薬味として必須のネギは血行促進・疲労回復・殺菌作用・免疫力増加など健康に役立つ効果がもりもりの食べ物です。風邪の時などは首に巻くなど様々な使い方があります。
そんなネギは白ネギ(長ネギ)と青ネギ(葉ネギ)に分けることができます。白ネギはよく鍋などにも入っているネギで、青ネギは九条ネギなどの小さいネギのことです。どちらも家庭菜園からプロの農家さんまで育てている作物で特に青ネギは初心者の方でもプランターで簡単に育てられるとのことで人気です。
今回は白ネギを中心に家庭菜園からプロの農家まで使える栽培から収穫までの失敗しない為のコツと栽培に便利なアイテムをご紹介していきます。
年間数多くの農業系展示会に出席する管理人が資材メーカーの方から聞いた話や自身が働く資材屋でのお話、人気のアイテムをご紹介します。
ネギの栽培から収穫までの基本的な流れ
まずは簡単なネギの栽培手順をお話すると
- 土作り
- 種まき
- 発芽させる
- 間引き
- 植え替え
- 土寄せ
- 収穫
といった流れになります。こちらはプランターで育てても畑で最初から育てていても違いはあまりありません。それぞれ詳しくお話していきます。
土作りと種まきから発芽まで【時期】
まずはネギの種蒔き時期は大きく分けると2つの時期があります。蒔く時期によってそれぞれ
- 春蒔き(3~4月上旬)
- 秋蒔き(9月中旬~10月中旬)
と呼ばれています。春蒔きの場合でプランターで育てた場合は畑への植え替え(定植)を6月下旬から8月上旬に行います。例えば2回定植を行う場合は仮植はGW、本植はお盆くらいに行うといった具合です。そして収穫は11~12月くらいとなります。
重要ポイントは
- たっぷりの水やり
- 保温
です。発芽適温は15~25度となります。
畑に種まきをする場合の土作り
土作りは基本的には種を蒔く2週間前から1平方メートルあたり苦土石灰を150g、堆肥3kg、化成肥料100gをよく混ぜてしっかりと耕し土作りをしましょう。ただネギは酸性土壌を嫌うためpH6~6.5くらいに調整し、さらに水はけの良い場所を選びましょう。
畑の表面を平らにならして深さ1cm位の種まき用の溝を種を0.5~1cmくらいの等間隔に蒔いて(すじまき)いきます。その溝を畑に10cm間隔くらいで作っていきます。ちなみにネギは密集気味に育てるほうがよく育つと言われています。この時種の量にもよりますが種まき器をつかうとかなり便利です。
種まき器の記事はこちら→水稲用・家庭菜園用・プロの農家用おすすめの種まき機【播種機】
種まきを終えたら土をかぶせるのですがここで要注意。土は種が隠れるくらいで十分です。発芽しない原因として土をかぶせすぎというのがよく挙げられます。農家さんに寄っては土を被せずに新聞紙を載せるだけとか黒マルチをかけるだけという方もいらっしゃいます。寒くなりすぎる場合はビニールなどをかけて保温します。
乾燥すると発芽率が悪くなるため種を蒔いたらたっぷりと水をあげます。この時種を流してしまわないように注意して丁寧に水を上げましょう。そして土の乾燥を防ぐために籾殻や藁・新聞紙・不織布などで覆いましょう。
プランター・育苗箱での種まきや土作り
こちらの場合土はネギ用培土というものがあるので初心者はそちらを使うのをおすすめします。家庭菜園の場合はプランターにほぼ上と同じような方法で種を蒔いて水をたっぷりプランターの底からでてくるまであげましょう。そのまま乾燥に気をつけながら発芽まで待ちます。
プロの場合は育苗箱とチェーンポットを使う場合が多いかと思います。その選び方などはこちらの記事に詳しく書いてあります。
→育苗箱・ポット・セルトレイで育苗する理由とは?どれを選べがいい?おすすめの選び方と使い方
育苗箱とチェーンポットを使う場合は殆どそのままニッテンの播種機セットを使う場合が多いと思います。簡単に説明すると水稲用育苗箱にチェーンポットと言われる紙でできた連結育苗ポットに土を入れて、育苗箱にぴったりサイズの播種機を使い種を蒔いて覆土するというもので、その流れを簡単にできるようにされたネギの種まきキットです。詳しくはこちらの記事でまとめています。
→失敗しないネギ播種セットの選び方【播種機・チェーンポット・展開枠・くし】
簡単な使い方をこちらの動画を見ればわかりやすいです。
発芽から定植まで
乾燥を防ぎながら発芽を待ちます。生育適温は15~20度でだいたい1週間くらいで芽が出始めます。発芽後は水分をそんなにあげなくてよくなります。そうなると必要になってくるのが間引きと追肥。それらを行い定植ができるまで育苗をします。
間引きは葉が2枚くらいになり草丈が7cm~10cmくらいになったら株間が1.5~3cmくらいになるように間引きをします。プランター栽培の場合追肥は10日に1回化成肥料を少し与え畑の場合は1ヶ月ごとに追肥をします。
プランターで育てた場合は畑に苗を移す定植という作業が必須となります。草丈が20~30cmで春に種まきをした場合は6~7月、秋に種まきをした場合は3~4月に定植をします。先ほどお話したチェーンポットを使っている場合はひっぱりくんというネギの定植に便利な専用機がありますので、1反以上植え換える場合は作業率がかなり変わってくるので定植機は必須です。
定植のポイントはできるだけ根を傷つけるなです。
ネギの定植の種類と方法
ホームセンターでネギ苗床を買ってきて育てる場合や育苗箱で育苗した場合は畑にネギを植え替えなくてはいけません。定植はネギの場合通常植え・斜め植え・深植えというものが有名です。簡単に説明すると
- 通常植え:20cmくらいの溝を掘り片側の壁に垂直にネギを立て掛けて土をかぶせていく
- 斜め植え:逆三角形の15cmくらいの溝を彫り30~45度の傾斜の壁にネギを横たわらせて置き土をかぶせていく
- 深植え:通常より倍近く深く溝を掘りネギを置き土をかぶせていく
斜め植えはネギが起き上がるように生長するストレスで甘く柔らかくなると言われています。またネギの栽培に必須な畑の水はけですが、水はけが悪くても土が浅い土地でもネギが育てられるメリットがあります。
深植えは後の土寄せを簡単にするというメリットがあります。ただネギを深く植えるため水はけの悪い畑だと水分方になるため水はけの良い畑でしかできません。ただ乾燥と高温に弱いネギを土に埋めるため乾燥被害を少なくすることができます。
斜め植えの場合の大きな定植の流れは
- クワなどでネギを植える溝を15cm位の深さでつくる
- 溝の太陽と逆側の壁にネギを株間3~5cmで並べる
- 3cmほど土をかぶせていく
といった流れになります。他の植え方も溝の深さが違うくらいです。ネギの定植のとてもわかり易い動画を見つけたので御覧ください。
サイドに土をかける場合はネギの生長点を土で覆わないように気をつけましょう。土をかぶせた後、藁やをかぶせます。藁は土より先に根本に置く方もいらっしゃいます。土の乾燥を防ぎ通気性や適度な水分を保ってくれる効果があります。
定植後から土寄せの時期
定植後は土寄せと追肥が必要となります。基本的に追肥は3~4週間毎に3~4回に分けて行います。土寄せをすることでネギの白い部分を伸ばしきれいな品質の良いネギに育てることができます。土寄せのポイントは
- 5cm位の厚さになるように両側から土をかける
- 葉の分かれ目には土がかからないように
- 1、2回目の土寄せ後に追肥をする
- 早く土寄せをやってしますと生育が抑えられるので生育後半で行う
となります。最後の土寄せは収穫の1ヶ月ほど前に行い追肥はしないようにしましょう。追肥を行うときは1平方メートルあたり50gほどとし与えすぎないように気をつけましょう。
秋蒔き春定植のネギは花を咲かせるためにねぎ坊主が伸びてくるのでネギ坊主を刈り取りましょう。ねぎ坊主ができると芯が硬くなり食べても美味しくないネギができてしまいます。
ちなみに家庭菜園でネギを作っていらっしゃる方にはびっくりかもしれませんがネギの土寄せだけのためのネギ管理機という機械もあったりもします。それほど畑の面積が多くなると土寄せは大変な作業になります。ネギ管理機はアタッチメントを付けることによって種まきの溝掘りや収穫などもできるようになるものもあります。
ネギの収穫
最後の土寄せから1ヶ月後に収穫します。ある程度太くなり白い部分が伸びてきたら収穫できます。根深ネギは寒さに当ててから収穫することで甘みが増します。
収穫方法は藁を入れた方の土からクワなどでネギを傷つけないように土を掘り起こし収穫します。葉ネギなどは60~70cmくらいの草丈になったら根ごと抜いたり根本から刈り取って収穫できます。
農家さんの収穫から出荷まで
農家さんによっては収穫をトラクターのアタッチメントの刈取機で収穫します。ある程度トラクターの馬力は必要となりますが、効率も上がり必須のアイテムになります。収穫した大量のネギをネギを運搬するときに便利なネギ巻きネットを使えば立て掛けながら運搬でき一度にたくさん運ぶことができます。
その後はコンプレッサーなどで使えるネギの皮むき器を使いネギの皮むきをして結束機で束ねて出荷されます。こちらの動画を見ていただくとわかりやすいと思います。
まとめ
ネギはどんな料理にも合って健康にも抜群にいい食べ物です。そんなネギの栽培に挑戦したい場合は
- 春蒔き
- 秋蒔き
の2つのシーズンのどちらかで育てましょう。種まきはそのまま畑に蒔いたり、育苗箱やプランターで一度育苗をすることもあります。初心者はプランターで育ててみましょう。プロの方や中小規模の農家さんは播種セットがありますので使うととても便利です。
発芽までは乾燥に気をつけて、発芽した後はそこまで気にしなくて大丈夫です。ある程度生長したら畑へ植え替えます。植え方は3種類ありますがよく聞くのは斜め植です。定植後は土寄せをしてネギの白い部分を育てましょう。ある程度太くなり白い部分が生長したら収穫時期です。
葉ネギはプランターでそのまま育てやすい野菜です。収穫の際は根元で切って収穫することでまた生えてきます。初心者でも葉ネギは育てやすいので初めて育てる場合は葉ネギからはじめてみましょう。