最近建築業界では日に日に安全対策基準が厳しくなっており、記憶に新しいところでは高所作業の基準が変わり、移行期間である今のうちに装備などを見直さなくてはいけなくなっており、ちょっと前にはほとんどのフルハーネスは売れ切れで半年待ちなどの状態でした。
また法律などが変わらなくても推奨されていたり、災害が続けて起こっている事で意識を向け資材などを揃えておく時代にもなってきました。
2023年10月より2tトラック以上は昇降設備設置・ヘルメット着用の義務化になりました。なぜそんな事になったのか、トラックの昇降時に起こる事故対策のお話です。
各資材メーカーと話す機会の多い管理人が実際に展示会やメーカーの営業から聞いた話をもとに将来的に装備必須になりそうなトラック昇降ステップのおすすめをご紹介していきます。
現状でのトラック昇降台の立ち位置
2tトラックは今まで簡単言うと今はまだトラック昇降ステップを用意推奨というものでした。ただしっかりと法令が変わるきっかけになったのは国土交通省のあるアンケートがキッカケのようです。
2015-2017年の間にトラック作業時に起こったいわゆる「ヒヤリハット」の事故などに関するアンケートを群馬県のトラック協会を対象に国土交通省でとった際、トラックでの荷台作業時に起こったヒヤリハット、または事故は
事故内容 | 件数 | % |
ヒヤリハット | 193 | 35.9 |
事故 | 92 | 17.1 |
なし | 252 | 46.9 |
合計 | 537 | 100 |
上のようになっています。この内荷台での作業時に起こったものが「132件」だったようです。その中で状況として荷台昇降ステップや手すりがなかったケースがヒヤリハットでは少なかったが、実際に起った事故には多かった。
そして荷台に関する要望では荷台ステップや手すりを付けてほしいを言う意見が多かったようです。
そんな背景があり5t以上のトラックには作業する際の昇降台設置が義務化されていましたが、それが2t以上に拡大しました。ついでにヘルメットの着用の義務の範囲も広がるとのこと。
ヘルメットは
- 最大積載量5t以上
- 最大積載量2t以上5t未満で、荷台の側面が開放できるもの(あおりのない荷台のあるもの、平ボディ車、ウイング車など)
- 最大積載量2t以上5t未満で、テールゲートリフターが設置されているもの(テールゲートリフターで荷の積卸しを行うときに限る)
の条件に当てはまる場合必要となるようです。
実際に荷台で起こりうる事故
実は厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署からトラックのドライバーまたは会社へ自主構内での「荷役作業の安全確保」の協力が呼びかけられています。
現在トラックの運転手はトラックのタイヤやサイドガードやアオリ金具に足を引っ掛けて作業するケースが多く、足を滑らせたり、靴紐が引っかかって地面に落ちたりなどの事故の危険性があります。大した高さではないでしょと高を括るのは危険!実際に死亡事故までおきています。
事故例(死亡例)
- 荷物の荷締の緩みを取るためトラックの荷台に上がろうとしてアオリに登ったところ足を滑らせて1.5mの高さから転落
- 雨が振り始めたためトラックの荷台アオリに上りシートをかけていたところ足を滑らせて転落
- フォークリフトでトラックへの荷揚げの際、フォークリフトで荷物を奥まで詰めようとした際、押された荷物に押されて転落
これらは実際の起こった例で荷台に上がった際起こってしまった事故です。たった1.5mの高さから落ちただけでも死亡例があるので、楽観視はできません。
トラックの荷台事故への対応策
対応策として以下が挙げられます。
- 高所作業をできるだけ避ける
- 作業台の設置することで荷台上での作業をできるだけしない
- 2m以上ある場合は安全帯や安全ネットなどを使う
- 荷台の乗り降りにも昇降ステップを使う
- 頭を打つケースが多いためヘルメットの着用
ここで注目されているのがトラック昇降ステップや作業台などのトラックの荷台の乗り降りを補助するものです。
トラック荷台・玉掛作業を補助するステップ・作業台の種類
まずはトラックのアオリにつけて荷台への昇降を助けるステップをご紹介していきます。こちらは大きく分けて3種類あります。
- アオリに引っかけてたためるコンパクトなタイプ
- ハシゴのようにしっかりとしている丈夫で安定なタイプ
- トラックに横付けする台タイプ
アオリに引っ掛けるタイプ。こちらは比較的安価でアオリに引っ掛けるだけで足場ができるお手軽な足場で軽トラの所持者を中心に人気があります。特に幅広タイプの両足が乗っけられるタイプが人気です。
ハシゴタイプは元々5t以上のトラックで使われることが多かったものです。しっかりとしていて手をつかめる手すりがついているものもあるので安定しています。
台タイプのものはトラックに積んでおくのは流石に無理ですが、法律上荷受け側にも影響ができてくる内容ですので、どちらかは用意しておく必要があります。非常に安定しており事故が一番起きにくいタイプでしょう。
安価なあおりステップタイプが人気ですが、今はまだ「3点で支えるのが好ましい」と手を掴む手すりがあったほうがいいというグレーな言い方をしているようですが(メーカー営業談)、この先手すり付きでなければ行けない。という流れになるかもしれません。安価なものは登るだけのハシゴのようなものなので、手すり付きを用意しておいたほうが安心でしょう。
ちなみに義務化に当てはまるトラックステップの条件は
トラックステップの条件
- 地面から踏面(2段以上の場合は段差ごと)の段差が50cm以内であること
- 両足を置くことができる踏面幅であること
- 踏面表面上に滑り止め加工がされていること
- 踏面は板状またはスリット状であること(角柱状や棒状の場合は、三点支持による昇降ができる昇降グリップが必要)
- 車両取付型の場合は、リア、サイド、あおりなど車体側面から突出して1ヵ所以上設置されていること
- 地面から荷台までの間に、荷台から見て足裏の半分以上の長さが視認できる踏面が1段以上設置されていること
となっています。
おすすめのトラックステップ
ハラックス トラックステッパー
トラックのアオリに引っ掛けるだけの簡単設置です。DWとつくものが幅広タイプとなり両足ものっかります。おすすめはやはり両足が乗っかり作業もできるDWタイプ。一番下のステップ部分も折り畳めるので収納にも便利な売れ筋のトラックステッパーです。
ハラックス マルチステッパ
次はしっかりと地面に接し階段タイプになる昇降ステップです。折りたたみ式のものもあるのでトラックに常備させておくのがおすすめです。
階段のステップの奥行きが16cmあり荷物を持ったまま乗り降りしやすいのが特徴です。フック部がトラックに合わせて伸縮しロックもできるので安全対策はバッチリです。ステップ幅40cmと55cmの2タイプの展開です。
選び方はフック高で選びます。フックまでの高さが選ぶ基準ですので下のリストをみて自分のトラックにあったものを選びましょう。
- 63-93cmは900S
- 89-119cmは1200S
- 115-145cmは1500S
- 141-172cmは1800S
ピカ 手すり付きトラック昇降ステップ
こちらも有名なアルミメーカーのピカさんのトラック昇降ステップとなります。大きく分けると種類は2つ。はしごが台形上に広がっているか真っ直ぐかです。特徴としては足が伸縮することで多少の段差などにも対応できること。
こちらもトラックアオリまでの高さで選びます。
- 1.02mから1.45mは型番に14とつくもの
- 1.47mから1.9mは型番に18とつくもの
まとめ
どんどん安全基準が上がってきている昨今。色んなものが制限され、指定されて行くようになっていくことと思います。そうでなくても安全のため、設備や道具をしっかり点検し買い揃えておくことが大事になってくると思います。
ちなみにトラックステップはハラックス、長谷川工業、アルミス、アルインコ、ピカなど様々なメーカーが作っています。法改正に伴い欠品が続いていますが、とりあえず安価なものを用意するよりは先のことを見越して手すり付きのものを用意しておきましょう。
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