きのこの栽培と一口で言っても、御存知の通りきのこには幾つもの種類があります。きのこの栽培についての基本的な栽培方法や栽培での人気のきのこ・しいたけの栽培方法にフォーカスした記事は以前書かせていただきました。
⇒きのこ栽培方法と種類の基礎知識!失敗しない選び方と儲かるといわれている理由を解説
⇒しいたけの栽培方法とコツ!初心者でも上手に育てるポイントとは?【きのこ栽培】
今回はしいたけについで人気ななめこの栽培についてお話していきたいと思います。他にも舞茸やひらたけなど人気のきのこはありますがまだまだ情報が少ないため次回書かせていただきたいと思います。
ちなみに余談になりますが、なめこ栽培で調べると人気のスマホアプリゲームの「なめこ栽培キット」が出てきますがそちらはこの記事には関係ありません。ただなめこを育てる前にやってみてもいいかも。
年間数多くの農業資材メーカーとお話する機会の多い管理人がある展示会できのこの菌を販売するメーカーの方とお話したことで書こうと思った記事です。そのお話で聞いた情報や自身が働く資材屋での人気や経験からお話していきます。
なめこの特徴と栽培
上でも説明したようになめこは腐生菌で広葉樹や間伐材などからも育てることができるきのこになります。特徴をまとめると
- 天然物のほうがぬめりが強い
- 湿った場所を特に好む
- 菌回りも収穫も早め
となります。なめこも原木栽培が基本となりますが栽培キットなどは菌床栽培のキットとあります。基本はしいたけと同じく植菌して2~3年位で収穫できますが、菌を植える原木を短くし菌を回りやすくする短木栽培と呼ばれるものがあり、春に植菌して秋に収穫ができます。
原木栽培の場合なめこに適した原木はカエデ・クルミ・サクラ(山桜・ソメイヨシノ)・シデ・トチノキ・ブナが最適な原木になります。ただ他にもスギやヒノキ・カラマツ・モミ・ヤナギなども適しています。
初心者は栽培キットで育てましょう。温度も15~25℃くらいが適正なのですが、夜は10℃以下くらいになる温度差が大きい方がなめこが発生をしやすくなります。なので秋から春にかけてからが育てやすくなります。大体3~8週間くらいで芽が出て(発生)きます。
なめこの原木栽培の流れとコツ
なめこの原木栽培の大まか流れは
- 原木作りの木の伐採と玉切り
- 植菌
- 仮伏せ
- 本伏せ
- 発生
- 収穫
というものになります。
なめこの原木栽培には通常の栽培と短木栽培という方法があります。単純に原木栽培より短い木をホダ木にする短木栽培には
短木栽培のメリット
- 菌の回りがはやい
- 春に植菌して秋には収穫できる
というメリットがありますが、反面通常ホダ木は5~6年使えますが、短木栽培は2~3年しか収穫できず、さらに短い分なめこの天敵である乾燥し易く・それでいて水分を吸いすぎると逆に水分が飛びにくいというデメリットもあります。
原木選びと伐採
原木の伐採時期は11月頃の紅葉が始まったあたりに伐採をして1ヶ月以上干します。常緑広葉樹は晩秋から春の彼岸までに伐採し同じく1ヶ月以上干します。
玉切りと短木栽培
通常はしいたけを同じく90cm間隔に玉切りをしていきますが、短木栽培の場合は30cm間隔で玉切りをし、さらにその30cmのものを半分に切断します。その短木栽培のために2つに切った短木のセットは植菌の際サンドイッチのように菌を挟むようにするので上下セットでわかるようにしておきましょう。
植菌
玉切りをしてすぐに植菌をします。通常の原木の場合はしいたけと同じような間隔で植菌をしていきます。
植菌はしいたけの記事でもお話させていただいた種駒・形成駒・オガ菌から使いやすいものを選びましょう。ちなみに短木栽培の場合もおなじくそれらの種菌を使います。
短木栽培でオガ菌を使う場合はまず種菌を作ります。用意するものは
- オガ菌
- おが屑
- 米ぬか
- 水
こちらを1:2:1:2または1:3:1:3の割合で用意して混ぜ合わせます。短木面積が0.5坪の場合オガ菌1000cc・おが屑4L・米ぬか2L・水4L(日本農林種菌さんのなめこオガ菌の場合)を用意して手で握りしめたときに指の間から水が出てくる程度の水分量にします。
そのあと2つに切った短木栽培用の原木の切った面の片方に5mmほどの厚さになるよう擦り付けてからサンドイッチのようにもう片方を重ねます。その後ガムテームで雑菌が入らないようにし更に上下左右で麻紐などで固定すると安定して扱いやすくなります。
種駒の場合の短木栽培は木口の片方に直径の半数の数つまり直径20cmであれば10個の種駒を植菌し、側面は直径の数、つまり20cmであれば20個植菌しましょう。
仮伏せ
仮伏せは原木を薪積みししいたけと同じく高さを50cmくらいまでにします。その後寒冷紗などをかけて仮伏せをします。そのとき仮伏せをする場所は朝霧などが出やすい湿り気があり、直射日光の当たらない場所を選びましょう。
保湿に十分注意して3週間ほどは散水を続け、晴天が1週間以上続く日も散水をして湿り気を保つようにしましょう。7月頃木口に白い菌糸が出てきているようであれば菌が回っているということになります。
短木栽培の場合は種駒菌を使った場合植菌面を上にして重ね、一番上の原木は逆さまに重ねます。仮伏せ中に短木栽培の原木は動かさないようにしましょう。
本伏せ
通常本伏せは4下旬~5月上旬に行います。湿地の場合はそのまま地面に横にする接地伏せや横にして片方の木口だけを丸太を挟んで置くまくら伏せにし、やや湿地の場合は原木の反面を土に埋め込む方法を取ります。埋め込み法が一番一般的な本伏せとして行われています。
その後7,8月には上下をひっくり返しましょう。
短木栽培の場合はオガ菌を使った場合は7月頃に本伏せに入り、種駒の場合は9月ころに本伏せに入ります。菌を植えた部分の面を上にして1つずつ9分目まで土にウメましょう。その上を寒冷紗などで覆います。
発生
通常栽培だと1年後の秋から発生をし始めます。8月後半くらいから覆っていたシートを剥がし散水をたまにします。ナタなどで原木を傷つけると発生が促されます。
短木栽培は本伏せの状態のまま発生を待ちます。あるに仕込んで大体秋には発生が起き収穫できます。ただ上でもお話した通りホダ木としての寿命は2~3年ほどです。
まとめ
今回はしいたけに並んで栽培の人気があるなめこの栽培方法について書きました。
なめこは通常の原木栽培と短木栽培という方法があり短木栽培は菌の回りが早くなり収穫も早くできるというメリットが有りました。その分ほだ木としての寿命は短くなります。
短木栽培は11~12月に原木を伐採し玉切りを行い、4~5月には仮伏せに入り、7~8月には本伏せに入り10月頃には発生し収穫が可能です。ホダ木が短くなるため雑菌の入りも少ないというメリットもあり温度湿度に気を配るのがコツとなります。
しいたけの栽培方法についてはこちら