農業作業や工事現場、土木作業などではトラクターやショベルカーなどの重機や軽トラックなどの車を舗装されていない地面に走らせる場合があります。それらは乗用車よりは馬力が強いもののやはりぬかるんだ地盤ですとタイヤがハマってしまうことがあります。
そういったことがないように基本的に現場ではぬかるみなどの対策に鉄板や敷板、ゴムマットを敷くのが基本となっています。今回はそんな敷板のお話です。現場用のゴムシートやゴムマットのお話はこちらの記事へ
⇒ゴムマットの選び方!野外・駐車場・防音・牛舎などで使う適切なマットを教えます
そもそもぬかるみなどで敷板を使う意味があるのでしょうか。またどんなものが使われていてオススメの敷板というものはあるのか。そういった質問にお答えしたします。
年間数多くの資材系メーカーさんとお話する機会の多い管理人が敷板メーカーさんから聞いたお話と自身が働く資材屋での人気などを踏まえてお話していきます。これで敷鉄板・敷板への疑問はバッチリです。
敷板と使う意味はあるの?敷板の必要性
インターネットで調べると、敷板とは
”足場の不等沈下防止のために、建地下端部に敷く板。”
と書いてあります。 敷板を敷かずにダンプや重機で現場を走行していると土がタイヤ跡で凸凹になってしまいます。またぬかるんでいたり柔らかい土質だとダンプの重みでタイヤがハマってしまって動けなくなってしまうこともあります。(乗用車が雪でタイヤを取られる感じ)
それはつまり一部地盤が柔らかいと最悪重機のバランスが取れずに倒れ大事故につながる可能性があるということです。そうならないためにも敷板を仮設道路として地面に敷き並べ、重い重機などが乗っても重量を分散させタイヤなどがハマりにくくさせる必要があります。
昨今特に現場で一番大切なのは安全であることは言うまでもありません。もちろんこれは工事現場だけではなく同じく畑や田んぼ周りなどにも言えることでトラクターが倒れることでの人身事故は毎年かなり多くあるため農業従事者でも対策は必須です。
また今度は下のアスファルトやタイルを傷つけないように養生として使うということもあります。
敷板の必要性
- 重機のタイヤがハマり動かなくなるのを防ぐ
- 重機の横転を防ぐ
- 傷つけたくない床の養生
敷板の一般的な種類
上でぬかるみにしっかりとした敷板を使うことの重要性をお話しました。では実際にどんなタイプの敷板が使われているのでしょうか。主に使われているのは
- 鉄板タイプの敷板
- 樹脂製の敷板
- ゴムマット
の3種類となります。
次によく使われるサイズ。イベントなどで歩行用に使われる敷板ではなく工事現場や農業で使われる敷板のサイズは一般的に
- 3x6(914mm×1829mm)
- 4x8(1219mm×2438mm)
の2つです。それぞれサブロク板(ばん)シハチ板(ばん)と昔から言われており、mm単位でかなり中途半端な採寸ですが、尺で物を測っていたときの名残りでそのように呼ばれます。板物は今でもこのサイズが基本サイズとなるためDIYなどをやっている方にもお馴染みかもしれません。
それではそれぞれ簡単に説明していきます。
敷鉄板のメリットとデメリット
では敷鉄板と樹脂製敷板の違いや選ぶポイントをお話していきます。
まずは敷鉄板の特徴をまとめると
- 硬くて熱に強く頑丈
- 重いため風で飛ばされにくくズレにくい
- 錆びやすい
- 重機が滑りやすい
- 敷くのに時間がかかる
- 重く重機で敷くため慎重に作業しないと事故につながる
- 値段が高い
となります。金属でできた板なのでなんとなくは想像ができるメリットとデメリットです。風が強い現場や120t以上の重機などを使う場合は敷鉄板を選ぶ必要があります。
一般的に敷鉄板などはレンタルをされており必要に応じて借りることが多いでしょう。次にご紹介する樹脂製敷板は安価でインターネットでも買えますが、こちらは売っているものを買うイメージはあまりありません。
樹脂製敷板のメリットとデメリット
次に敷鉄板の代わりに最近よく使われている樹脂製の敷板のメリットとデメリットです。プラスチックでできているため
- 防水性・電気絶縁・耐薬品性がある
- 軽いものは人手で敷くことができるので作業が簡単で敷くのに時間はかからない
- 熱にやや弱いので上で高熱を発する動きや作業では溶ける可能性があり
- ズレやすく台風などの強い風に飛ばされる恐れがある
となります。安価で扱いやすく敷くという作業も早めに終わる反面、軽いためズレやすくピンなどで地面に固定する必要があります。
農業で使う場合、120t以下の重機のみを使う場合は樹脂製敷板を選んだほうが時間も値段も安くすみます。
樹脂製敷板の片面凸と両面凸
樹脂製敷板にはサイズの他にも大抵2つのタイプが有り
- 片面凸
- 両面凸
があります。その名の通り敷板の片面に滑り止めがあるか、両面に滑り止めがあるかという違いになります。片面凸と両面凸の選び方のポイントは
使う現場地面が平面かそうでないか
となります。
敷板を使う場面がアスファルトやインターロッキング、芝生などのめり込ませたくない場合は片面凸を使い上に滑り止め、下は平面として使います。
反対に土などめり込める場所の場合は板のズレなどの対策にもなる両面滑り止めのタイプを使います。これには板と地面の間に隙間があると板が割れる原因にもなるというのも関係しておりできるだけ隙間はできないように敷きましょう。
ちなみに樹脂製敷板は軽いのが売りで手で持つ穴も空いてますが、実はこのような穴も割れの原因となりやすいです。注意しましょう。
こう見てみると樹脂製の敷板のほうがよく見えますが地面が弱いほど、使う重機が大きいほど鉄板の強度が必要になります。同じように見えても敷鉄板で行える工事=樹脂敷板で行える工事ではないので現場によって使い分けが必要ですがよっぽどのことでもない限り樹脂製敷板を選んで問題はありません。
樹脂製敷板の場合はレンタルより買ってしまう事が多く農業・建築現場だけでなくイベントなどでも使われます。それでは樹脂製敷板のオススメをご紹介していきます。
よく選ばれている人気の樹脂製敷板
樹脂製敷板は使う用途が多いことと安価なこと、扱いやすいという点でよく販売されています。とはいってもなかなかホームセンターで敷板を見ることはありません。購入するとすればもっぱらインターネットとなります。
様々なメーカーが樹脂製敷板を販売していますが、よく選ばれているメーカーは
- ウッドプラスチックテクノロジー
- 京葉興業
の2つです。どちらもオススメですが最近はウッドプラスチックテクノロジーのWボードがかなり人気を博しておりかなりシェアが伸びている印象です。
それではそれぞれ説明していきます。
ウッドプラスチックテクノロジーの樹脂製敷板Wボードシリーズ
プラスチックと木質バイオマスからつくるウッドプラスチックで資材をつくるメーカーのウッドプラスチックテクノロジーさん。こちらのメーカーの樹脂製敷板をプッシュしているお店はかなり多くラインナップは
- Diban(ディバン)
- Wボード
- 軽量Wボード
- Wターフ
の4種類の敷板があります。それぞれ簡単にご紹介していきます。
農業用に考えられたDiban
農耕地への軽トラの乗り入れやビニールハウス・畜舎まわりに置く敷板として作られた農業特化の敷板がDibanとなります。厚さは13mmと15mmがありそれぞれ3x6と4x8サイズがあります。
基本的に片面凸しかなく地面にマッチするように茶色で作られています。農業用で作られていますが、正直ほぼほぼWボード軽量版と違いはありません。
現場にはWボードとWボード軽量版
国土交通省NETISにも登録されている現場用樹脂製敷板です。WボードとWボード軽量版の違いは厚みで軽量版は2cmほど薄くなっており、その分軽くなっています。
サイズ展開は両方とも3x6と4x8の2サイズで片面凸と両面凸を選べます。最近になってカラー展開もされ黒・グリーン・グレーなども選べるようになりました。Wボードだけ1x2サイズも選べます。
最大車両荷重は両タイプも120tとなっており現場で使うには十分すぎるスペックを持っています。紹介動画と試験動画もあります。
こんなに素晴らしい敷板ですが、注意点として禁止事項も述べられています。
・側溝や段差など敷板の下に空間がある条件での使用。
・クレーンのアウトリガー用敷板としての使用。
・軟弱地盤や崩落の恐れがある地盤での使用。
・製品上でのたき火、溶接火花等による火気使用。
上で説明した敷鉄板と樹脂製の違いの通り、やはり敷鉄板の代わりとして使えるものではありません。ただ十分な軽さと試験での最大車両荷重は最高のコストパフォーマンスを生み出しています。事実どこの展示会に行ってもウッドプラスチックテクノロジーさんは出品しており、人気は今やNo1といってもいいかもしれません。
イベント用に作られた樹脂製敷板Wターフ
最近イベント用にWターフという敷板も作られました。ゴムマットより軽く滑り止めもついていて扱いやすい樹脂製敷板です。
今までのものとの違いは薄さです。厚みは8mmほどしかなくサイズも3x6板のみとなっていますが、イベントに合わせてカラー展開が多くなっています。1枚10kgほどしかないので女性スタッフでも運べるのが売りとなります。
京葉興業製樹脂製敷板ジュライト
ここで老舗で有名な敷板のジュライトと比較してみましょう。
柔軟性と強度を両立した環境にやさしい軽量敷板で、プラスチック製で配送費の大幅ダウン、簡単・迅速な敷設が可能です。軽量で耐水・対候・耐久性に優れ、労災防止にも有効な養生板として様々な用途に合わせてお使いいただけます。
スーパージュライト
これからの現場の主流は軽いコンパクトサイズ!柔軟で地面によく馴染み、強靭で安全性の高い製品。3x6は片面凸凹3mmで重機の走行や歩行が一枚で兼用でき、18kgと軽量で手でも持ち運べる扱いやすい製品です。
サイズ展開は3x6と4x8の2種類となります。
3x6板ジュライト
サイズ:910×1,820mm
厚み:15(12+表面凸3)mm
重量:18kg
最大車両総重量80t
4x8板ジュライト
サイズ:1,220×2,440mm
厚さ:17(13+表面凸4)mm
重量:40kg
最大車両総重量80t
まとめ
今回は農業・建築現場・イベントなどでつかう養生敷板についてお話しました。敷板として使われるものには
- 鉄板タイプ
- 樹脂製タイプ
- ゴムマット
の3タイプが有り基本的に樹脂製敷板を選んでおけば大丈夫ですが、熱が起きるところ120t以上の重機を使う場合は鉄板タイプを選ぶ必要があります。
その中でおすすめのものはウッドプラスチックテクノロジーさんのWボードシリーズでした。まさしく
- 農業用
- 現場用
- イベント用
で分かれているので選びやすく非常に安価で購入もできます。
敷板ではなくゴムマットやゴムシートについて気になる方はこちらの記事へ