作物を作っている方の悩みは幾つかあると思うのですが、その一つが虫ですよね。虫は直接食害で作物が食べられてしまったり、病気を持ち込まれてしまったりと大変なことになります。防虫には
の4つの方法があります。今日はその中の一つ物理的防除である防虫ネットの張り方についてお話します。防虫ネットは選び方はもちろん、張り方を間違えてしまうと全く意味がありません。ですので本日は防虫ネットの張り方を園芸、畑、ハウス別にそれぞれお話していきます。ちなみに色や目合での選び方についてはこちらの記事で詳しく説明していますので、よろしければどうぞ。
年間数多くの農業資材メーカーの方とお話する機会の多い管理人が、先日ある農業資材での防虫ネットの講座を受けてきたばかりなので、その話にプラスで自身が働く資材屋での経験を踏まえてお話していきます。
家庭菜園でベランダやプランダーでの張り方
園芸レベルではベランダやプランターで作物を育てることが多いと思います。その場合の防虫対策でのネットは
- 支柱で支えて被せるタイプ
- プランターごとすっぽりと包むタイプ
- ベランダごと防虫ネットで守る
とう3パターンがあります。そのままなのですが、簡単に説明していきます。
まずはプランターにアーチや支柱を立てて、防虫ネットをかけるパターンです。こちらはプランターに支柱を立てる穴がついているものがありますが、ない場合は土に支柱をさして立てることもできます。背が高い作物の場合はアーチではなく支柱を立ててネットを被せましょう。写真のように洗濯バサミなどでもクリップとして使えるので簡単に設置できます。ですが隙間から虫が入るということも多々あります。
プランターをすっぽり被せるタイプがこちらです。プランターそのものをすっぽりと包むので、隙間から虫が入ってくるということが少ないです。要は蚊帳のなかにプランターごといれるので簡単に防虫ネットが使えますが、成長する植物の背丈を知っておかないと、成長を阻害してしまったりします。購入時にしっかりと高さを確認、更に育てる植物の背丈を確認しましょう。
ベランダに防虫ネットを貼る方法は一番大掛かりなDIYになります。防鳥ネットもそうですが、少しでも隙間があるだけで効果なしになるため非常に難しいです。
必要な資材
カゴ型の防虫ネットの場合は、それを用意するだけで完了です。プランターに支柱を立てて貼っていく場合は
- 防虫ネット
- 支柱orアーチ
- プランター
- クリップ
が必要になります。もちろんこの2つのパターンは成長した際の作物の高さを知っておく必要があり、それに合わせた高さになるように防虫ネットを用意しましょう。
ベランダに張っていくスタイルはそれぞれベランダに合わせてだと思いますが、いちばん簡単な方法は
- 防虫ネット
- ヒモ
- 結束バンド
- シートクリップ
- 両面テープ
を使い、ベランダを覆うカーテンのように張り両面テープで隙間を埋めていく方法です。詳しくは手順で見ていきましょう。
手順
プランターとアーチを使う場合はこちらの動画がわかりやすいです。こちらはアーチの代わりに針金を使っています。
- 針金をプランターに合わせて加工
- プランターに針金を付けてフレーム化する
- 防虫ネットを切って、端をホチキス止めする
- プランター縁はクリップや洗濯バサミで止めて固定していく
といった感じになります。隙間から入ってこれないように幾重にも折り曲げたり工夫をしています。
カゴ型のものは購入すればすむだけですが、100円ショップで集めた資材だけでつくるという方法もありました。ホッピングバッグをフレームとして洗濯ネットをうまく使って作る方法です。切ってかぶせるだけです。
ベランダに貼る場合はこちらの動画がおすすめです。
防虫ネット、結束バンド、紐、シートクリップ、隙間に両面テープをつかって張っていく方法です。
- 防虫ネットを必要なサイズにカット
- シートクリップを防虫ネットにつける
- 結束バンドでベランダのフレームにつけていく
- 隙間を両面テープで埋める
という感じです。
マンションタイプのベランダの場合は防鳥ネットをあるシート固定クリップをつかうのもありかもしれません。
こちらをベースにシートを結束バンドで固定し、隙間を両面テープで埋めていくという方法です。ただどちらにせよ隙間が少しでもあると虫が入ってくる可能性があるので難しく細かい作業となります。
トンネル・べたがけなど畑での張り方
次に畑で育てている作物の防虫ネットの張り方です。大きく分けると
- べたがけ:作物に毛布のように防虫ネットをかける
- トンネル:支柱でアーチをつくりフレームとし防虫ネットをかける
の2つの方法に分かれます。
こちらがべたがけ。とはいえべたがけする方法は結果的に防虫にもなるというものです。霜や寒さ、暑さなどの対策に不織布シートや寒冷紗を作物にかけるのですが、結果それが防虫効果にもなるので防虫対策を一番に考えたい場合は向きません。また防虫ネットの中には薬剤混みのものもありますので、作物に直接触れるべたがけの場合は注意しましょう。
トンネルを作る方法は一番防虫ネットを張る方法で思い浮かぶものかと思います。トンネルでアーチを作る方法も暑さ対策などに寒冷紗を張ることもあります。
必要な資材
ここからは防虫ネットの選び方が大切にもなりますので、防虫ネットの選び方も覚えておきましょう。こちらの記事で詳しく書いています。
必要な道具は
- 防虫ネット
- 支柱
- 支柱クリップ
- 固定ピン(場合によって)
だけ。防虫ネットの端は隙間を作らないように土で埋めていくのですが、単管パイプなどを重しする場合もあります。その他にも
手順
べたがけの場合はとても簡単です。作物にかけて端を土や単管パイプで重しにしていきます。
次に支柱でアーチを作っていく方法ですが、基本的には
- アーチ支柱の両端を土に刺しアーチ状に
- 防虫ネットを被せる
- ネットを支柱クリップで固定する(場合によってはしない)
- 縦の端はUピンなどで土に固定
- 横側の端は土やピンなどで隙間を埋めていく
という手順になります。また小規模になりますが、防虫ネットを被せると中を開けるのが面倒になりますが、それを解消した張り方がありましたのでご紹介します。支柱を2本使い1本をシートの内側、1本を外側にしシートをスライドできるようにするという方法です。
より効果的に張るためには以下の点を注意しましょう。
説明していきます。
トンネルサイドに土を盛るのは隙間から虫が入ってくるのをなるべく防ぐためです。また土壌殺菌・殺虫はネットを張る前から中に虫の卵や虫がいた場合は、そもそもネットを張る意味がなくなってしまいます。そして張ったネットと中の作物の間に空間を作る理由は、ネットに作物が触れていると、網目の間から虫が外から卵を生みつけて、中で還ってしまう可能性を防ぐためです。
ハウスでの防虫ネットの張り方(入口・天窓・サイド)
次は農業従事者がよく使うビニールハウスでの防虫ネットの張り方です。ビニールハウスでネットを張るべき場所は
- 入口部
- 天窓部
- サイド部
の3パターンになります。
ただハウス内での防虫ネットは外からの虫の侵入を防ぐだけではなく、中で働いているハチや天敵が逃げるのを防ぐという使い方もあります。
必要な資材
ハウスの場合は入口はファスナーネットと呼ばれるファスナーで開け閉めができる防虫ネットを選びます。また天窓の場合はトの字加工と呼ばれる、天窓の開閉時にネットを巻き込みにくくする加工をすることが多いです。
サイドの場合は防虫ネットの選び方が大切になってきます。防虫ネットの選び方も覚えておきましょう。こちらの記事で詳しく書いています。
ビニールハウスへの取り付ける際に使われるのは
- フィルム固定部材
- 被覆スプリング
が一般的に使われます。その他にもハウス単管クリップを使うこともあります。
手順
ビニールハウスへの防虫ネット張り手順は、シート張り付け資材を取り付けて張っていきます。固定部材に被膜スプリングを使いはさめていく方法になります。
下記の動画がわかりやすいのでご紹介します。
ビニールハウスの場合は防虫ネット以外の資材や対策と併用をしましょう。例えば
などです。反射シートなどは散乱光が虫の飛行を邪魔しうまく飛べなくなる効果があり、捕虫テープは物理的に害虫を捕えます。また害虫が住みやすかったり繁殖できる雑草をビニールハウスの周りからなくすことで虫自体を遠ざけることもできます。そうすることでより効果を発揮できます。
まとめ
今回は園芸やビニールハウスでの防虫ネットの張り方についてお話しました。張る方法はベランダやプランター<畑<ビニールハウスの順で難しくなっていきます。
どの方法もネット以外の対策を取ることでより効果を発揮できます。ネットだけに頼らないようにしましょう。
ベランダやプランターの場合はプランターに支柱を立て、それに防虫ネットを張って隙間を埋めていきますが、市販のものをつかったり、うまく組み合わせて張っていきましょう。100円ショップにも防虫ネットを張るのに使えるアイテムが売っています。
畑の場合は基本的には支柱やポールで枠組みを作り、その上に防虫ネットを張り、サイトや端をしっかりと隙間ができないように土で抑えたり、ピンで固定しましょう。
ビニールハウスの場合はハウスにビニールを張るのと同じ要領で防虫ネットを張っていきます。それぞれの部所にあった防虫ネットを設置し、さらに他の対策を併用することで効果を倍増させましょう。
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