多くの米農家さんが行っているプール育苗。前回の記事でプール育苗の流れと注意事項をお話させて頂きました。今回はそんなプール育苗にはどんな道具を使うのかをお話します。
実際にプール育苗で使うものは色々ありますが、稲作をするにあたってかならずいる育苗箱みたいなものからプール育苗でしか使わないプール用の枠など様々なものがあり、物によっては他のもので代用が効くもののプール育苗の為に作られた道具もあります。
今回はそんなプール育苗で使うアイテムの数々をご紹介します。
年間多くの展示会に出席し多くの農業資材メーカーさんから聞いたお話や、実際に管理人が働く資材屋での人気等をふまえてお話します。
プール育苗資材を使うのはなぜ?実際使われてるの?
上でもお話したとおり、プール育苗で使う資材は通常の育苗で使うものと同じものもありますが、プール育苗に特化したものもあります。またプール育苗用の専用資材もあったりします。
もちろん農家の方には資材を自作されている方が多いですが、やはり専用の資材を買われたほうが時間の節約になり、少ない時間で生産量も大きく変わってきます。
そういった事情からか実はプール育苗資材は春前にはかなり売れます。実際に在庫が追いつかないこともしばしばあるくらいです。もしプール育苗資材を取り揃える場合は予め時期が来る前に用意をしておきましょう。
プール育苗用資材
プール育苗に必要なものを大まかにあげると
- 苗箱
- プール用の枠
- 遮水シート
- シート止め
となります。
それぞれおすすめの資材をお話していきます。
苗箱
まずは稲作ですので、稲を育てる苗箱が必要ですよね。
そのまま通常の育苗で育てる苗箱も悪くはないようですが、プール育苗専用の育苗箱がありますので、そちらを使われるのがいいと思います。
普通の苗箱とプール育苗用の苗箱の違いは、プール用育苗箱は穴数少なかったり小さいものが多いです。なぜかというと倍土・肥料が水に流れ出てしまうのを少しでも防いでくれるためです。また穴から根がでるのを防ぐため穴が小さめのものもあります。そのため穴に根が絡まないので苗が剥がしやすくなります。
ただもし今まで使っていた苗箱を使いという場合は育苗箱に敷紙を敷いて穴を塞ぎましょう。
- 穴数が少ない物を選ぶ
- プール育苗用に適したものがある
- 穴から根がでにくいため剥がしやすい
- 普通の苗箱を使う場合は敷紙を敷く
水稲用育苗箱に関して詳しく書いた記事もあります。プール育苗の育苗箱だけではなく稲作でつかえる苗箱についてお話していますので、知りたい方はこちらへ→【稲の育苗】水稲用の育苗箱の種類と選び方
プールを作るための枠
水を貯めるプールを作るのですから、やっぱりプール枠は必要ですね。
ハウスによってつくるプールのサイズは変わってきますので必要な枚数は変わってきます。農家さんによっては木板をいくつも組み合わせて枠を作っていきますがプール育苗専用のプール用枠があります。基本的には樹脂製のものが多いく、今一番注目されているのが、サンポリというプラスチック資材会社の楽育(らいく)というものです。
こちらは木の板より軽くバリ等がでないので手を怪我する危険もなく、女性の方でも型枠が作れるプール育苗枠です。かなり人気で時期になると1日に数え切れないほど売れます。
楽育には楽育用の枠ピンがあって他のものですと合わない可能性がありますので、必ず楽育用ピンを使いましょう。1mに2-3本使うのが基本です。
またシート止めには22mmのパッカーが必要です。
次はプール育苗資材と言ったらというくらい有名な東京インキさんのプール枠。こちらも専用のパッカーとピンがありますので、そちらをお使いください。
こちらももちろんTK専用パッカーとシート止めが必要
東京インキさんはシートも専用のものがあります。
ですので、このままプールシートのご紹介。サンポリさんと東京インキさんどちらかに決めて使うのがいいでしょう。
正直どちらも樹脂製の板なので違いはそれほどありません。ですが東京インキさんの方は固定フレームがあります。その分固定しやすいですが、余計出費と見るかどうかは農家さん次第です。
プール育苗用シート
こちらはプール内の水が漏れていかないようにする遮水シートとなります。
使う前に予め穴などが空いていないか、よくチェックしましょう。穴が空いている場合はテープなどで補修します。
農家さんはブルーシートやビニールシートなどで代用している方もいるようですが、なかなか大変なようです。
まずは東京インキさんの遮水シート。
- 厚み:0.15mm
- 色:黒
- 長さ:55m
TKプールシステムでそろえているならマストなアイテムです。業界的にもこちらで揃えておけば間違いないかなといった感じです。
こちらはビニールシートなどのシートメーカーが作っている、カット売りできるタイプのプール育苗用シート。
- 厚み:025mm
- 素材:ビニールフィルム
サイズ展開:230 270 300 350D 400 450 500 540 600 630 700 720
遮光性のあるビニールシートやブルーシートで代用できるとはいえ、プール専用に作られているものだとやはり安心感がありますよね。一度使ったら使えなくなるものでもないですし、専用のものを使うのをおすすめいたします。
プール育苗システムセット
こちらはプール育苗のプール作成のためのアイテムと言うよりは、簡易プール育苗用プールそのものといった商品です。これだけ用意すればすぐにプール育苗用プールが完成します。
その名も”ぷーるっこ”
なんと、ホースで黒チューブに水を注入するだけで、ヌキ板を使わずにワンタッチで簡易プールができる簡単育苗プールシート!黒チューブが枠の代わりになります。
ぷーるっこ
説明:チューブに水をいれ膨らますことによって、ヌキ板が必要なく、簡単にプールが出来上がります。
さらに黒いチューブのため保温効果が期待でき、苗が平均的に育てられます。
これ一つで完結しているため、簡単に設置ができ丈夫で軽いので女性や高齢者に特に喜ばれます。野菜の葉物の芽出し用にも使用可能!
サイズ展開は以下になります。
- Aセット:0.1mm x 160cm x 10m(2枚並べ) ※プール実寸130cm 2枚/組(育苗箱120箱)
- Bセット:0.1mm x 190cm x 10m(2枚半並べ) ※プール実寸160cm 2枚/組(育苗箱160箱)
- Cセット:0.1mm x 230cm x 10m(3枚並べ) ※プール実寸200cm 2枚/組(育苗箱180箱)
- Dセット:0.1mm x 260cm x 10m(3枚半並べ) ※プール実寸230cm 2枚/組(育苗箱220箱)
簡単にプールができてしまうので、これから導入しようかと考えている方もとりあえずコチラで試してみて、プール育苗に移行してみるのもいいかもしれません。もちろん本格的に使えるものなので、最初から苗箱の枚数分をそろえるのもアリです。
まとめ
いかがだったでしょうか。さまざまなプール育苗用資材が各農業資材メーカーさんからでているので、人手や時間を節約されたい方は導入を検討してみるのも手だと思います。
またプール育苗をすでにしている方にも、これから始めようとしている方にもおすすめできるアイテムですので、ぜひ調べてみてください。
※プール育苗ってなに?という方へプール育苗の手順をまとめたブログはこちらです。