草刈機(刈払機)で雑草を刈るときには当然草を刈る刃がついています。高速回転で回るその扱いや使い方にはもちろん注意が必要ですが、草を刈る刃自体も沢山の種類があります。
2・4・8枚刃などの枚数刃や笹刃(丸のこ刃)、チップソーなど色々ありますがどれを使えばいいのか迷いませんか。今回は草刈機につける刃のそれぞれ種類別の特徴と違いについてお話していきたいと思います。
刈払い機を使うときの安全対策⇒草刈り機(刈払機)による事故の安全対策とできるだけ簡単に楽に刈るコツ
年間数多くの農業資材メーカーさんとお話する機会のおおい管理人が自身が勤める資材屋での人気やお話する資材メーカーさんとのお話を元にお伝えいたします。
草刈機につける刈刃の種類と違い
まずは草刈機によく使われる刈刃をあげると
- 2枚刃
- 4枚刃
- 8枚刃
- 笹刃
- チップソー
- ナイロンカッター
に分けることができます。それぞれの特徴を簡単に説明すると2・4・8枚刃はそのまま刃の数を表しており、笹刃とチップソーは見た目はそっくりですがチップソーの場合は簡単に言うと丸い円盤に刃をつけているもので笹刃は丸い円盤の縁をギザギザの刃状にしたものです。
ナイロンカッターはプラスチックのヒモを回して遠心力で草刈りをするタイプのもので上の金属刃のものとは明らかに違います。ただ上の種類の中で一番安全性が高い草刈刃といえます。
他にもハンマーナイフモア刃というものを聞くと思いますが、ハンマーナイフモア刃というものは草刈機は草刈機でも手荷物タイプではなく耕運機などのように乗ったり押したりして刈れるものとなります。
ハンマーナイフにもロータリーナイフとハンマーナイフといった刃の種類があります。ではそれぞれの刃の選び方をお話して行きます。
草刈刃の選び方
様々な種類がある草刈刃ですが、それぞれの特徴もあるもののどのように使うかによっても選び方が変わってきます。簡単に表にすると
2枚刃 | 4枚刃 | 8枚刃 | 笹刃 | チップソー | ナイロンカッター | |
山林の下刈り | ✗ | ✗ | ✗ | ○ | △ | ✗ |
細い木やすすき | ✗ | ✗ | ✗ | △ | ○ | ✗ |
田んぼの雑草 | ○ | ○ | ○ | △ | ○ | △ |
山林の下刈りは植えた苗木の生長を邪魔する雑木などを刈っていきます。雑木といっても直径5cm以下のものにはなりますが雑草などよりは固くしっかりとした刃が必要となってきます。笹刃も80枚刃のものが選ばれやすいですが目立て(刃研ぎ)が難しく30~40枚刃は使われることもありますがあまり向きません。チップソーも使えますが笹刃ほど太い幹は切れませんのせ笹やヤブなど硬い枝を切るときに使います。
直径2cm以下の雑木やすすきなどの硬い茎をもつ雑草には30~40枚刃の笹刃やチップソーを使いましょう。
田んぼの畦や法面の雑草などには大体の刈刃が使えます。それぞれの特徴を加味して選びましょう。ただ2枚刃に限っては使用禁止されている地域などもありますので確認をしっかりしましょう。理由は次のそれぞれの特徴でお話いたします。
草刈刃のそれぞれの特徴
それではそれぞれの刃の特徴を使われ方などをお話していきます。
2枚刃の特徴と使い方
2枚刃は上のように長方形に近い形をしており両端が刃となっています。その回る姿からプロペラ刃友いわれており刃渡りが草刈の刃の中で一番長いです。
2枚刃を選ぶメリットは以下のものになります。
- 刃渡りが長いので効率良く刈れる
- 寿命が長い
- 刃に草などが絡まりにくい
簡単に説明をしていくと、刃渡りが長い分柔らかい草を効率よく刈れるのでイ草や芝生などの草刈にはよく使われていました。草を粉砕していくイメージで草刈機を左右に振って粉砕するように刈り込んで行きますので、チップソーの薙ぎ払って飛ばすという苦労がありません。
寿命が長いのは刃渡りが長く刃を研ぎやすいため長く使えます。さらに裏返して使うこともできるためリバーシブルとなり更に長く使えるというメリットがあります。
切れ味もナイロンカッターより切れ味がよいという声が多いです。
ただデメリットもあります。
- 使えない地域がある
- 何かにあたったときの反動が強い
- 石などを飛ばしやすい
まずは2枚の刃をブンブン回しているため何かにあたったときの反動が強くキックバックしやすく上級者向けの刃になるため使うことを禁止している地域もあります。土をかんだだけでも反動があり足元に刃が来やすいループハンドルの刈払機と相性が悪く、使うのであればU字ハンドルのものにしましょう。
反動が大きいということは石などにあたった場合に石などをかなり飛ばしてしまいます。そのため草刈の中でも最近注目されている高刈りとの相性が良い刃とも言えます。反動によってボルトが緩みやすいので使う前に必ずチェックしましょう。
通常草刈機の排気量が25cc以下の場合は230mm、25cc~30ccの場合は255mm、30cc以上の場合は305mmの2枚刃を選びますがコンパクトな刃の方が反動も小さく軽くて振りやすいのでおすすめです。
切れ味が悪くなると刃が飛んでしまったり事故の原因になりますので刃を研ぐか刃を変えてすぐに対処しましょう。おすすめの2枚刃はこちらです
4枚刃の特徴と使い方
4枚刃はコスパがとにかく良いというメリットがあります。メリットを並べると
- コスパがいい
- リバーシブルに使えて長持ち
- 粉砕力
といった感じになります。2枚刃と似ています。
3枚刃というものもありますが、全てにおいて4枚刃を選んだ方がいいでしょう。切れ味というよりは粉砕力で草を刈っていき刃も研ぎやすくリバーシブルに使えるため長持ちします。その上安価で手に入るためコスパが高い商品となります。
ただ2枚刃ほどではないもののキックバックは激しく気をつける必要があります。また斜面でつかうと反動からかチップソーなどより重く感じるといった声もあります。
刃を折り曲げて改造して使う方もいて、4枚のそれぞれ対角にある刃を下や上に角度をつけて折り曲げると粉砕力がアップするそうです。
8枚刃の特徴と使い方
8枚刃は昔からよく使われてきた草刈り用の刃となります。一言でいうとオールマイティーに使える刃という方もいらっしゃるくらい様々なところで使えます。
- 2~4枚刃よりも硬い草にも対応
- 比較的安価
- 研ぎやすい
メリットを上げると以上になります。2~4枚刃は春先の柔らかい草に対応していますが8枚刃は比較的硬い草にも対応しており使い勝手がよく比較的安価で買えます。そしてチップソーと比べてある程度研ぎやすく簡単に何十回と研げるので小石などにあたっても研げばいいという気持ちでいられます。
ただ刃先がすぐ丸くなって切れ味が悪くなってしまうというデメリットが有り1時間ほどで刃を取り替えなくてはいけません。ただ切れ味がすぐ悪くなる分最初の切れ味がよく日本刀や高級包丁に例える人もいます。
切れ味がいいとスパッと切れ、切ったあともなかなか刈った草が再生しないという利点があるためこまめに研いで使う刈刃になります。
笹刃の特徴と使い方
丸のこ刃とも笹刈刃とも言われる笹刃。見た目はチップソーとそっくりですが、上でもお話した通り刃の作りが違います。チップソーは刃チップがはめられている丸い円盤で丸のこ刃と言われる笹刃は刃がついている円盤となります。種類が2種類あり
- 30~40枚刃
- 80枚刃
のものに分かれます。
それぞれ刃がのこぎりのように互い違いになっており、○枚刃より硬い枝などを切りやすくなっています。一般的に30~40枚の刃がついているものは草刈や笹刈に80枚以上ついているものは山林の下刈りなどに使います。
笹刃のメリットとしては
- チップが飛ばない
- 種類にもよるがタケや枝なども切れる
- 自分で研げる
となります。比較的笹刃は林業で使われることが多いため、高いところの笹や葛などのヤブを刈るため地面スレスレで使うことがあまりなく小石などに当たるリスクもなくチップがついているわけでもないのでチップが飛ぶこともありません。
笹刃は自分で研ぐことができ研ぐときは棒状のヤスリで研いでいきます。研いでいる動画を見つけたので貼っておきます。
ちまたでいちばん人気なのがツムラの笹刈刃です。高刈り向きの笹刃でちゃんと研いで使うことで鋭い切れ味を保てます。
チップソーの特徴と使い方
草刈刃といったらまずはチップソーというくらい選ばれることが一番多いのがチップソーです。チップソーは何度かお話しているように円盤にチップがついている刈刃となります。このチップが最重要ポイントでこれで草を刈っていくのですが、ここが欠けたり摩耗するだけでただの鉄くずになります。
様々なものがあり値段や耐久性・切れ味などピンキリで色々選ぶことができます。サイズは
- 230mm
- 255mm
の2種類があり、230mmのものは基本的に25cc以下の刈払機に使いそれ以上は255mmを使います。サイズを間違えると草刈能力が最大限発揮できません。チップの数は36個と40個が多くそれぞれ36P・40Pと表記されています。山林用は60Pなどもあったりします。数が多いほど草を刈りやすいのですが重さや値段は上がっていきます。
実はチップの付き方(ロウ付け)にも色々あり、大きく分けると
- 片刃
- 両刃
- 千鳥刃
の2種類なのですが、片刃は同じ向きに刃がついているタイプ、千鳥刃は上下互い違いに刃がついているタイプが有ります。両刃は草や雑木に、同じ向きの片刃は雑草、そして互い違いの千鳥刃は竹用などにみられます。草刈で迷ったらとりあえず万能な両刃を選びましょう。
草刈り用のおすすめは他の記事でも上げたのでよろしければ読んでみてください。
⇒草刈チップソーどれを選べばいいのか?最強のチップソーはこれ岩間式ミラクルパワーブレード!
他にもよく選ばれているのチップソーはこちら
山陽金属のブルーシャークは耐久性も高く万能でとても人気です。ただ同じ山陽金属と青龍というチップソーがあるのですが中身は一緒のものらしいです。
山林用ではミラクルパワーブレードを作っているMIKのUSX型が人気です。
いい値段のチップソーは研ぐことで長く使えるので結果やすいものを使い捨てするよりもコスパがいいです。サンダーやダイヤモンドヤスリ、研磨機を使って研ぎます。
ナイロンカッターの特徴と選び方
ナイロンカッターを使うメリットは
- 安全
- 疲れにくい
- 障害物を気にしなくていい
など挙げられます。説明します。
とにかく草刈を安全に済ませたい方や初心者はナイロンカッターをおすすめします。金属の刃を振り回すよりは安全で、またフェンスや岩など障害物が多い場所でも有効で障害物にあたってもキックバックはありません。
またチップソーなどは刈りながら刈った草をどかしていかなくては行けませんが、ナイロンカッターは粉砕していくため押しのける必要がなくチップソーなどに比べ草刈が疲れにくいというメリットがあります。
次にデメリット
- 切れ味が金属刃に比べていまいち
- 排気量が小さいと性能を発揮できない
- 繰り出し式は根本で切れると巻き直さなくてはいけない
- 草を撒き散らすため服が汚れやすい
となります。もちろんナイロンのコードの回転で草を刈っているため金属刃をつかうよりは切れ味が落ち効率は落ちてしまいます。また草を刈るとき切るというよりはブッタ切っているため抵抗が大きく排気量が小さい刈払機だと回転が落ち草刈ができません。30cc以上の草刈機を使うか小さいナイロンカッターを使いましょう。
ナイロンカッターはそのナイロンコードの取り付け方で2種類あり
- 差し込み式
- 繰り出し式
に分けることができます。差し込み式はナイロンカッター本体にコードを差し込んで使うもので使って擦れたり切れたりしたら丸々一本交換する。繰り出し式はナイロンカッター本体にぐるぐる巻にコードが収納されており、必要な分を引き出して使うタイプと遠心力で自動で出てくるタイプがありますが根本から切れるとコードの長さが左右ちぐはぐになり巻き直すという手間があります。
コードの形にも種類があり
- 丸・角:耐久性がある
- 星:切れ味がいい
- ツイスト:消音効果がある
それぞれ上記のような特徴があります。コード切れがナイロンカッターを使う際の問題として挙げられることが多いので最初は丸や角型のものから使うといい思います。意外と太いコードより細いコードの方が切れにくく扱いやすいと言われています。
効率を上げて更にコードを切れにくくするためにナイロンコードを金属刃を合体させて使う方もいらっしゃいますが金属刃によってはコードを切ってしまうので最初のうちは挑戦しないようにしましょう。
人気のナイロンコードはこの2つです
他にもあるマニアックな草刈刃
通常の草刈などで使うものではありませんが、局所をねらったユニークな草刈刃が幾つかあるのでご紹介します。
アイデック 水草取りまー
こちらは水を張った田んぼ専用の草刈刃となります。左右に水車のような刃がついていますが株間によっては一つ外すこともできるという代物です。
強い回転力で中の泥土ごと草を刈りめとるので根本から除草をしやすいのが特徴です。また土を撹拌することで有毒ガスなども除去することができて稲の成長にもプラスになります。
田んぼで使う場合は20cc以上の刈払機で中干し前に使いましょう。中干し後だと土が固く根本から草を除去しづらくなります。
畑のシェーバー
今度は畑でつかえる草刈刃です。雑草を刈るというよりは土と雑草ごと削る刈刃で地面をすべらせるように左右に動かして除草します。
カバーがついているので作物などを傷付けてしまう心配もなく安心して使えます。ただ長い草には向かず、土ごと削るため26cc以上の排気量が必要となります。2枚刃のものは26cc以下でも使うことができます。
家庭用簡易ナイロンカッター刈払機 健太郎くん2
刈刃ではありませんが、折りたたみ式で収納もしやすい家庭用の電気コード式ナイロンカッター草刈機です。家庭用ということで障害物もおおいのでナイロンカッターは相性抜群で1.2kgの軽量なので女性でも簡単に扱えます。
電源コードタイプなのが欠点ですが、10mもコードがありもっと必要でも延長コードを使えば問題なく使えます。危険な作業の除草をご家庭で安全にできる自宅にぴったりな草刈機です。
健太郎くん2ではありませんでしたがデモ動画がありました。
まとめ
さて今回は草刈機に使う刈刃をご紹介しました。刈刃には
- 2枚刃:使えない場所がある
- 4枚刃:安価で試せる
- 8枚刃:バランスがいい
- 笹刃:山林用は80P
- チップソー:一番使われている
- ナイロンカッター:安全第一
と言った特徴がありました。
それぞれ使い方や使う場所が違い適材適所で使う必要がありますが、初心者であればナイロンカッターやチップソーで試してみるのがいいでしょう。
草刈は安全が第一なので安全対策は必ず気をつけましょう。