趣味で園芸をやっている方や農業従事者の方は最近カルスNC-Rという資材をよく聞くのではないでしょうか。最近はSNSで流行る農業資材もおおく、今回もYoutuberさんからバズった資材の一つです。
一時期は手に入らないくらい人気でメーカーも生産が追いつかなかったそうです。今でも欠品になることが珍しくないので見つけたら少し多めに購入してもいいかもしれません。
ですが、カルスと聞きはするものの実際どんなものなのかわからない方も多いと思いますので、今回はカルスNC-Rについてメーカーや使い方、使用期限やどんな作物に使えるのかお話していきます。
年間多くの農業資材メーカーの方とお話する機会の多い管理人が実際に聞いたお話や自身が働いている資材屋での口コミなども踏まえてお話します。基本的な土壌改良材バーク堆肥についてはこちら
カルスNC-Rとは?まずは知っておこう基礎知識
まずはカルスNC-Rがなんなのかというと
土壌改良材
です。農薬などと違い微生物を使って農作物に適した土壌を作り出すのを助ける資材となっており、堆肥づくりでの一定期間ごとに土に空気を入れるように作業をする切り返しの作業をなくすことができます。
きゅうり・トマト・キク・梨・レタスなどの作物にもすでに効果が報告されており、農業以外にもその有機物を分解する微生物の力を活かして生ゴミ処理や庭の芝生をキレイにする資材などにも利用されています。
他にもメリットが幾つかありますのでまとめますと
カルスNC-Rを使うメリット
- 作物の育成に適した栽培環境が作られる
- 土壌の通気性・保水性・排水性を向上
- 根こぶ病や線虫被害の連鎖障害などが起きにくくなる
- 土中ボカシともなる
- 生ゴミ処理にも使える
- 芝生を敷くにも最良の土へ
空気のない土の中や高温でも活動できる嫌気性菌を使っており、畑で作物を栽培しながら同時に土作りができるように特化した土壌改良材です。
カルスNC-Rを作っているメーカーとカルスの種類
カルスNC-Rを作っているメーカーはリサール酵産という微生物や酵素を使った資材を作っている埼玉の会社です。
カルスNC-Rも粉状のものと粒状の2種類あり、他にも使う場所によって幾つかの土壌改良材を作っています。簡単にまとめると
- カルスNC-R
- 粒状カルスNC-R:カルスNC-Rの粒状
- アイデンカルス:水田用のカルス
- アイデンマック:アイデンカルスの粒状
- リサールSE:畜産での糞尿悪臭対策
となります。
カルスは畑用、アイデンシリーズは水田用で似たようなものですが、それぞれ適した微生物などの組み合わせになっているため併用はできません。また粒状の物ができた背景としては風が強い日などに撒きやすいように作られています。
カルスNC-Rの水田専用アイデンマックとアイデンカルスについてはこちらでくわしく書いています。
→水田稲麦作用のカルスNC-R、アイデンカルス!カルスとの違いと効果、口コミ
カルスNC-Rの使用期限と保存期間
カルスNC-Rの有効期限は製造月から2年間です。ただ微生物を使っているのでできるだけ早めに使い切ることが必須です。少し多めに使っても問題はないので使い切るように使用しましょう。
それでも使いきれず残った場合はテープなどで開封口を密閉して冷暗所に保管して6か月以内に使い切る必要があります。冷暗所への保管は封を開ける前の状態でも同じです。
カルスNC-Rの効果的な使い方と注意点
まずカルスNC-Rの基本的な使い方は
- 土に有機物(作物残渣、籾殻・生ゴミ)と米ぬかを混ぜる
- 畑の場合はよくすき込み、プランターの場合は上に土をかぶせる
- 水をたっぷりと与えてカルスの活動を促す
- 夏は1、冬は3週間空ける
- 種まきや定植し作物を栽培
と言った流れです。注意点とともにくわしく説明していきます。
土と有機物、米ぬかを混ぜる
まずカルスは土壌改良材であり使われている微生物に働いてもらうため、微生物を飼うような感じで扱いましょう。有機物や米ぬかは微生物にとっての餌となります。有機物は
緑肥・作物残渣・生籾殻などの生の有機物
を使います。これは主食の餌となりますので、生の有機物でない場合は微生物は働かないため効果を得られません。また微生物の主食ではないのですが活動するために窒素が必要なため
米ぬか・硫安
などを加える必要があります。これは微生物の餌ですので作物に必要な窒素はまた別に与える必要があります。
また石灰は微生物に悪影響を与えるため使用は避けましょう。
例として分量は畑1平方メートルあたり
- カルスNC-R30g
- 米ぬか300g
- 籾殻1kg
- 硫安40g
- 肥料
それと有機物となります。10アール当たりだとカルス3袋あたり使い、有機物の投入目安は
有機物の種類 | 有機物の量 | 硫安 | 米ぬか | 分解期間 |
緑肥(ソルゴー) | 全部 | 不要 | 200~300kg | 1~2ヶ月 |
作物残渣 | 全部 | 不要 | 200~300kg | 1~2ヶ月 |
生籾殻 | 1トン | 40kg | 200~300kg | 6~10ヶ月 |
畜ふん生堆肥 | 5~7トン | 不要 | 200~300kg | 6~10ヶ月 |
となります。増量材は粉状の鶏糞や菜種油粕なども候補にできるとのこと。
プランターの場合は1つあたり
- カルスNC-R100g
- 米ぬか100~300g
- 籾殻100g
- 肥料
- 有機物(植物残渣・生ゴミなど)
となります。
土をよくすき込む
プランターの場合は土、有機物、カルス、米ぬか、土の順番でプランターに入れておくだけで完了ですが畑の場合は耕運機や鍬などですき込む必要があります。
カルスを撒いたまま放っておくと紫外線に微生物がさらされてしまい悪影響となります。有機物、肥料、カルスを散布したらすぐにすき込みましょう。
水とたっぷりと加え1~3週間あける
カルスが効果的に作用するには
- 地温15~35℃
- 土が適度に湿っている
必要があります。土が乾く場合は水やり灌水をして乾燥を避けましょう。
その後は夏であれば1週間、冬であれば3週間くらいあけ微生物に土作りをさせます。ベランダでプランターを使う際には虫対策に不織布などでカバーしましょう。
カルスNC-Rの実用例と口コミ
カルスNC-Rはすでにいろいろな現場で使われており、様々な効果が上がってきています。そのなかから幾つか抜粋してご紹介します。
実際に使われた農家の方の実用例
作物別に実用例をあげていきます。
きゅうり
長年きゅうりを作り続けたため連作障害で収穫量が減っていたところカルスNC-Rを使用開始。その後連作障害が減り収穫量が増加。また根こぶ病に悩まされていた農家さんもカルスを使ったことで土壌消毒剤を使わずにも根こぶ病が減ったとのことです。だいたい効果を確実に感じるのに3~4年かかるそうです。
トマト
溝を深く掘り、そこに前作の残渣物をすべて投入し籾殻、硫安、カルスを撒いて空いたところ、有毒ガスもでずに土壌消毒を20年近くせずに連作ができている。堆肥づくりからも開放されトマトを安定的に室が良いものを生産できている。
キク
キクの残渣と油かす・魚粉・骨粉・米ぬか、カルスをすき込み土中ボカシにして使っており、キクは生育よく概ね健全に育っているとのこと。さらに塩類の集積や連作障害もおこっていない。
梨
海岸近くの砂質土のため、堆肥として鶏糞、籾殻、カルスを混ぜて発行して作っており、こまめに切り返しの必要がないためカルスを選んだとのこと。その結果どこを掘ってもミミズがでてきて、できた果樹も評価が高い。
生ゴミ処理としての使い方
カルスNC-Rの前作の作物の残渣を分解するというのが、生ゴミ処理にも使われています。生ゴミを埋めるときにカルスNC-Rを少量ふりかけて覆土して完了。
また生ゴミ処理ということで畑の残渣処理のみに使われることもあります。粗大有機物と一緒にすき込むことで、病気付きの残渣であっても、硬い有機物と一緒に土中で分解されて畑の残渣処理の労力を大幅に省くことができます。
Youtubeでも紹介されています。
芝生に最適な土へ
こちらも芝生Youtuberの方がくわしく紹介してくれています。芝生にカルスNC-Rをつかった土を撒くだけで芝生が育ちやすい土に変え青々とした芝生に復活をします。
くわしくは動画を見てみましょう。図解ですごくわかりやすく説明をしてくれています。
カルスNC-Rの口コミ・レビュー
畑で野菜を栽培してます。
アマゾンレビュー星4
YouTubeでこの商品を知って購入しました!
今まではトウモロコシとかトマトやナス等
収穫を終えた残渣(葉や茎)は生ゴミとして廃棄してましたが
この商品で短時間で堆肥化し再利用できます。
少し残念なのは値段かなーー世の中が値上げラッシュだから仕方ないけど
高価かなーって感じます。
ベランダ菜園が楽しくなる品物。
アマゾンレビュー星5
古い土を捨てなくて再利用が出来るんです。古い土+発酵牛糞+籾殻+残債+カルス+米糠+古い土で1週間で発酵したらもう作物の苗が植えられるこれでベランダ菜園が楽しくなってしまうんです。ゴミも減るんです。虫は、湧かないんです。
2回目の購入で、プランター栽培です。
楽天レビュー星5
秋野菜用にカルスNC-rを仕込み、スナップエンドウ、鞘エンドウを植えましたが、カルスを仕込んでいないプランターと比べ育ち具合に差が出ています。
野菜くずや残渣に米ぬかとカルスNC-rを入れておくだけで土が出来上がる手軽さが良いですね。
もっと早く出会いたかったです。
芝生の土壌改良のために購入しました。
楽天レビュー星5
エアレーションをした後に、目土に混ぜて撒きましたが、びっくりするくらい芝が元気になりました。
中々悪い評価を聞かす、カルスNC-Rはみなさんおすすめできるようです。
まとめ
今はやりの土壌改良材カルスNC-Rをご紹介しました。
カルスNC-Rは微生物を使った土壌改良材で、肥料などではなくあくまで土作りをするものです。作物には作物の肥料が別途必要です。また土壌改良材といえど微生物を使っているわけですので、微生物にも餌を与えなくてはいけません。撒けばいいものではありませんのでご注意ください。
土壌を改良することで、連作障害の防止になり、堆肥を作る手間も省略できます。口コミ・レビューをみても悪い評価はありませんでした。
気になっている方はぜひとも使ってみましょう。
水田専用のカルスNC-R、アイデンカルス・アイデンマックについてはこちら