前回の記事で大工鉋の種類や選び方そしておすすめのメーカーをご紹介させていただき、その中で越翁というメーカーをご紹介させていただきました。今回はそのおすすめの鉋メーカーである越翁について深掘りをし、なぜおすすめできるのかやレビューなどをお話していきたいと思います。
もし前回の記事を読んでいない方はこちらも読んでみてください⇒鉋(かんな)の種類と選び方!初心者やプロにおすすめメーカーもご紹介
年間数多くの建築資材や工具の展示会に出席する管理人がメーカーの方から聞いたお話やマル秘話を元に自身が働く資材屋での人気や話題などを踏まえてお話いたします。
鉋メーカー「越翁」とは
まずは鉋本体ではなくメーカーについてお話します。越翁は実はメーカー名ではなくブランド名となっておりメーカーはナシモト工業さんとなっております。
ナシモト工業さんはこのサイトでもよくお話させていただいている農業資材では有名な会社でコンバインの刃を作っており、場所も金物の町である新潟の三条にあります。米農家さんだとしたらよく聞く名前かもしれません。
そんな刃物のプロの会社が作っている鉋ブランドが「越翁」となります。
越翁がおすすめできる理由
前回の記事で書かせていただきましたが越翁は完全に初心者用でも、職人が一つ一つ打っている高級ブランドでもありません。ただ作業でよく鉋を使われる方であれば日曜大工からプロの方までおすすめできる物となっています。
その理由を簡単に上げると
- 切れ味がよい
- 手入れがしやすい替刃式
- サイズや種類が揃っている
- 手に入りやすい
となっております。説明していきます。
刃物メーカーが保証する切れ味
刃物メーカーであるナシモト工業さんの鉋ブランドである越翁のカンナ刃は最高級ハイス鋼SKH-51が使われています。ハイス鋼SKH-51は耐摩耗性と靭性に優れておりプロ用の刃物にはよく使われる鋼となります。
通常ハイス鋼SKH-51だと硬度(HRC)が60~63度くらいなのに対して、越翁は真空熱処理、サブゼロ処理を加えることで硬度65度以上となっており欅や桜など堅木には別格の切れ味を実現します。わかりやすく言うと包丁であればプロ用の和包丁などがこれくらいの硬度となりプロの方が扱うレベルの鋼となります。
それらのこだわりにより他社の鉋メーカーと比べて4~5倍の切れ味と耐久性があります。
両刃式で経済的でもこだわり満載な替刃
替刃式の越翁の刃は他のこだわり抜かれた鉋の刃のように研ぐ必要がありません。鉋に限らず刃物の刃を研ぐというのはプロの方でも相当難しく、しかもそれが作業に直接関係してくるという重要でコアとなる作業です。そこに時間をかけなくてもいいというのが相当なメリットとなります。
しかも両刃式で一つの替刃で2回使えます。つまり切れ味が落ちてきたら刃を反対側にして使えばOKです。とても経済的でこだわり抜かれた刃なので最高な切れ味というおすすめするしかない仕様となっています。
また耳が立つ刃は最悪といわれますが、越翁の替刃は耳やスジが立たないように刃の両端にR研削がされておりこだわりが感じられます。つまり刃を研ぐことで耳に丸みを帯びさせて削るという作業がすでにされている替刃となります。
その耳があることで欅や桜などの堅木にもビビれないという特徴を生みます。替刃もしっかりとクサビ方式で鉋身に固定され押え棒で締め付けられるため安定して使えます。つまり安定してビビれない替刃が越翁に使われています。
そんな替刃は交換方法も簡単です。鉋身と裏金を取り出して開けて替刃を取り合える、または上と下をひっくり返します。このとき刃には表と裏があるのでそちらを間違えないように注意しましょう。また鉋身に替刃と裏金をセットし鉋台にセットします。
裏金の調整は
- 堅木・逆目・フシのある木には裏金を前へ0.3mmほど出すよう調整
- 杉の白身など柔らかい木には裏金を0.9mmほど後ろに下げ一枚刃のように調整
など用途・木質によって0.3~0.9mmでの調整ができます。裏金は刃先より前に出ない安心設計になっています。
越翁の鉋の種類
安価なメーカーなどはたくさんの種類があり選べますが高級なラインは種類自体もなかなか少ないのですが越翁はある程度の種類が揃っていて通常に鉋を使う場面には困りません。
まずは大きく分けると
- 金印
- 通常
ラインの2つのラインがあります。金印は平鉋のみですが通常ラインには
- 角面取鉋
- デコラ鉋
- 小鉋
- 平鉋
が替刃も同等に用意されています。ただ替刃は金印替刃も全種類用で用意されており状況などによって選ぶことができます。
さらに越翁の機能を最大限に発揮できる鉋刃の刃付け、鉋台への仕込み、下端の平滑調整を完ぺきにできる下端定規も用意されています。鉋台は木でできているので温度・湿度でサイズなどが変化してしまうため精密な鉋台調整はかかせません。
探しやすく手に入りやすい
なにより一番助かるのが手に入りやすいということです。こだわり抜かれた職人が作る鉋がほしいとなると実際には半年から1年以上かかります。それは職人が一つ一つ手造りで作っているためです。ただ最初から待つつもりで購入するならいいのですが、急遽必要にあることもあります。
すぐに手に入る者には前の記事でご紹介した角利産業さんや藤原産業さんの鉋がありますが、どちらかというと初心者用の鉋ですのでプロの方には満足できない可能性が高いです。ですが越翁は上でお話したこだわりや切れ味がありプロの方でもおすすめできるスペックを要しており更にインターネットでも買いやすいというメーカーになっています。
このレベルの鉋がすぐに購入できるというのは中々ないのでその点でもおすすめがしやすいです。
越翁にある金印と通常ラインの違い
上でも少しお話したように越翁には通常ラインと金印というラインがあります。その違いとは
- 本体は長さが違う(金印が若干長い)
- 金印の鉋身・裏金は特殊メッキ加工してあり錆びにくく耐摩耗性もアップ
- 金印の替刃は特殊加工で更に長く切れるよう耐摩耗性アップ
となっています。つまり金印は通常ラインより長期の使用に耐えれるようになっています。
まず鉋本体としては(廃盤となってしまったものと廃盤予定のものの情報が入ってきましたので追加します。)
品名 | サイズ(mm) |
金印・平鉋 寸八 70mm | 290x88x37 |
金印・平鉋 寸六 65mm 廃盤 | 290x83x37 |
平鉋 寸八 70mm | 275x88x37 |
平鉋 寸六 65mm | 275x83x37 |
平鉋 寸二 48mm | 230x64x30 |
小鉋 48mm | 200x60x27 |
デコラ鉋 48mm | 200x60x27 |
マルチ角面取鉋 | 200x60x40 |
のラインが揃っております。次に替刃は
品名 | サイズ(mm) |
金印70mm用替刃 | 22x71 |
金印65mm用替刃 廃盤 | 22x65 |
金印60mm用替刃 廃盤 | 22x60 |
金印48mm用替刃 | 20x48 |
通常70mm替刃 | 22x71 |
通常65mm替刃 | 22x65 |
通常60mm替刃 廃盤 | 22x60 |
通常48mm替刃 | 20x48 |
のラインナップになっております。替刃は金印は3枚入り、通常替刃は5枚入りとなっていますので注意が必要です。替刃は金印も通常もサイズは変わらないのでどちらの鉋台・鉋身・裏金にも使うことができます。
越翁のクチコミ・レビュー
どの販売サイトを見てもおおよそ高評価を得ています。星が1つなのも届くのが遅いなどお店へのレビューで商品レビューではないものがあり評価が高い鉋ということがわかります。幾つかご紹介します。
角利の利藏を買いました。これも中々の良い切れ味ですが、更に1段上だとどうなるのかと思い新たにナシモトの鉋を買い求めました。どちらも燕三条のメーカーで越後刃物の伝統があると思います。開梱して現物を見ましたが仕上がりの綺麗さに驚きました。鉋刃のし上げも非常に綺麗です。早速檜板で試し削りをしましたが、力を入れなくてもシューという心地よい音で鉋屑が綺麗に出てきました。ツルツルの表面になりました。堅い木は裏金を叩いて本刃との隙間を0.3mm程度に調整すれば良いとの事で、元々裏刃が鉋刃に切られた溝にはまっていますので叩くだけで楽に調整できそうです。全くの素人ですが道具によってい色々違いがあることを痛切に感じさせられた逸品です。
ヨドバシドットコム 星5
ヒノキKDの105*105材を仕上げたら、こんなに綺麗に仕上がった
アマゾン 星5
「もう!!最高!!~~~~~」って感触だ
これなら、普段からピッカピッカで気持ちも新たに!!!
フシの部分まで細分に削り出してくれる・・・・微調整付きで0.3の誤差を見事にキャッチしてくれて、
スコブル読み通りの仕上がり感に感動が止まらないって感じである
大工歴30年で、普通の鉋がまともに研げずに困っていたけど、これを持ったら、凄い事になってしまった
ま~~~感触だけだけど・・・・
ウーシンチュウを手に入れた時のブルマのような顔しているかもしれない・・・・
サンドペーパーだと水分をたっぷり吸ってしまう仕上がりになってしまうが、
この一本は中々な道具で、超仕上げと書かれている理由が良く理解できるほどだった
中々いろんな鉋あるけど、これほどに良い物は中々無いな・・・・・・
最初に試し削りをしたところものすごく綺麗に削れたので驚きましたが、少し削っていく内に仕上げが悪くなってきました。便利なのでこれからも仕事で使っていきます。貧乏性なので替え刃を変えればいいのですがもったいないので少し綺麗に削れなくなっても使っています。すごく便利でお買い得でした。
楽天レビュー 星4
まとめ
今回はおすすめできる鉋メーカーとして新潟の三条で作られる刃物メーカー・ナシモト工業さんが作っている「越翁」についてご紹介しました。
趣味のDIYで鉋をよく使う方やプロの大工さんなどには特におすすめができます。その理由は
- 管理が楽な替刃式
- 替刃が両刃式で経済的
- 通常メーカーの4~5倍の切れ味
- ラインナップが豊富
- そんなに値段が高いわけではなく手に入りやすい
などが挙げられます。
とはいえ鉋台は木でできており温度湿度に弱いので、精密に使うには平滑状態を常に確認する必要があります。そのためプレーンストレッチと呼ばれる下端定規も同時に使っていく必要があります。
鉋についてもっと知りたい方はこちらの記事へ