主に果実を育てている農家さんの敵、それは間違いなく鳥だとおもいます。地域や場所によってサルだったりハクビシンだったりもするかもしれませんが、地域に関係なくどこにもある程度の種類がいる、地上最多種類の脊椎動物といえば鳥ですよね。
鳥の被害にあっている方は農家さん限らず、趣味で園芸をされている方も多いと思います。カラスに鳩、スズメにヒヨドリなど彼らは空も飛べるのでなかなか対策が大変です。
かくいう管理人もオーストラリアで農業の仕事をしている時メロン農園ではインコに殺意すら覚えました。まぁあっちの方はショットガンを平気でぶっ放しますけど、日本ではそうは行きません。
今回は年間数多くの展示会で農業資材メーカーの方とお話する機会が多い管理人が防鳥網の効果や選び方についてお話していきたいと思います。
防鳥網って本当に効果あるの?あります!
まずは一言で言います。防鳥網は効果あります!
簡単に考えると鳥との間に網が張ってあるわけですから、普通に考えれば100%入ってこられません。ではなぜ網を張っていても作物を食べられたという話を聞くのでしょうか。考えられるのは下の要素です。
- 網目が大きくて小さい鳥だと入ってきてしまう
- 網の強度が弱すぎてクチバシで切られる
- 網の張り方が甘く隙間から入ってくる
- 年季が入っていて古くてすでに防鳥網として機能していないものを使っている
- 防鳥網でない例えば防虫網や防獣ネットを使っている
などの原因が考えられます。このどれかを間違っている人は効果が発揮されません。解説していきます。
網目が大きくて入ってきてしまう
防鳥網は対策したい鳥によって選ばなくてはいけません。これは農業用、建築用関係なしにです。当たり前のことですがカラスよけネットでスズメからの被害は守れません網目が大きすぎて入ってきてしまいます。
網の強度が弱すぎて破られる
これは先程の網目の大きさに関係してくることですが、「網目が小さいのを買っておけば大きいのも小さいのも入ってこれないだろう」と思って小さいのを買うと対小鳥用の対策強度しかないため大型の鳥だとクチバシで網を切ってしまうことがあります。
網の張り方が甘く隙間から入ってくる
防鳥網は上だけに張るかすっぽり農園ごと覆うかという付け方をします。その際にちゃんと説明書通りに張らないと隙間ができ、目ざとい鳥たちはその隙間から器用に入ってきてごちそうにありついてしまいます。
古い防鳥網を未だに使っている
防鳥網はとても良いものだと5年から10年持ちますが、基本は3年から5年、もしくはそれ以下しか持ちません。耐候性などがそれくらいだからです。古いものを使っているともちろんほころびができて鳥に侵入を許してしまいます。
防鳥網以外を使っている
これは考えると当たり前ですね。防虫網は虫用、防獣ネットは動物用です。もちろん全く効果がないわけではありません。ただ全てを防ごうとしてもそこまで完璧なものはありません。素直に対策したいものに合わせて選びましょう
とはいえ防鳥網を選ぶときは網やネット特有の言葉がいくつか出てきますよね、それを知らないと適切なものを選べないことがあります。今度は防鳥網の用語をご説明します。
防鳥網の用語と種類
防鳥網、鳥よけネットで調べるといろいろな単位や数字が出てくると思いますのでまずはそちらを簡単に説明していきます。
サイズ
もちろん縦x横のサイズとなります。ただ気をつけなくてはいけないのが防鳥網はピーンと弛まず張ることが当たり前となっています。実際に開けてすぐ目測では思ったより若干小さく感じることがありますが、サイズ通りに張ることができるので大丈夫です。ただ無理に引き伸ばして張るのはやめましょう。
坪数
サイズがあるのに坪数でもわかるようになっています。農地に張ることがあるので何坪用のほうがわかりやすいこともあるからだと思います。例えば18mx18mで100坪用となります。
デニール
簡単言うと網の強度です。決められた単位内にどれだけ原材料が詰まっているかという基準になり、数値が高いほど強度が高くなります。
目合い
目合いはネットにできる網目のサイズとなります。例えば目合い20mmであれば、20mm x 20mmの網目の集合体のネットとなります。もちろん細かいほど小さな鳥を防げます。
色
防鳥網や防獣ネットで調べると黒・オレンジ・青・白(透明)等があると思います。ただ白(透明)以外に関しては色自体にあまり意味はなく、それぞれのメーカーが強度、つまりデニールごとに色を変えています。黒>青>オレンジの順番が多いです。
白に関しては主に景観を気にする場合に使われます。黒や青などではやはり目立つため気にする方は白(透明)にしますが、ベランダなどで使う場合が多いです。
さて大まかな用語を覚えたら選び方を覚えましょう。
防鳥網の選び方
ここは正直難しいことはありません。冒頭からお話している通りにまずは対策したい鳥によって決めます。
鳥の種類で選ぶ
こちらは農業用と建築用で大差はありません。鳥の種類によってサイズは大体決まっています。軽く表にまとめると
目合い | 対応鳥の種類 |
20~30mm | カラス・サギ・ウミネコ・鳩 |
20~25mm | 鳩・ムクドリ・ヒヨドリ(30cmくらいの鳥) |
15mm | スズメ・セキレイ(15cmくらいの小鳥) |
スズメやセキレイの侵入を防ぐには20mm以下でないと機能しません。目合いを細かくするほど被害に遭いづらくなります。ただ上でも書いた通りデニールをきちんと見なくてはなりません。
デニールで選ぶ
たいてい防鳥網ですと400デニールから3000デニールくらいまであります。簡単に対策をするのであれば軽くて安い400デニールのものでも良いのですが、基本的に1000デニール以上のものを使いましょう。結構破られている方がおおいです。
また防鳥網で調べると普通の「防鳥網」と「強力防鳥網」の2種類を見かけるかと思います。「強力防鳥網」と謳っているものはどこのメーカーも大体普通の防鳥網と比べ糸の太さが2~3倍以上あります。そのためとても強度が高く耐候性にも優れています。普通のもので3~5年、耐候性があるものは5~10年持つものもあります。
素材と張る場所で選ぶ
防鳥網と言われるものはその名の通り網のように形がある程度融通がきく形です。大体PE素材か強化PE素材素材でできています。畑や田んぼに張るのに最適です。
防鳥ネットや鳥よけネットと言われるものはポリプロピレンでできているものが多いです。形がある程度決まっていて崩れないので、ハウスや畑のサイド張りやマンションのベランダ張りに適しています。
またステンレスのワイヤーで作られているものなどもあります。それは公共施設やマンションに張るのに適しています。
注意点と補足
以上紹介した3つの点から考えて防鳥網を選びましょう。ただ注意点があります。次に当てはまる場合は法律に引っかる場合があります。
- 透明のネットを使う
- 細く絡まりやすいネット目のものを使っている
これらの場合は鳥が絡まってしまう可能性が非常に高いです。防鳥網に色がついているのは鳥にネットがあることをわからせるためでもあるので透明の場合気づかず突っ込んでくることもあります。また細くてもすぐ足が絡まってしまいます。
そうなると鳥を捕獲したということになり鳥獣法に引っかかってしまうことも考えられます。また絡まった小鳥は大抵死んでしまうので処理も面倒ですよね。できるだけ太くて絡まりにくいネットを選ぶことが重要です。
防鳥網の張り方
農業用防鳥網は広範囲に張るため絡まないように注意が必要です。簡単な設置方法は以下のようになります。
- まずはネットを張る場所を草刈りなどをしキレイに平らにします。そうすることで隙間から鳥が入りづらくもなります。
- メーカーによって違いますがまずは張る場所にネットを転がし張る位置をネットが伸びることを想定して決めて杭をしっかり打ちます。この時縦横を間違えることが多いのでよく説明書を読みましょう。
- 上に貼る場合は耳糸部分に張り糸を通して張り糸の両端を支柱にしっかり結びます。かぶせるタイプは設置しやすい方に網を伸ばしながら棚にかぶせていきます。(棚を使わない場合は木にそのまま)
- 上に張るタイプは耳糸の結束を外して張り糸にそって網目がひし形になるようにピーンと弛ませず張りきります。かぶせるタイプは一通りかぶせたら網と棚をロープで固定します。
東京戸張さんの防鳥網は動画で貼っているものがありましたので、載せておきます。これは上にだけ張るタイプになります。
簡易的な防鳥網ですが、かぶせるタイプはこちらが参考になるかと思います。
まとめ
今回のまとめです。
防鳥網は鳥の種類で目合いを選び、1000デニール以上のものをなるべく使いましょう。またその際は糸の太さが太く絡まりにくい物を選ぶことで小鳥が絡まって死んでしまうことを回避できます。
張り方は上に張るタイプはピーンと網目がひし形になるくらい張ります。かぶせるタイプは張る場所の草などを刈ることで地面との隙間から入ってくるのを防ぐことができます。
基本的に網を張れば鳥は侵入できません。鳥に入られた場合は最初に述べたような問題点があるはずですので探し出して改善しましょう。
今回は主に農業で使う防鳥網に充填を当てましたが、建築やマンションで使う防鳥網も記事にしていけたらと思います。
防獣対策のアニマルフェンスはこちら↓