世界中で流行っている日本の文化といえばアニメ・相撲・寿司などなどたくさんあります。日本好きでなくても日本の文化にハマっている人も多くなっている中で「盆栽」もその一つとして大きな影響を持っています。
盆栽をやっている方であれば世界中で盆栽が熱くなって来ているのはご存知かもしれません。世界で盆栽が流行っていることで盆栽に使う道具も日本ブランドに憧れをもっている外国人の方は多く、事実として日本の盆栽道具ブランドを買う海外の方は非常に多くいます。
今回はそんなプロの方も使うおすすめの盆栽ブランドをご紹介していきます。盆栽を初めたばかりの初心者の方はぜひ覚えてください。
各道具の違いや種類はこちらへ⇒盆栽道具の種類と違い!それぞれの使い方とは?初心者におすすめは盆栽セット
年間数多くの園芸資材の展示会に赴き、多くの資材メーカーさんとお話する機会の多い管理人がそこから聞いたお話や話題を中心に自身が働く資材屋での売上やクレームなどを踏まえてお話します。
主な盆栽ブランドとは
盆栽道具は鋏ややっとこなど金属で作られているためやはり
- 燕三条
- 関
などの金物が有名な場所に有名ブランドがあります。その他にも盆栽といえばといわれる県である埼玉県にも有名ブランドがあります。
盆栽ブランドは並べてみるとかなりたくさんあります。
- 喜久和
- 越乃興三
- 源造
- 切れるよろこび
- 兼進
- 昌国
- 岡恒
ここで上げた上の4つは面白いことに新潟の三条で作られている盆栽ブランドです。一説には盆栽道具の80%が三条で元が作られて他の場所に卸しているという話があります。つまり色んなブランドがありまずが鋏などの形が作られた後でそれぞれのブランドが仕上げて販売しているということです。
ここで少しブランドとメーカー、そして製作と製造の違いを少し頭に入れておきましょう。
ブランドとメーカーの違いと製作と製造の違いとは?
まずはブランドとメーカーの違いから簡単に説明すると、メーカーはその鋏を作っているまたは仕上げている会社で、ブランドというのはそのメーカーが付けている商品ラインナップの名前です。簡単な例を上げると
メーカー名 | ブランド名 | |
喜久和 | 株式会社喜久和 | 喜久和 |
越乃興三 | ツボタ | 越乃興三 |
といったようにメーカー名とブランド名が変わらないものもあれば、違うものもあるのでブランド名=メーカー名ではありません。
次に製作と製造の違いについてお話します。簡単に言うと
道具や機械で何か作ることが「製作」、材料から物を作り出すのを「製造」
となりますが、ややこしいですよね。椅子やジュエリーなどは製作でビールやパンなどは製造となります。話を盆栽道具に戻すと誤解を恐れずに簡単に説明すると
鉄から盆栽道具を形作るのが「製造」で使えるように仕上げるのが「製作」
となります。そちらを頭に入れたところで各有名ブランドについてお話していきます。
世界中の憧れの盆栽ブランド「昌国」
昌国は「まさくに」と読みます。世界でいちばん有名な盆栽道具のブランドといえば間違いなく昌国さんとなります。実際ホームページも英語ででており海外向けにサイトを作っています。
昌国は世界で初めて盆栽の手入れ道具を製造したメーカーとなります。70年前に昌国初代が一本の鋏を生み出したことからはじまり、以降大宮盆栽村の有名な盆栽師と共に開発に没頭し剪定鋏・芽摘み鋏・コブ切・やっとこ・針金切などなど今現在ある盆栽道具のほとんどが彼らによって開発されたそうです。
また国から医療機器製造の認可も受けるほどの厳しい高度な品質があり、素材に最高級純鋼を使い職人の手によって日本刀製造のプロセスに基づき理想の道具をすべて自社工場で製造しています。
そんな昌国は使い方によっては30~40年使用することが可能です。最初は少し咬み合わせが渋くなっていますが使い続けることで軽い使い心地になってきて手に馴染んできます。又枝切などは刃が短くなることを見越して刃先が少し長くなっていたりと長く使うことが前提となっています。
ただ意外にすべてが手造りというわけでもなく手でも機械でも変わらない結果のものは積極的に機械も使っているようですべての人が手に入れやすい値段になるようにしているという職人魂のみを売っているというわけではありません。そのため誰もが手に入れやすくなっています。
安価な手に取りやすいものも多い「喜久和」
喜久和も昌国に負けず劣らず世界中で有名な盆栽道具ブランドです。創業60年ですが最初は大工工具を作っていたそうです。その後に園芸道具に手を出し紆余曲折があり盆栽道具を作るようになったメーカーです。
品揃えもよく初心者でも選びやすい盆栽セットも用意されています。実際にその盆栽5点セットが定番でよく出ているとのことです。小売もしており現在では海外からの問い合わせも多くなっており直接海外に販売もしています。
比較的安価で手に取りやすく、ラインナップもたくさんあるので盆栽に必要なすべての道具が揃います。ただ製作をしているものの製造は行っていないため昌国さんのように鋼から全て作り出しているわけではありません。
金物の町・関市の盆栽ブランド「兼進」
60年の盆栽道具の取り扱い歴史がある兼進刃物製作所さんのブランドである「兼進」。日本製の良いものをこだわるというのがモットーで世界にもファンが多い盆栽ブランドです。
日本製へのこだわりが強いため職人の育成にもかなり力を入れています。英語サイトにはその育成についても書いてあることからもそのこだわりが伺えます。兼進さんも製造は行っていませんがプロの兼進さん自慢の職人さんたちが高品質な刃先を作り続けています。
海外からも人気をうかがえるほと名指しでの問い合わせも多く、品揃えも盆栽を始めようとする方からプロの方まですべての方が満足できるようなラインナップになっています。また肥料や手入れ道具から刃物製作所らしく園芸用品も揃えております。
刃物メーカーが作る足長盆栽鋏が有名な「越乃興三」
盆栽の世界で一番使われているといっても過言ではない「足長盆栽鋏」を最初に作ったと言われるのが越乃興三ブランドのメーカーであるツボタさん。
ツボタさんといえば新潟県の三条でも有名な刃物メーカーでブランドも盆栽ブランドの越乃興三、板金金切鋏の種光ブランドがあります。板金金切鋏の業界でも種光ブランドはかなり人気で有名なこともありツボタさん自体が刃物業界では有名です。
そんなツボタさんで作られているのは越乃興三だけではありません。
- 国久光
- 越乃興三
- 花屋さん
- 植木屋さん
- ヨーロピアンライン
- フッ素コート
などのシリーズに分かれており越乃興三だけでも
- 刃部鍛造鋼:グリップを付け握りやすく刃部も切断能力アップ
- 手造り本鍛造
- ヌワール:黒染めのヌワール
- グレイスフル:艶が出る平磨き
- ステンレス鋼
などのシリーズに細かく枝分かれしています。それぞれ特徴があるので好みのものを選べます。ただ少し欠品が多めのイメージがあります。
ブランド名は「切れるよろこび」
ブランド名か実際にまよってしまう名前の「切れるよろこび」は某有名盆栽雑誌でも紹介されているブランドで、創るよろこび工房(株式会社馬場長)で作られています。
ステンレス系鋼の中でも最高峰レベルといわれるカーボンが1.45%も含まれている日立金属安来鋼SLDが使われており硬さ、耐摩耗性、切れ味、耐久性に優れた鋼になっています。
そんな切れるよろこびは2パターンの仕上げがあり
- サテン仕上げ
- 鏡面仕上げ
から選ぶことができます。特にサテン仕上げは切れるよろこびでしか見られない仕上げ方法で錆びにくく見た目も細かくきれいに仕上がっています。また商品の半分ほどが止め軸をオーデーナット式となっており分解して手入れがしやすくなっているのが特徴です。
その切れ味はドイツでの国際ガーデン展示会でも大好評で分厚い冊子に鋏はスッと入ってく姿に来場者は度肝を抜かれたとのことでした。
その他有名ブランドと小話
ここまで有名ブランドをお話しましたが、他にもたくさんのメーカーがあります。細かくお話できるほどの情報が今現在はないので簡単に説明していきます。
- 源造
- アルスコーポレーション
- 岡恒
源造はこちらも新潟の三条で作られている盆栽ブランドになります。なんと盆栽鋏として外すことのできないさつき鋏を初めて製造し名付けたのがこの源造さんです。
アルスコーポレーションさんと岡恒さんは上でご紹介したブランドと違って主に剪定鋏の種類が多く植木鋏のようなものは少ないのですが、園芸鋏を作っている有名なブランド・メーカーです。
他にも古澤製作所さんのようにやっとこなどの盆栽道具をつくっている小さなメーカーのように日本中にたくさんあります。上でも話したように盆栽鋏などは昌国さんと岡恒さんを除くとほとんどが新潟の三条で作られておりそれぞれブランドに卸され仕上げられています。
まとめ
世界中で注目を浴びており人気がどんどん上がっている盆栽の世界。その盆栽道具もやはり日本のものが人気で中国やベトナム、ヨーロッパなど大量に買付にくるバイヤーも多いです。バイヤーだけではなく個人でもインターネットを通してよく海外へ販売も行われています。
実際体感としても日本への配送のほうが多いものの、大量に買われる方は大体海外の方です。もちろん問い合わせも多く昌国・喜久和・兼進などはよく名指しで問い合わせがきます。
今回はその中からおすすめできる有名ブランドをご紹介しました。
初心者であればまずは喜久和・兼進のものを使ってみて、そのうち昌国を使ってみるのがおすすめです。昌国のものは長く使えるのが特徴ですので手入れをしっかりして長く使っていきましょう。
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