昨今問題になることが多い豚コレラ。豚コレラも豚インフルエンザもできれば豚舎のオーナーさんからするとどうにしかして食い止めなくてはいけない病気です。
ただ豚コレラ、豚インフルエンザという言い方をしますが実は豚だけの病気ではありません。農業従事者や畜産業を営む人には憎き敵のイノシシから感染することもあります。
現在豚舎の周りにはフェンスで囲むことが法律で決まっています。ただフェンスといってもただのフェンスではダメです。
今回はアニマルフェンスの特にイノシシに焦点を当てて、彼らの性質などを知ることで効果的な豚コレラ対策の動物侵入防止フェンスの選び方をご説明します。害獣対策の方法やおすすめグッツなどはこちらで紹介しています。
⇒イノシシや鹿などの害獣対策!ニオイやフェンスなど効果があるものとは?おすすめ防獣グッツ
年間多くの農業系の展示会に赴きおおくのメーカーの営業さんとお話する機会が多い管理人が実際聞いた話や自身が働く資材屋での売れ筋などを考慮してお話いたします。
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豚コレラとは
ここで豚コレラについて軽く触れておきましょう。
豚コレラは豚とイノシシがかかる病気です。CSF(豚熱)ともいい高い伝染力と致死率が特徴です。治療法は現在のところありません。
ですが、人間には感染しません。
また市場に豚コレラにかかった豚の肉が並ぶこともありませんが、万が一人間が食べたとしても人体に影響はありません。
ただ豚舎で働く方にとっては大問題。致死率が高いため多くの豚が死んでしまい食肉も出荷するわけにもいかず大ダメージを受けます。
そのことからしっかりと豚コレラの対策をしなければなりませんが、内部もそうですが、野生のイノシシから伝染る可能性もあるため外部からのイノシシの侵入も防ぐ必要があります。
イノシシの生態と習性について
できるだけ、農業関係の方や豚舎関係の方に関係のある部分をできるだけ抜粋して説明すると
- 基本的には昼行性だが人間と生活圏が重なる場合は夜行性になる
- 非常に神経質で警戒心が強いので人間を避ける
- 目がとても悪く、嗅覚は鋭い
- 70kgの成獣が助走なしで1.2mくらいの柵を飛び越えることがある
- 鼻先の力が強く重いものを持ち上げる力があり60kgの物を動かせる
- 体についた寄生虫を落とすため泥浴びをする
これらがよく注意しなくてはならない点となります。
少しご説明させていただくと、警戒心が強いため人間が住む圏内にはやはり夕方から夜など人気がなくなりはじめてから現れます。基本的には人間を怖がっているので自ら姿を表したりしません。
イノシシ対策に必要なフェンスの高さは?
よくフェンスなどが高くないとイノシシが飛び越えてしまうと言われていますが、もちろん超脚力はかなりあります。ただ基本的にイノシシはジャンプしません。フェンスの隙間を鼻で持ち上げて侵入します。下の動画の冒頭にその様子が写っています。
想像してみてください。人気がなくなった夜、目が恐ろしく悪いイノシシが暗い中高さもよくわからず、超えた先に着地点があるかないかわからないのにジャンプして飛び越えるでしょうか。鼻で持ち上げて入ったほうが安全で簡単です。
つまりイノシシ対策としてはフェンスは90cmもあれば十分です。同じくシカなどにも同じことが言えます。明るい中で相当安心がないと動物はジャンプして飛び越えません。(もちろん一目散に逃げなくてはいけない状況は話が別です。)
そして稲作関係者にも迷惑を掛ける習性が泥浴び。田んぼは最高の泥浴びスポットで稲を踏み潰して浴びて浴びて浴びつくします。
そしてイノシシから受ける被害を上げると
- 豚コレラや豚インフルエンザの媒体となる
- 農作物を食い荒らす
といったものとなります。あくまで豚舎と農業に限ったことですが。ここから考えられるイノシシの対策とは・・・
イノシシ対策って何をすればいいの?注意点とは
上のイノシシの習性と被害を考えるとイノシシの対策としていくつかあげられます。
- 農作地の周りの草などをよく刈っておきイノシシが隠れられる場所をなくす
- 電気柵や防獣フェンスを張る
- 餌になるものを農作地周辺においておかない(ゴミなど)
- 最イノシシの嫌いなニオイや音で遠ざける(そのうち慣れます)
イノシシは上でもお話した通り非常に警戒心が強い動物です。農作地や田んぼなどの草をよく刈っておくことで、隠れられる場所がなく近くに寄りづらくなります。
電気柵や防獣フェンスも重要ですが、ここで注意点があります。イノシシの体の中で唯一電気が通る場所があるとすれば鼻先です。これ以外のところは体毛が邪魔をして電気が通りません。
またフェンスも地面とフェンスの間に少しでも隙間があると鼻で簡単に折り曲げ侵入します。網目が大きいとうり坊(イノシシの子供)だけでも侵入します。
鼻がとてもいいのでゴミなどに生ゴミがある場合姿を表すことがあります。雑食なので何でも食べるためおびき寄せてしまいます。ただ嗅覚が鋭いためニオイで遠ざけることもできますが、動物ですのでそのうち慣れて効かなくなります。
また非常によく売れているイノシシ対策グッツがこの大樹トレーディングさんの「イノシシびっくり」です。低周波の音を出しイノシシを近づかなくさせるアイテムです。低周波といいつつ中々の音なので近隣に家がある場合は使いづらいのが難点ではありますが、効果があると人気で飛ぶように売れています。
ぶら下げて使うのに三脚などの用意が必要ですが、イノシシびっくり用の三脚もあるので一緒に買っておくのがベストですね。
半径30~40mに効果があるようでツキノワグマなどにも効果があるようです。アルカリ乾電池で2ヶ月ほど使えるので経済面も安心です。慣れるまでにイノシシがでなくなったとのレビューもあって効果が期待できるアイテムです。
でもなにより対策になるのがやはりアニマルフェンスです。大掛かりにはなりますがおすすめのものを上げるとすると・・・
追記:こちらのイノシシびっくりは廃盤予定でメーカーではすでに完売とのことです。こちらに代わるものを開発中とのことですが、現状おなじように使える「けものおどし」を使っていただきたいとのことです。こちらも効果的に三脚に吊るす形で使えます。鹿・イノシシ・カモシカ・カラス・クマにに有効です。
おすすめのイノシシ対策アイテム
イノシシ対策の注意点を読んでいただいた上でおすすめのイノシシ対策アイテムは
電気柵補助アイテム「マイナスシート」
イノシシ対策に電気柵を張ってさらにその電気柵で雑草があたり漏電しないように草刈りをすると思います。イノシシが隠れるスペースもなくせるのでフェンスや電気柵の周りの草刈りは非常に重要ですが、そこに防草シートを引くことで更に効果を高められます。
しかもその防草シートは普通の防草シートではありません。電線が組み込まれていて電気柵の効果をアップさせます。防草シートで有名な白崎コーポレーションというところと電気柵で有名な末松電子製作所さんがタッグを組んだ最強の電気柵補助アイテムとなります。
施工はマイナスシートの真ん中に別売りの電気柵を立てて、シート自体がアースともなっているのでアースが取りにくい場所でも施工できます。
電気ネットとセットで売っているのでそちらを購入すると手っ取り早く施工できます。これだけで施工ができるようセット化されています。
内容:電気柵用本機x1、電気柵ネット、支柱、防草シート押えピン、マイナスシート、通電テープ、パッカー
イノシシ用防獣フェンス
今度は丈夫でタフなフェンスといえば日亜鋼業さんといわれるくらいフェンスで有名なメーカーが作り出した防獣用フェンスのイノシシ用です。
以前ご紹介したシンセイさんのアニマルフェンスのように簡単に下の方を持ち上げられ侵入されてしまうことが多いのが安い防獣フェンスの特徴ですが、こちらはしっかりと下の地面もフェンスでガードします。
上の写真の物は既存で立ててあるフェンスに後付でつけられるイノシシ対策用プロテクトフェンスですが、日亜鋼業さんのフェンスは元々下が折り曲げられるようになっていて下からの侵入をしっかりガードします。
実際に日亜鋼業さんともお話をしたことがありますが、イノシシの習性をよく理解しておりテストも重ねて今回防獣フェンスを開発したそうです。すべて国産で簡単にフェンスがダメになることもなく、しっかりと亜鉛メッキ処理をしてあるため長期間持つのも特徴です。
イノシシがジャンプすることがあまりないという習性から90cm用の簡単に施工できる小規模農園用のものから、しっかりと対策する120cmのタフクロスという頑丈なフェンスと種類があります。
また上でも説明した既存のフェンスにイノシシ対策できるアンダープロテクトフェンスがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。地域などにもよりますが獣害の一番の原因はやはりイノシシのようです。病原菌を持ち込み、農作物を食い荒らし邪魔者のイノシシ。
江戸時代に人間が狩り尽くしてしまったニホンオオカミのような天敵がいなくなった今増えてきて被害もましてきています。また生息地が人間の生活圏とかぶってきているのも事実。うまく共存できればいいですが、できるだけ遠ざけるのが今は有効な手段です。
今回はイノシシ専用でお話をさせていただきましたが、他にも鳥害や獣害についておすすめのものがありましたらピックアップしていきたいと思います。