋼船
Seajet 037
・塗料タイプ: 加水分解型
・防汚剤: 非金属系(亜酸化銅フリー)
・荷姿: 2リットル缶
・標準塗付量: 6.4m2 / 1缶(50μ×2回 刷毛塗り)
・適用素材: FRP船、鋼船、アルミ船
Seajet 039
・塗料タイプ: 加水分解型
・防汚剤: 亜酸化銅タイプ
・荷姿: 2リットル缶
・標準塗付量: 6.6m2 / 1缶(50μ×2回 刷毛塗り)
・適用素材: FRP船、鋼船
日本ペイント 加水分解型 船底塗料 一番
今度は日本ペイントさんの船底塗料です。種類はいくつかあるのですが、ここはスタンダードな一番をご紹介。特にレトロレッドのカラータイプは耐フジツボとなっているようです。フジツボに特に困っている方におすすめ
サイズ展開:2,4,20kg
カラー展開:レッド、ブルー、ブラック、レトロレッド
サンデーペイント 自己消費型 シーブルーエース
最近加水分解型が多く主流になっているなか、自己消費型のシーブルーエースを作っている大日本塗料の関連会社サンデーペイントさん。密着性に優れており、プライマー塗装をせずにFRPにも直接塗装できるのが特徴です。
サイズ展開:2,4kg
カラー展開:レッド、ブルー、ホワイト
まとめ
他にも有名なメーカーは数々ありますが、やはり中国塗料さんが一番人気がある感じがします。船底塗料といってもボート用に漁船用、タンカー用など様々あり値段もまちまち。
ですが、基本ボートやヨットようであれば今回オススメした塗料を使われることをオススメしたします。