Youtubeに紹介されたことによって「イネニカ」という肥料に話題が集まっています。前回こちらのブログでも書かせていただいた「カルス」と同様にこちらも人気が急上昇しています。
今回はイネニカについて今更聞きづらい
という質問の解答を調べていきます。
農業資材を扱うホームセンターのような資材屋で働く一方、年間数多くの資材メーカーさんとお会いしたり、お話する機会の多い管理人が「イネニカ」について調べていきます。実際にお客さんからの声やメーカーさんが持っている裏話などなど資材屋ならではの目線でお話していきます。
軽くおさらい、イネニカって何?
イネニカは「ケイ酸カルシウム水和物」というもので簡単に言うと
ケイ酸とカルシウムの肥料
ということになります。
少しだけ詳しくお話すると、
- 可溶性ケイ酸
- アルカリ分
という保証成分で作られている肥料で、含まれている含有成分値は
- 全ケイ酸 55%
- カルシウム 25%
- 鉄 1.5%
- マグネシウム 0.3%
となります。ちなみに肥料の保証成分と含有成分の違いは、保証成分が生産業者などが保証する主成分の最小量であるのに対し、含有成分は肥料に含まれる成分全般を指すことです
どんな効果があるか
イネニカの効果は
などが挙げられます。これらはすべてケイ酸による効果となっています。詳しく説明していきます。
ケイ酸が不足すると、植物は光合成機能が低下します。それにより作物が丈夫になりにくく病害や害虫、そして環境の変化に弱くなります。実はケイ酸は化学肥料をたくさん使うことでの土壌微生物の減少、窒素のあげすぎ、稲などは1回の生育で使いすぎで不足になりケイ酸不足はよく起こり得ます。
それをケイ酸を与えることで、茎や葉が強くなり、病気や虫にも強くなり、日光を吸収できる(受光体勢)ように広がりやすくなり、根にも影響し根張りも良くなるというわけです。結果無効分けつ(穂が実らない稲)が減ります。
イネニカという名前から水稲に使うものと勘違いされがちですが、もちろん野菜にも使えます。後ほど詳しくお話しますが、「野菜用カルシロン」という名前で売られていることもあるくらいです。長ネギ(白ネギ)、ブロッコリー、ショウガ、スイカだけではなくその他野菜や果樹、キクやビオラなどの花の育成にも使われています。
使い方は?
水稲の土壌改良に使う場合は、秋の荒起しの際に使うことが推奨されており
10Rあたり60~120kgをよく混ぜ込む
ように使用します。追肥で使う場合は春起こしの際に使うことが勧められています。また畑で使う場合は
耕す前に10Rあたり80~160kg
を蒔きよく混合するように耕して使います。
またセルトレイなど使ったキャベツやネギなどの育苗には種を蒔いたあと
覆土として使用
します。イネニカを紹介していた塚田農園さんは20kgで70アール分の種に覆土として使用していました。
イネニカとケイカルの違い
ここまで聞くと、
えっ、それってケイカルでは?
と思うと思います。確かに成分だけみると完全にケイカルですね。それではまず成分を見ていきましょう。
ケイ酸保有率% | カルシウム保有率% | 苦土保有率% | |
ケイカル A社 | 30 | 46 | 5 |
ケイカル B社 | 30 | 47 | 4 |
イネニカ | 17 | 17 | ? |
となっています。圧倒的にイネニカのケイ酸とカルシウムの保証保有率は少なくなっています。ただイネニカは水に溶けやすい構造でできた物質となっているため、ケイカルとして使われている肥料の半分程の量で同じ効果が得られます。
ちなみに水に溶けやすい構造というのは、一粒一粒がサンゴのようにゴツゴツとクレーターのような穴が空いている多孔質という作りになっているためです。
どこに売っているの?イネニカがホームセンターに中々売っていない理由
イネニカをいざ探そうとしてもコメリやカインズのようなホームセンターには中々売っていないことが多いです。その理由は
商流が決まっているから
です。
農業資材にはよくある話ですが、この「イネニカ」という製品は各都道府県ごとに代理店がすでに決まっており、そことつながっている小売店でないと手に入らないのです。それだけではなく地域によってもイネニカを卸せるところと卸せないところなどがあり、余計に誰でもどこでも手に入る者ではありません。
ですが実はこの「イネニカ」地域によっては
などという名前で売られています。中身はあくまで「イネニカ」と一緒で、商流や地域の関係でこのような名前として売られています。特にエスカシウなどは悪臭対策のために畜舎の敷剤としてや、堆肥を作る際の補助剤としても使われています。
只今は簡単にネット上でも買えるので、正直Amazonや楽天などで買ってしまったほうが手間もかからずおすすめです。
イネニカを使っている人のレビュー
ここで実際に使っている人のレビューをみてみましょう。いい評価しかないので、本当にいいものだということがわかります。
リピートです。ホウレン草の種まきで、覆土として使用しました。また、タマネギや白菜の植え付け時にも使用しました。根付もよくホウレン草は、今年は特に素晴らしい出来ばえで感動しました。タマネギもかなりしっかりした苗になりほっとしています。白菜も自然と外葉が巻き良い出来映えでした。イネニカのパワーに感激です。
楽天レビュー:星5
玉ねぎやネギの為に買っています YouTubeで苗を育てるのに覆土用にバーミキュライトの代わりに使うと良いと言っていたので 使うようになってから 玉ねぎ苗もネギ苗の他に 野菜苗の覆土にも使いようになってから とてもいい苗になります 親戚の人に 自分が作る苗はとても育ちがいいから 毎年苗を作って欲しいと言われるくらい とてもいい苗に育ちます
楽天レビュー星5
玉ねぎ、にんにくの追肥に使いました。 その後数日経過観察したところ、弱っていた玉ねぎとにんにくが生き返ったようです。 YouTubeで塚原農園さんが進めていたので買った見ました。
楽天レビュー星5
最初はYouTubeで、玉ねぎ苗の育苗時の倒伏を避けるために根元に撒くために購入しました。とても調子が良かったので、他の育苗にも使い、その後、水捌けの良くない部分の畑の土づくりに、くんたんの代わりに使ったところ、良い状態の土になったため、リピートしました。
楽天レビュー星5
野菜を作る際にとても良い肥料になると聞いて注文しました。 25ますポットの種まき、10cmポットの種まきと育苗、畑の野菜への追肥などに使ってます。 いろんな野菜に使ってますが、葉の艶などが良く、元気に育ってます。
楽天レビュー星5
まとめ
今回はYoutubeで紹介されたことによって、一時期手に入りづらかった「イネニカ」についてお話しました。
成分だけを見るとケイカルと同じようなものですが、水によく溶ける構造をしておりケイカルの半分くらいの使用料で同じ効果が期待できます。ケイ素は稲だとはもちろん野菜などを育てる際にも非常に大切な要素となっておりますので、不足しないようにしましょう。場合によっては追肥も考えたほうがいいです。
またイネニカが中々地元のホームセンターで見つからないことが多いですが、基本的にネットで買うのが一番オススメです。少し値段が高くなる可能性がありますが、ホームセンターまでの交通費や労力を考えると、むしろ安いくらいでしょう。