前回ぶどうを筆頭に様々な果樹栽培で使われて初めている根域制限栽培とルートラップポットについてお話しました。果樹の根の広がりを制限することで限られたスペース内での果樹栽培を可能にするルートラップポットを使った根域制限栽培は様々なメリットがありました。
⇒不織布ポットのルートラップポットをつかった根域制限栽培のメリットとデメリット!ポットの選び方
ただ根域制限栽培をするのであればイコールでルートラップポットという不織布ポットを使うわけではありません。その他にもエアーポットやエアープルーニングポット、ルートプラスポット、そしてコンテナ栽培などが調べると出てくるかと思います。
今回はそれらについて詳しくルートラップポットでの栽培と何が違うのか比較しながらお話していきたいと思います。
年間数多くの農業資材の展示会に参加する管理人が様々な農業資材メーカーの方をお話し聞いたお話や自身が働く資材屋で経験などを踏まえてお話していきます。
根域制限栽培とは?軽くおさらい
根域制限栽培とはまたの名を根圏制御栽培ともいい、名前の通り木の根の生長を制限するという栽培方法です。
木の根を制限する方法としては
の3つに分けることができます。今回お話するコンテナやルートプラスポットを使った栽培も前回お話したルートラップポットを使った栽培も一番上のボックス栽培にあたります。
根を制限することでどんなメリットが有るのかというと、前回の記事で詳しくお話したので簡単に説明しますが
- ベランダなどの省スペースで栽培可能
- 通常栽培より早く良質な実がなりやすい
- 土地によるもともとの土の影響を受けない
となります。根が広がらないということは生長が抑えられ木自体も大きくなりづらくなります。そのため小さなスペースでも果樹を育てることができます。またポット内で育てるためもともとの水はけや土の良さは関係ありません。そして水はけと空気の出入りがよくなるため根が健康に育ちやすく良質な実が早く収穫できるようになります。ぶどうが2年目から収穫できたり、ブルーベリーの収穫量が2倍になったという話もあるほどです。
デメリットはやはり根を制限することで樹自体の寿命が短くなるという面です。
ボックス栽培で使われるポット
根域制限栽培の中で一番行われているのがボックス栽培となりますが、ボックス栽培で使われるポットで有名なものは
- ルートラップポット
- ルートプラスポット
- コンテナ
の3つがあります。
ルートラップポットとルートプラスポットは名前が似ていますが全然違うものです。簡単に説明するとルートラップポットは不織布ポット、ルートプラスポットは側面に穴が空いたプラスチックのポット、そしてコンテナとは農業などで果樹や作物の収穫の際に収穫した作物を入れておくプラスチック製の箱となります。
ルートラップポットについては前回の記事で詳しく説明してますので今回はルートプラスポットとコンテナ栽培について詳しくお話していきます。
生まれは海外!空気選定ができるルートプラスポット
日本ではルートラップポットと呼ばれていますが、20年くらい前からオーストラリアでは確認されていたポットのようです。イギリスではエアーポットと呼ばれており、他にもエアープルーニングポットなどとも呼ばれています。
日本ではパイプ車庫などが有名な南栄工業さんが取り扱っておりルートプラスポットというのも南栄工業での呼び方となります。トゲトゲした見た目がとても印象的なルートプラスポットですが簡単に特徴をまとめると
説明していきます。
ルートプラスポットで一番印象的なトゲトゲ。その棘には一つ一つ穴が空いておりその穴から不要な水が排水され、更には土に空気が入りやすくなります。そのためルートラップポットと同じように根が丈夫に健康に育ちやすくなります。
ルートプラスポットは組み立てるポットとなっており、円形の底面に側面板を巻き付けてピンで止めて簡単に組み立てができます。そのため使わない際も収納しやすく、苗木の植え替えの際もピンを外せば容易に植え替えもできます。
作りもUV加工がしてあり耐用年数10年となりますが、実際に話を聞くとそれ以上もつのではというお話もあります。
日本では南栄工業さんが取り扱いをしているとお話しましたが、中国製の安いものも出回っておりそちらは作りが違っておりこれからお話する空気剪定がうまくできなく耐用年数も少ない粗悪品が多いようですのでご注意ください。
空気剪定(=エアープルーニング)とは
ルートプラスポットを調べると空気剪定という言葉がよく出てきます。ルートプラスポットはエアープルーニングポットともいわれておりエアープルーニングとは空気剪定のこと。空気剪定とは
トゲトゲの穴から出てきた根が空気に触れ自動的に剪定される
ことを指します。ちなみに木というのは太い根が一本あるより細分化した根が張り巡っている方がいい状態とされておりそれを踏まえてお話すると、
トゲトゲした形状は根がポットの側面に沿ってルーピング(太い根が一本ポットに沿って鉢中を貼り巡っている状態)するのを防ぐだけではなく、穴から出た根を剪定し根に枯れ多分新しい根を生やさなくてはという信号を送らせて細分化した上部で健康な細根を生やさせて木自体を健康に丈夫にしていきます。
ルートプラスポットはブルーベリー・いちじく・アボガド栽培によく使われておりいちじくなどではネコブセンチュウの被害を予防できるとして注目を浴びています。
コンテナがポットに?コンテナ栽培とは
コンテナ栽培とは収穫などに使うプラスチック製の箱を使った栽培方法となります。果樹だけでなく家庭菜園で野菜などにも使われている方法です。
一般的にはコンテナに不織布シートを底・側面にしいてルートラップのように使うという使い方です。ですのでルートラップポットを使うのと何ら代わりはありません。他にも堆肥を買ってきてその袋を開けてそのまま苗を突っ込んで育てる方法や普通の鉢で育てるのもある意味コンテナ栽培となったりと意味合いが広く使われます。
ブルーベリー・ラズベリー・ブラックベリーなどのベリー系やみかん・ゆず・レモンなどの柑橘系、いちじく、梅、オリーブ、アケビなどがコンテナ栽培に向いていますが、ブドウ農園さんもコンテナ栽培でブドウを育てているので管理をしっかりと出来れば様々な果樹に使える栽培方法といえます。
まとめ
今回は根域制限栽培という栽培方法でつかうポットであるルートプラスポットとコンテナ栽培についてお話しました。
根域制限栽培は省スペースで果樹を育てることができ、さらには収穫も早くできるという画期的な栽培方法です。根域制限栽培には3タイプありますがその中でも良く行われているボックス栽培では
- ルートラップポット
- ルートプラスポット
- コンテナ
の3つのタイプのポットが使われます。その中でもエアープルーニングポットともいわれるルートプラスポットは海外でもよく使われているポットで空気剪定という自動で根を剪定し丈夫に育ててくれるという画期的なポットです。
コンテナ栽培は大きく言うと鉢植え栽培もコンテナ栽培にあたりますが、ブドウ農園などで行われている方法はプラスチック製のボックスに不織布シートを敷き詰めそこに土を敷いて果樹を育てる栽培方法です。これによりルートラップポットを使うのとほぼ同じ栽培が可能です。