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水稲栽培の場合育苗箱で苗を育てる場合基本的には「育苗箱用敷紙」を敷きます。それが紙だったり、新聞紙だったり、プラスチック製だったりと調べてみるとたくさんありますがどれがいいのでしょうか。また実際問題いるのでしょうか。
今回はそんな育苗箱に敷く育苗箱用敷紙のお話です。
年間数多くの農業系の展示会に参加し、多くの農業資材メーカーの方や農業資材仕入れメーカーの営業さんとお話する機会の多い管理人が実際に聞いた話をそのまま公開します。これを読めば農業資材メーカーさん並みの知識が身につきます。
育苗箱に敷紙を敷く理由をおさらい
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育苗箱に敷紙を敷く理由は下のような理由があります。
- 培土が育苗箱の落ちないようにするため
- 根っこが下の穴から出ないようにするため
- 保水性をもたせやすくする
大きく分けると以上となりますが、根っこが下から出ないようにするためというのも理由があります。
- 根っこが下の地面まで伸びると後々作業が大変
- 根を箱の中で絡ませないことで後の作業が楽になる
という理由があり「根切りをしなくていい」というのが苗の移植や移動の際にとても作業効率が上がるためです。
ちなみに「じゃあ穴がない育苗箱でいいじゃん!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうすると育苗箱に水が溜まってしまい根腐れしてしまいます。
敷紙に新聞紙をおすすめしない理由
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多くの農家さんが昔から使ってきた敷紙として新聞紙が挙げられます。これから話すことは農業資材メーカーさんから聞いた話なのでもちろん自分のところのメーカーのものを売りたいという気持ちもあるでしょうが、新聞紙がだめな理由を聞いてみました。
- 市販の育苗箱用敷紙より水に弱くグズグズにヘタリやすい
- グズグズになりやすのに自然分解しにくい
- 田植えの際に田植え機の爪に紙くずが絡まる
以上の理由をメーカーさんは挙げていて新聞紙をおすすめはできないとのことです。田植え機なんかは結構紙くずがつくと不具合が起こり作業を中断したりと効率も悪くなります。
おさらいをしたところで今度は育苗箱用敷紙のおすすめです。
育苗箱敷紙のおすすめ
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育苗箱敷紙をまず新聞紙ではよくない理由をお話した上でおすすめの育苗箱用敷紙をお話します。正直どれも長所があり、これが一番いい!というのは言いにくく田植えの際に特に困っていることをフォローしてくれるものを選びましょう。
大きく分けると洗って繰り返し使えるものと一回きりのものに分かれますのでそれぞれ紹介いたします。
使い切りタイプの育苗箱用敷紙のおすすめ
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育苗箱用敷紙
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こちらは市販されている一番一般的な育苗箱用の敷紙です。大体100枚から500枚ワンセットで購入できます。
- サイズは275mmx575mm
- 使い切りタイプ
1シーズンごとの使い捨てとなりますが、プラスチック製と違い洗う手間もなく育苗箱からそのまま紙を取らずに田んぼに植えられるという簡単に使える敷紙です。
新聞紙の悪さをなくした水に強く根を貫通させない敷紙なのでまずは新聞紙から変更する方やこれから育苗をする方にぴったりです。とにかく安い!
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ねはりシート
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左がねはりシートを使った苗の根で右は使っていないものです。根張りがしっかりしているのがよくわかります。これで田植えが断然楽になります。
啓文社という農業メーカーのアイテムです。育苗箱の底に敷くことで根のはりが良くなりガッチリとした強い苗になり田植え作業の効率もアップ!またねはりシートは保水力が高く苗の成長に必要な水分を補給してくれます。特にプラスチック製の育苗箱でも木の育苗箱と同じくらいの含水効果をだせます。
メリット
をまとめるとこんな感じ
- 水分を貯蓄するので養分の吸収が良くなる
- 根がよく育ち強いマット苗ができる
- 根張りがよく田植え機へのセットが楽
- 根張りが良い健苗で田植え作業自体もスムーズ
- 過剰水分を吸収し水分が足りないときは保守つしてくれる
- 使い切りタイプ
使い切りタイプのものですので毎年購入する必要がありますが、それでも十分すぎる効率アップの力があります。
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ネトマール2
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こちらは有名な農業資材メーカーのニッテンさんの商品です。丈夫な素材を使っているため長期の育苗にも安定した根止め効果が得られます。オモテウラもなく簡単に扱えるのが特徴です。
- 根止め用の育苗箱用敷紙
- 根の伸長を抑制して側根の発根を促すので細い根が沢山でき移植時安定した植え付けができる
- 透水性がありが潅水管理をしっかりとする
- 裏表無しで使いやすい
- 3種類あるCPとつくものはチェーンポット用
サイズは水稲用や長めの水稲用とチェーンポット用があります。水稲用以外にはニラやネギ、枝豆、スイートコーン、アスパラガス、馬鈴薯、花などにも使えます。
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洗って繰り返し使える育苗箱用敷紙のおすすめ
カルネッコS
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こちらは三菱ケミカルアグリドリームの育苗箱用敷紙です。材質は紙ではなく不織布で何回も使えるタイプになります。注意点はカルネッコSは水稲栽培用ですが、カルネッコRはタバコや養液栽培用となりますのでご注意ください。
根を通さずマット形成が綺麗にできるのが特徴で、それにより根張りのいい苗ができます。ただ使う際に裏表がありそこは注意が必要です。
- マット形成がキレイ
- 根張りがいい健苗ができる
- 洗って繰り返し使える不織布の敷紙
- 表裏があるので注意
- カルネッコをつけたまま機械にかけられない
- 水洗いと自然乾燥をしてから保管
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ワンタッチシート
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ポリエチレン製の育苗箱用敷紙です。紙ではありませんが。プラスチック製の板ですが水抜き穴がちゃんとあり根腐れを防ぎます。
- 洗って何度でも使える
- 根腐れ対策の穴も空いている
- 洗って使えるのに安価
繰り返す使える中敷き敷紙として入りやすい値段で、とりあえず試してみたい方に特におすすめです
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クラパピー
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こちらも有名な農業資材メーカーニッテンさんのものとなります。クラパピーは根がらみを良くし、苗取りの時にマットが崩れないさせます。そのため田植え時の植え付けも良くなり効率アップ。ちなみにオモテウラがあり裏面はザラザラしています。
穴が直線的にあちら側が見える穴というより複雑に最終的に貫通するような穴のため健苗に育てることができバクテリアなどの侵入も防ぎます。
- 洗って何度も使える(数年)
- 透水性・通気性抜群
- 根を通さずに根張りが良くなる
- 根切不要で田植え機での植え付けも効率アップ
- 置床の影響を受けません
- 野菜や花などの根が弱い作物にも使える(チェーンポット用)
使ったあとは水洗いと自然乾燥で保管できます。水稲用とチェーンポット用があるのでご注意!
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飯田式いね苗ソコジキ板
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こちらはあまり聞いたことがある人も少ないかもしれません。ただ群馬県知事奨励賞を受賞した敷紙となります。プラスチック製のものですので何度も洗って使えます。根切りをしなくてもいいようになっておりプラスチックということで苗つくり、田植え、苗取り出しがすべてワンタッチでできるようになっています。
- 苗つくり、田植え、苗取り出しがワンタッチ
- 多条植田植え機と相性がいい
- プール育苗に相性抜群
- 水洗いで何度も使える
- 食品パックに使う素材で安心耐久性抜群
- 根止め、水抜き穴完備
こちらは農業資材仕入れメーカーさんが勧めてきたものとなります。かなり根強い人気があり物理的に固くて強いという耐久性に定評があります。
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まとめ
今回は育苗箱の敷紙について比較しながらまとめてみました。どれがいいというのは難しいのでやはり特徴をよく見てご自分にあったものを選ぶのが一番ですが、まずは安い「育苗箱用敷紙」と「ワンタッチシート」を試すのをおすすめしいます。
その他の育苗に必要な資材を簡単にまとめた記事はこちらとなります。
敷紙がそもそもいらないタイプのクリスタルカットの育苗箱や土を敷かなくてもいいロックウールなどまだまだ奥が深く方法はたくさんありますが、敷紙を使うという農家さんもおおくまだまだ一般的には使われるものです。ご参考いただけましたら幸いです。