せっかく育てた作物を動物や鳥に食べられてしまうということは農家さんや果樹園さんなら経験済みではないでしょうか。以前記事にもしましたが動物や鳥から作物をまもる方法はたくさんあります。気になる方はぜひ読んでみてください。
⇒イノシシや鹿などの害獣対策!ニオイやフェンスなど効果があるものとは?おすすめ防獣グッツ
⇒防鳥網は効果あります!効果がある鳥よけネットの選び方【果樹園】
鳥を防ぐ防鳥網の記事でも書かせていただきましたが、正直一番効果が期待できるのは動物に対しても防獣網と呼ばれる網や防獣フェンスと呼ばれる金網で防ぐことです。当たり前ですが、中に入れなければ動物に作物を食べられることはありません。
ただこの防獣網や防獣フェンス実は一番難しく選び方や張り方を間違えると全く効果がありません。全くです。
今回は最善にして最高の対策である防獣網・防獣フェンスについて選び方と張り方をお話していきます。毎年多くの農業資材の展示会で資材メーカーさんとお話することが多い管理人がフェンスを専門で作っているメーカーさんとのお話などを参考にしながら自身が働く資材屋での反響などを踏まえてお話します。
防獣フェンスや防獣網を使っていても被害が出る理由とは
防獣フェンスなどを使っている人でも効果がなく作物が食べられてしまったという方は多いかと思います。まずはフェンスやネットを効果的に使うためにも動物に中に入られる理由を明確にしていきますよう。
ネットやフェンスを使っていても被害にあう理由をあげると
フェンスの中へ動物が入る理由
- ネットを噛み切られる
- 穴をほって下をくぐられる
- ジャンプや登ったりと上を飛び越えられる
- 壊される
というものが主になります。ネットやフェンスを張る際はこれらを注意しながら使用していかなければなりません。
これを前提にお話していきます。
防獣網と防獣フェンスの違いと効果
防獣網と防獣フェンスの違いについて簡単に説明すると
ネットか金網か
の違いとなります。防獣網は防獣ネットともいいサッカーのゴールや魚を獲る投網のような柔軟性のあるネットです。価格がとても安く広範囲に張ってもそれほどお金もかかりません。鳥やネコなどの小動物には多少効果はありますが効果はそこまでなく簡易的な対策となります。
防獣フェンスは金網を使っているため強度は高く噛み切られることもあまりありません。フェンスなので多少値は張りますが本当に野菜や果樹を守るためであればこちらがおすすめです。詳しくお話していきます。
防獣網と防獣フェンスおすすめはどちらか
こちらは断然防獣フェンスです。上の動物に中に入られる理由をみると大体わかるかもしれません。ネットは噛み切られるし、くぐられることが多いです。
とはいえ家庭菜園などでそこまで大規模に作物を育てていない方は値段が高いフェンスを張るなどは考えられないでしょう。そういった場合は防獣網プラス他の防獣対策グッツを使いましょう。
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他の対策グッツを使うのはフェンスを使う場合にも効果的なので基本的には併用して使いましょう。防獣網には塩分が含まれてなく噛み切られにくいネットやワイヤー入ネットなども販売されているので出来るだけ丈夫なものを選びましょう。
防獣フェンスの選び方
次は主に防獣フェンスのお話です。フェンスを効果的に使うにはどのようなフェンスを選ぶのかもとても重要になってきます。選び方は
どの動物の対策をするか
です。簡単に理由を説明すると
- 猿はフェンスを登る⇒忍び返しが必要
- シカは飛び越える⇒高さが必要
- 猪は下からフェンスを押し上げて壊す⇒地面に金網を這わせる
- クマや猪は丈夫なものが必要⇒低価格のものを使わない
など動物の生態によって対策する部分が変わってくるからです。もちろん全てに対応することも可能ですが、費用が恐ろしいことになるでしょう。それぞれ細かくお話していきます。
猿を対策するフェンス・防獣網
まずは猿対策です。猿対策とは言っていますが、フェンスやネットを登るハクビシンやアライグマなどの対策にも繋がります。その対策方法はネットやフェンスを以下に越えさせないかです。それにはフェンスの上に
- 忍び返しをつける(ピンや有刺鉄線)
- 鼠返しをつける
- 電気を流す
などがあります。
まずはフェンスの上に手前に角度がついたフェンスや線をつけるという対策で上まで行けなくするというのが一番使われている対策かと思います。こちらは金網タイプやネットタイプなどがありサルだけでなく飛び越えるシカや猪にも効果が出ますが、サルやハクビシンなどは角度がついていても乗り越えてしまうという声もあります。
つぎにフェンスの上に有刺鉄線や有刺鉄板をつけて握らせないようにして乗り越えないようにするバードピンのようなものです。フェンスやネットの上だけでなく果樹の場合は樹木そのものに巻きつけて登らせないという効果もあります。
最後に電気を流すというところですが、こちらは他の対策を併用ができるためできるだけ電気を流して他の対策をしましょう。他にもあえて柔らかい防獣網をつかい登りづらくするという猿専用防獣網もあります。
猪や小動物の穴掘り・下くぐり対策
フェンスや防獣網を張っても穴をほって下をくぐられたり、猪は鼻で下から持ち上げフェンスそのものを曲げて通ることがあります。その対策をしてはネットや金網を地面に這わせるくらい長くしてしっかりとピンで地面に固定するというものになります。
小動物などの穴掘りの場合はネットを地面に這わせて固定させるというのは対策になりますが、イノシシ対策としてはもう少し丈夫なものを用意しましょう。既存のフェンスにプラスで地面に這わせるフェンスも売っていますのでそちらをつけるのもいいと思います。
フェンスやネットの張り方にも注意しましょう。地面に這わせた部分をしっかりとピンで固定するのも大事ですが、普通に張っている金網部も多少地面に埋めるようにフェンスを建てるのもオススメです。小動物対策には網目が小さいものを選びましょう。
クマ・猪・シカ対策にとにかく丈夫なフェンス
防獣フェンスにはピンからキリまであります。安いものだと20mで1万円ちょっとで揃えられるものもありますが、正直そのレベルの防獣フェンスでは猪やシカなどの対策は難しいです。フェンスやネットには2つの効果があって
- 視覚効果
- 物理効果
となります。視覚効果はとりあえず目の前に遮るものがあるから辞めようというもので、物理効果は飛び越えたりくぐったりするのを物理的に遮ります。安価なフェンスは視覚効果はありますが猪やクマが攻撃するとあっという間に攻略をされてしまいます。
安価なフェンスを使う場合は補強パーツを使って支柱を強力にしたり上で紹介した返しやアンダーネット、電気柵を併用を必ずしましょう。それでも安価なものは比較するとわかるのですが貧弱な金網になっているので壊される可能性が高いです。
金網の編み方は平織りなど普通に編んてあるものではなくワイヤーがクロスするところを結んであるように編んてある高耐久のものを選びましょう。大抵高耐久の防獣フェンスで調べると出てきます。
また高さも必要です。シカや猪はフェンスを飛び越えることがあります。ですのでシカの場合は2m、猪対策でも最低1.2m以上の高さを選びましょう。
防獣フェンス・防獣網の基本的な張り方
こちらはまず設置したい場所にどれくらいフェンスが必要なのかを計算してます。その長さのフェンスと1~2mごとに支柱を建てていくので、支柱の数も計算が必要です。絶対に必要なものは
- フェンスまたはネット
- 支柱
となります。その他に場合や対策する動物によって
- 補強支柱
- アンダープロテクトフェンス
- けもの返し
- 電気柵セット
などが必要となります。
張り方の手順
簡単に手順を説明すると
- 支柱を1~2mごとに建てていく
- フェンスと支柱に固定していく
- 補強支柱やけもの返しなどをつける
といった感じです。
支柱は鉄筋や単管パイプ、C型支柱、専用支柱などがあります。大体40cm~50cmほど支柱を埋め込みましょう。埋め込む数が多い場合はこちらの記事を読んでみてください。
⇒単管や杭の打ち込みを助けるハンマーと補助品のおすすめ【フェンス施工などに】
次にフェンスを針金やクリップなどで支柱に固定していきます。ゲートなどを入れる場合もありますがその場合はフェンスの高さに合うゲートを用意しましょう。
防獣フェンスセットなどでは支柱にクリップが付いていてフェンスを挟めて固定するようになっているものがありますが、基本的はフェンスは支柱にクリップや針金などで固定していきます。その際猪や小動物対策の場合はフェンスも30cmくらい埋められれば埋めましょう。埋められない場合はフェンスの下に地面沿って這わせられる専用フェンスを取り付けましょう。
フェンスの下の部分やアンダープロテクターはしっかりピンやペグで固定して下をくぐられないようにします。
こちらの動画がものすごくわかりやすいです
まとめ
今回は陸上動物から作物を守るのに最適な防獣網と防獣フェンスについてお話しました。
防獣網や防獣フェンスどちらかで悩んでいるなら防獣フェンス一択です。ただ予算などが厳しい場合は他の対策を併用することで防獣網の効果を上げることが可能です。フェンスにしてもネットにしても基本的には他の対策や電気を併用しましょう。
防獣網やフェンスは対策する動物ごとに対策するのが基本です。動物によって対策方法が変わるため、身近な害獣をよく考えて対策しましょう。
サルやハクビシン・アライグマなど登る動物にはフェンスの上、イノシシや小動物などフェンスをくぐったりする対策には下に対策をします。フェンス自体も出来るだけ耐久性の高いものを選び壊されるのを防ぎましょう。