家の屋根に必須の屋根下葺き材。屋根の下に必ず敷く防水シートで雨漏りや紫外線を防ぐ効果があります。
実は一重に下葺き材と言っても実は種類やメーカーがたくさんあり選ぶのが大変です。適当に選んでしまうと基準にあっていないものを選んでしまうことも。
今回は下葺き材、アスファルトルーフィング、ゴムアスルーフィング、アスファルトルーフィング940など様々な呼び方のある屋根下葺き材を選ぶ際に知っておかなくてはいけないことや有名メーカーや人気のものをご紹介。
年間数多くの建築資材メーカーの方とお会いし話す機会が多い管理人が、自身が働く資材屋での人気や裏話を踏まえてお話します。
屋根下葺き材の種類とアスファルトルーフィングとは?
アスファルトルーフィングとは屋根下葺き材の一つで簡単に言うと屋根の下に引く防水シートのことです。屋根下葺き材の種類は大きく分けると
- アスファルトルーフィング:アスファルトを使ったよく使われる屋根下葺き材
- 透湿ルーフィング:湿気を通すルーフィング材
- 高分子ルーフィング:アスファルトを使わず合成ゴムやビニールを使ったルーフィング材
となります。
この中で圧倒的に多く使われているのがアスファルトルーフィングとなります。アスファルトルーフィングは基本的には原紙にアスファルトを浸透、被膜させたルーフィング材です。そのアスファルトルーフィングにも種類があり大きく分けると
- アスファルトルーフィング
- 改質アスファルトルーフィング
の2種類があり、特徴として施工したときの釘穴が閉まる釘穴シール性があります。それではそれぞれ簡単に説明していきます。
アスファルトルーフィングと940、アスファルトフェルトとの違い
アスファルトルーフィングと間違えやすいものにアスファルトフェルトというものがあります。アスファルトフェルトも屋根の下葺き材や外壁に使われるもので、簡単に言うとシートの作りが違います。
- アスファルトルーフィング:原紙にアスファルトを浸透させ、紙の表裏をアスファルトで更にコーティングし鉱物質粉粒を付着
- アスファルトフェルト:原紙にアスファルトを浸透させたもの
となります。両面にもアスファルトをコーティングしたアスファルトルーフィングはアスファルトフェルトよりも防水性が向上させています。
アスファルトルーフィングを調べるとアスファルトルーフィング940とよく出てきます。これはJIS規格のことで商標などではありません。基本アスファルトルーフィングはすべて940の規格となっており、安価で基本的に使われるものとなります。同じような規格で1500もあります。
ちなみに改質アスファルトルーフィングはアスファルトルーフィング940ではありません。よかれと思って値段が高い改質アスファルトルーフィングを施工すると怒られることもありますので注意が必要です。
改質アスファルトルーフィングとは?ゴムアスルーフィングとの違い
改質アスファルトルーフィングにも
- 改質アスファルトルーフィング
- 粘着層付改質アスファルトルーフィング
- 特殊改質アスファルトルーフィング
といった種類に分けられます。
改質アスファルトルーフィングとはゴムアスルーフィングとも呼ばれ同じもので、原紙や不織布にゴムや樹脂を添加したアスファルトを使用した、簡単に言うと改良したアスファルトをコーティングしたアスファルトルーフィングです。
それにより高温でダレにくく、低温で割れにくく施工がしやすく、アスファルトルーフィングよりも更に優れた弾性を持ち釘穴に対するシール性や耐久性も高くなります。
粘着層付アスファルトルーフィングとは、その改質アスファルトルーフィングの裏面に粘着層をつけたタイプのアスファルトルーフィングで、基本的に屋根にくっつきタッカー止めをしなくていいので水漏れや風による剥がれの可能性を更に下げくれる高品質の改質アスファルトルーフィングとなります。
特殊改質アスファルトルーフィングとは表面が熱が上がりにくい素材を使ったり、特殊な機能をつけた改質アスファルトルーフィングです。特殊な環境や一部に特化しているものが必要な場面に使われます。
各アスファルトルーフィングの耐用年数比較
もちろん各メーカーの各アスファルトルーフィングによって変わってきますが、大体の耐用年数は
種類 | 耐用年数 |
アスファルトルーフィング | 10年程 |
改質アスファルトルーフィング | 15~20年程 |
高耐久アスファルトルーフィング | 30年程 |
最高級改質アスファルトルーフィング | 60年程 |
となっています。アスファルトルーフィング940規格など一般的なアスファルトルーフィングは10年ほどで劣化し始め雨漏りなどが起こる可能性があります。改質アスファルトルーフィングは通常は15~20年ほどの耐用年数ですが、高耐久のものだと60年持つものがあります。
実は一般的に屋根は50年ほどで張り替えなくてはいけないと言われており、耐用年数が低いと屋根を張り替えなくていい時期に再度屋根をはがして下葺材を変えなくてはいけないという自体が起こり得ます。
そのためできるだけ耐用年数が高めのものを選ぶと後々楽です。60年ほど耐用年数があるものは田島ルーフィングのマスタールーフィングや日新工業のアルバエースなどそれにあたります。
アスファルトルーフィングのおすすめメーカー
アスファルトルーフィングには色々な種類がありますが、作っているメーカーもたくさんあります。その中でおすすめできるメーカーを3つご紹介します。
- 田島ルーフィング
- 日新工業
- 七王工業
の3つです。
それではそれぞれのメーカーの人気のルーフィング材を種類ごとにご紹介していきます。
おすすめの定番940規格アスファルトルーフィング比較
ここでは定番となる各メーカーのアスファルトルーフィング940規格は
- 田島ルーフィング Pカラー
- 日新工業 カラールーフィング
- 七王工業 カラールーフィング
の3つです。
特徴としてアスファルトルーフィング940規格に準じており、すべてに寒冷地仕様のものも存在します。
スペックを比較してみると
サイズm | 厚さmm | 重量kg | 引張強さ(長手/横) | |
田島ルーフィング Pカラー | 1x21 | 1.0 | 23 | 93/53 |
日新 カラールーフィング | 1x21 | 1.0 | 23 | 40/20 |
七王 カラールーフィング | 1x21 | 1.0 | 23 | 40/20 |
見事に揃っていますが、もちろん940規格なのでそうなります。
各メーカーのおすすめ改質アスファルトルーフィング
近年一番使われているのがこの改質アスファルトルーフィング。ここでは各メーカーで一番売れている売れ筋を紹介します。それぞれ
- 田島ルーフィング タディスセルフ
- 日新工業 カッパ23
- 七王 モラサン2号
が人気の各メーカーエース商品です。軽くスペック比較をすると
サイズm | 厚さmm | 重量kg | 引張強さ(長手/横) | |
田島ルーフィング タディスセルフ | 1x16 | 1.0 | 22 | 不明 |
日新 カッパ23 | 1x21 | 1.0 | 21.5 | 60/40 |
七王 モラサン2号 | 1x20 | 1.0 | 22 | 60/40 |
となっています。それでは簡単にそれぞれ紹介していきます。
田島ルーフィング タディスセルフ 粘着層付改質アスファルトルーフィング
アスファルトルーフィング全体で人気のものというと真っ先に出てくるのがこの田島ルーフィングさんのタディスセルフです。遅延粘着型下葺材でゆっくりと屋根にくっついていく粘着改質アスファルトルーフィングなので、貼り付けても直後であれば簡単にはがせて貼り直しができるすぐれものです。
そのため一人で施工がしやすい簡単修正可能なルーフィング材ですが、数時間後にはしっかりと下地に馴染んで粘着します。
日新工業 カッパ23 改質アスファルトルーフィング
原紙ではなく合成繊維不織布を使い強風でも破れにくく施工しやすい改質アスファルトルーフィングです。また低温時でも施工しやすい柔軟性に富む改質アスファルトを使っており、壁と屋根の取り合い部にも効果的です。
七王工業 モラサン2号 改質アスファルトルーフィング
表面が樹脂被膜していることでベタつきを抑えた不織布ベースの改質アスファルトルーフィングです。長期耐久性もありとのことですが、耐久年数は不明です。
最高高耐久改質アスファルトルーフィング
60年程の高耐久を持つルーフィング材は
- 田島ルーフィング マスタールーフィング
- 日新工業 アルバエース
の2つになります。まずはスペック比較から
サイズm | 厚さmm | 重量kg | 引張強さ(長手/横) | |
田島ルーフィング マスタールーフィング | 1x20 | 1.3 | 22 | 196/127 |
日新 アルバエース | 1x20 | 0.9 | 20 | 148/104 |
となっています。それでは簡単に説明していきます。
田島ルーフィング マスタールーフィング 高耐久改質アスファルトルーフィング
アスファルトルーフィングの弱点である劣化を極力防ぐために劣化防止層を加えることで耐久性を向上させた最上級モデルです。
劣化防止層により外気をシャットアウトし柔軟性を保てるので釘穴やタッカー穴周りのシール性が長期に渡って維持できます。そのため長期にわたり耐久性をもち耐用年数も通常品の2倍以上です。
日新工業 アルバエース 超耐久機能性改質アスファルトルーフィング
超耐久改質アスファルトルーフィングを更に劣化防止保護する特殊合成繊維不織布を組み合わせ長期耐久性を実現させた超耐久改質アスファルトルーフィングです。
高い柔軟性のため低温時の施工性にも優れ、高温時はベタつきを抑える機能もついています。
まとめ
屋根下葺き材としてポピュラーに使われているアスファルトルーフィングについてお話しました。アスファルトルーフィングには
- アスファルトルーフィング
- 改質アスファルトルーフィング
の2種類があり、一般的に現在使われているのは改質アスファルトルーフィングとなります。とはいえ改質アスファルトルーフィングはアスファルトルーフィング940規格にはならないため施工時に指定がある場合は注意が必要です。
アスファルトルーフィングと改質アスファルトルーフィングでは耐用年数も変わってきますが、改質アスファルトルーフィングには60年ほどの超耐久をもたせた最高級品などもあります。
ぜひ下葺材を使うときの参考にしていただけましたら幸いです。