6月や9月は雨や台風の季節です。もちろんそれ以外にも強風や台風はやってきますが、野菜や果物を育てている人にとっては大事な作物が風で落ちてしまわないか気が気ではありません。
そんな作物を強風から守る対策としてはビニールハウス内で作物を育てる他に防風ネットというものがあります。その名の通り風をある程度弱めてくれるもので、他にも防塵や防雪、防砂などに目合によっては使えるものがあります。
今回はそんな防風ネットについて基本となる選び方から張り方、張るときに使う支柱などの必要な道具などをお話していきます。
年間数多くの農業資材、建築資材のメーカーさんとお話する機会の多い管理人が、いろいろ聞いた話や自身が働く資材屋での経験や人気を踏まえてお話します。
防風ネットの選び方
まずは防風ネットの選び方について説明してきます。基本的に必要なサイズはそれぞれ違うわけですので、以下の点で悩まれる方が多いと思います。
ではそれぞれ説明してきます。防砂や防雪などにつかえる防風ネットですが、今回は防風ネットとして使う場合で農家さんの選び方となります。
目合による効果
防風ネットの目合ですが、なにか理由があるわけでない限り4mmを選びましょう。基本的に特に農業で使う場合はほぼ4mmが選ばれます。
単純な計算だと防風ネットの目合による風の防風率は
となるようです。じゃあ1mmのほうが良い気がするかもしれませんが、強風状態でほぼ風を通さない場合直に風を受けすぐに支柱ごと倒れてしまう可能性が高くなります。また風通しが悪くなると枠内の空気がこもってしまうという悪影響もあります。
そして農業で使う場合は目合による遮光率も考えなくてはいけません。遮光率は
くらいだと言われています。太陽光を必要以上に遮ってしまうのは作物にとって良くありません。また寒冷紗にも防風にも使えるというのも間違いで、防風ネットは塀の様に建てるので寒冷紗などとちがい直に作物を守るわけではなく遮光も太陽の高さや向きで日によってムラができます。
色による違い
次は色です。防風ネットを調べるとベーシックな青から他には緑、白、黒などの色がでてきます。基本的には青を選んでおけば大丈夫です。
ただ緑は虫を引き寄せやすいようです。特に太陽に照らされるとハチ、ハエ、チョウ、コガネムシ、テントウムシなどがどんどん集まってくるという情報もあります。ただ景観を崩さないという点で緑は使われている方もいらっしゃいます。
黒は汚れが目立ちにくく目合によっては若干遮光率も高くなります。白は目立ちにくく景観を損ないにくいという点が特徴としてあげられます。
編み方
ネットには有結節、無結節、ラッセルという編み方がありますが、基本的に防風ネットといえばラッセル編となっています。
ラッセル編みとはネット全体がレース状に編まれていて目ずれ・ほつれが起きにくく、さらに軽いため農業系のネットにはよく使われている編み方となります。
防風ネットの張るときに準備するもの
まずは防風ネットを畑に張るにあたって準備しなくてはいけないものがあります。それは
- 防風ネット
- 支柱
- クランプ
- その他補助道具
一つ一つ説明してきます。
防風ネット
選び方の基準としては上を見ていただければ大丈夫です。あとはサイズを良く見て必要な物を選びましょう。できれば足りなくなったり、カットしたり、破れてしまったりということがあるので少し余分に買っておくのがおすすめです。
有名な農業メーカーさんのよく選ばれている防風ネットをご紹介します。
防風ネット用支柱
正直防風ネット用の支柱というものはありません。基本的には木の杭や単管パイプなどを使って防風ネットを建てる方が多いです。直径は6~8cmくらいの太さがあるのが丈夫で好ましいのですが、よほどの強風でない限りホームセンターでも買える48.6の単管パイプが良いと思います。
なぜなら48.6の単管パイプは汎用性が高くクランプなど建てるときの資材も沢山あり探しやすいのが利点となるからです。
クランプやその他補助道具
クランプは単管パイプの使い方にもよりますが、
- 直交クランプ(パイプとパイプを垂直に交差させてつけるクランプ)
- 自在クランプ(パイプとパイプをある程度角度を自在に選んでつけれるクランプ。首振りとも言う)
- 平行クランプ(パイプとパイプを平行に並べて固定するクランプ)
- ジョイント(パイプとパイプを繋げる際に入れるものボンジョイントともいう)
などがあります。直行は一番上や地面スレスレに補強でパイプを這わせて支柱パイプとつなげるときに使い、自在は筋交いとしてのパイプや支柱パイプから補強として斜めに地面にさすパイプを繋げる場合に使います。また平行は直線ジョイントでパイプとパイプを繋げて長くした場合に、ジョイント部に平行にパイプを付けて補強するときに使います。
他にも棚線でネットをつるのであればネットクランプやネットクリップが必要となります。ドブメッキなど雨で錆びにくいものも有効ですよ。
防風ネットの張り方
防風ネットの張り方はフェンスや他のネットと全く同じです。ただ強風対策なわけですので補強だけはしっかりと行いましょう。
- 支柱を建てる
- ネットを張っていく
- 完成
細かくいい動画を見つけたので説明してきます。
支柱を建てる
まずは支柱を立てます。ここがかなり重要です。ただ穴を開けて支柱を20~25%くらいを地面に埋めて建てるという方法もありますが、基本は地面に基礎を作って支柱を立てます。
幅は3m幅くらいずつ建てていきます。支柱4mの場合は80cmほどを地面に入れ、コンクリートでしっかりと基礎を作ります。補強用の斜めに支えるパイプのその様にできればしましょう。また場合によっては支柱と支柱の間に筋交いも入れましょう。
こちらの動画がとても役に立ちました。
注意点なのですが、ボンジョイントを使って支柱をつなげた場合そのジョイント部は非常に弱くなります。ボンジョイントは仮設足場を組む際は使ってはいけないことになっているほど強度には問題があるのでジョイントを使って伸ばした部分は平行に単管を添わせてクランプでつなげるなどして補強しましょう。
ネットを張っていく
次はネットクリップなどを使い支柱にネットを固定していきます。支柱に張ったワイヤーにネットクリップをつかってネットを垂らし、支柱にも支柱クリップを使ってしっかりと固定していきます。
面白いことにビニールハウスにつかうパイプを支柱として建て被覆スプリングでネットを固定するという方法を取っている方もいました。
とてもいいアイデアだと思ったので動画を貼っておきます。
以上で完了となります。冒頭でも述べましたが補強だけは本当に大切ですので強風の次の日や強風が来るとわかっている前にはしっかりと補強を見直しましょう。
防風・防砂・防雪・防虫・防雹ネットの違い
基本的にこれらの違いは目合となります。かんたんに説明すると
1mmは防風・防砂・防雹・防虫ネットとして使われます。ただ目が小さいため風の影響を受けすぎるので農業用には向きません。砂や雹などを防ぐためや丈夫なものはアーチェリーや弓道など風による影響が出る競技などの防風ネットとして使われます。防虫ネットしては虫によっては大きい目になるので虫の種類によっては使えます。
0.5~2mmだと防雪ネットとして建物内に雪や風が入ってくるのを防ぐネットとして使われますが、メッシュ素材や強力なネットが多く農業用の防風ネットよりさらに強度が高いものです。支柱などで張るタイプでなく工場の入口などしっかりと建てられているものに付けるタイプのものが基本です。
4mm~9mmくらいまでは防風・防雹・防鳥・防獣ネットとしても使われます。防獣や防鳥は対策したい害獣によってはもっと目合が大きくなります。詳しくはこちらの記事へ
まとめ
今回は主に農業用の防風ネットについてと張り方についてお話しました。
農業用の防風ネットはとにかく支柱の建て方と張り方で効果が変わってきます。しっかりと強風に耐えられる丈夫な補強をしましょう。基本的には太い木の杭で支柱を建てるのが理想ですが、補強やネットを張ることを考えると単管パイプが補強アイテムも揃っていて使いやすくあります。
防風ネットは1に補強、2に補強、3に補強だと覚えてください。