いろいろな種類があって、そのまま食べるのはもちろんお酒の材料としての品種もあるブドウ。秋を連想する果実の一つでもありますよね。また古くから飲まれているお酒にも使われていることは誰でも知っているでしょう。
そんなブドウですが、育てるのに特殊な作業がいくつかあります。以前記事を書いたジベレリン処理もその一つですが、今回は傘かけと袋かけについてお話いたします。
数々の農業資材を扱う資材屋に働く管理人が、日々農業資材メーカーの営業さんや代理店の方から聞いた話を実際に資材屋で売れている商材を踏まえながらご紹介します!
ぶどうの「傘かけ」と「袋かけ」とは?何が違うの?
ぶどうには傘かけと袋かけがあります。その名の通りベトナムの田んぼで連想できるような傘をぶどうにかぶせるのが「傘かけ」。
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そしてぶどうをそのまま包むように袋をかけるのが「袋かけ」となります。
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傘かけの効果
傘かけには次の効果があります。
- 雨除け
- 日焼け防止
雨って作物の成長に必需のような気がしますが、雨からカビや晚腐病などの病原菌が伝染ってしまうことがあるため対策を取らなくてはなりません。
農園によってはろう紙を傘としてかぶせた上に更に2枚めとしてタイベックの傘をかぶせているところもあります。農業でも多く使われるタイベックは遮光、防虫、透湿、耐水に優れているのでとても優秀な傘となります。
袋かけの効果
袋かけには次の効果があります。
- 雨除け
- 日焼け防止
- 害虫・鳥対策
- 農薬散布からの保護
こちらは傘かけの効果にさらに「アザミウマ」などの害虫の対策としてや鳥対策(鳥の場合は破られることも多いので防鳥網も必要)として使われる他に、農薬散布などでぶどうにかかってしまわないように保護としてもかぶせられます。
間隔としてはワイン用のブドウは傘かけのみを行い、食べるブドウは見た目も気にするため、傘も袋もかけているイメージが多いです。
傘かけ・袋かけの時期と注意点
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ぶどうの傘かけや袋かけの時期は地域にも農園にもよりますが、摘粒が終わってすぐの5月中旬から7月上旬にすることが多いようです。
摘粒が終わりしっかり防除をしてから袋かけをし、傘かけをします。この時の注意点としては
- ぶどうに強い日差しが当たらないため傘かけもしっかり
- 袋かけはぶどうの房に水滴がついていない時に
- 害虫や病気の為の農薬をしてから
- 止め口はしっかりと締め何も入らないように
- できるだけ袋の中心に房がくるように
- 黒いぶどうには白い袋、緑黄色のぶどうには緑の袋
雨水対策のためにしっかりと口を締めて害虫も入らないようにすることが重要です。また日差し対策のためには袋の口からぶどうの房まで余裕を持たせることでより効果的に機能します。
マスカットなどの緑や黄色のぶどうには厚手の緑の袋をかぶせます。緑の袋は日差しを更に通しにくくしているので、より強い日差しに弱い色の薄いぶどうに効果があります。またかすり症対策用の袋も有効です。
ぶどう傘の種類
ひとえにぶどう傘と言っても素材でいくつか種類があります。大きく分けると
- 蝋引き傘
- ポリ傘
- クラフト傘
の3種類に分けられます。またタイベック製の傘もあります。それぞれご紹介していきます。
蝋引き傘(ロー引傘)
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紙にワックス加工をした使い捨てタイプの傘です。ホッチキスで簡単に止められます。一番基本的なものでぶどう全般に使います。
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クラフト紙傘
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ロー引傘より遮光性に優れていて主に太陽光による日焼けや高温障害を防止するのに最適です。こちらもホッチキスで止めるタイプになります。ぶどう全般に使えますが、赤系と青系のぶどうにおすすめしているところもあります。使い捨てタイプ。
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ポリエチレン製傘
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こちらは紙ではなくポリエチレン製のタイプになります。透明のものと乳白色のものがあり、黒系ぶどうには乳白色をかけることが多いようです。またホッチキスで止めるタイプとホッチキスいらずのサシコミタイプがあります。
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タイベック傘
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上でも少し書いたタイベック製の傘となります。マルチにもビニール内張りにも使える素材で何回も使うことができるタイプです。耐久性に優れていて遮光性、透湿性、耐水性に優れているタイプです。
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番外編・お助けアイテム「カサジゾウ」
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日本ピアレス工業さんの「カサジゾウ」です。ぶどうの傘かけした後は風などにより、傘が動いて回転したりとぶどうの粒の擦り傷がついてしまう問題がありました。
それを解決するために作られたのが「カサジゾウ」です。バネで高さを調節し傘を止めることで傘がぶどうに当たらないように調節できます。またオレンジ色と紫色がありそれぞれジベレリン処理などの目印などにも使えたりするブドウ農家さんへのお助け便利アイテムとなります。農業資材メーカーさんが特におすすめしてきています!
1袋250個入り
対応軸径 | 3.5〜7mm |
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ぶどう袋のサイズと種類
ぶどう袋には白と緑やブルーなどの色付きがあります。黒や赤系のぶどうには白いぶどう袋、緑や青はマスカットなどに使います。また透明でぶどうの着色具合が確認できるものもあります。
サイズの適応は主に以下となります。
サイズ | 適応ぶどう |
158×226 mm | デラウェア |
175×255 mm | キャンベル |
190×272 mm | 巨峰 |
203×302 mm | 巨峰・ピオーネ |
217×340 mm | 甲斐路・ピオーネ |
Sぶどう袋
黒系・赤系のぶどうに使える袋となります。撥水加工をした一重袋となります。窓付きは中の状態が確認できる透明フィルムがあるタイプになります。
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Hグレープ
紙を薄くして通気性を持たせ、撥水性を強くすることで雨や高温に適応させました。紙に殺菌・殺虫加工してあり、害虫対策になります。他にも薬剤の汚れ、生キズの防止にぴったりのぶどうかけ袋となります。
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Hグレープ シャインマスカット
緑系ぶどうが鮮やかな緑となるようになります。ただロザリオビアンコには使えません。
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青系ぶどう専用かけ袋
マスカットなどの緑系のぶどうに最適な青いかけ袋です。排水・撥水加工がしっかりとしてあります。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。一重にぶどう用傘、かけ袋といっても沢山の種類があります。それぞれに適したぶどう傘やかけ袋を使っていく必要があります。
種類はまだまだ沢山ありますが、基本的には上に上げたものが使用されることが多いと思います。ぶどう農園さんはジベレリン処理などもそうですが、かなり気を使って美味しいぶどうやワインのためのぶどうを育てているんですね。
ぶどう以外の果実袋なども記事をかけたら上げていきますので、すこしでも農業が盛んになるようにお手伝いできたらと思います。
ぶどうに必要なジベレリン処理の記事はこちらから